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金融経済月報(基本的見解1)(2002年 1月)2

  1. 本「基本的見解」は1月15日、16日に開催された政策委員会・金融政策決定会合において、金融政策判断の基礎となる経済及び金融の情勢に関する基本的見解として決定されたものである。
  2. 本稿は、1月15日、16日に開催された政策委員会・金融政策決定会合の時点で利用可能であった情報をもとに記述されている。

2002年 1月17日
日本銀行

日本銀行から

 以下には、基本的見解の部分を掲載しています。図表を含む全文は、こちら(gp0201.pdf 692KB)から入手できます。


 わが国の景気は、輸出や設備投資の減少に加えて個人消費も弱まるなど、広範に悪化している。

 最終需要面をみると、純輸出(実質輸出−実質輸入)は減少基調を続けており、設備投資も減少している。住宅投資は低調に推移しており、公共投資も減少傾向にある。また、個人消費も弱まってきている。

 在庫の動きをみると、電子部品をはじめ多くの業種で調整が進みつつあるが、素材を中心に在庫過剰感はなお強い状況にある。こうしたもとで、鉱工業生産は大幅な減少が続いている。企業の収益は大幅に減少しており、業況感も悪化を続けている。労働時間の減少や失業の増加が続く中で、家計の所得形成の弱まりが明確になってきており、消費者心理も慎重化している。

 今後の経済情勢についてみると、まず輸出環境の面では、情報関連財の最終需要は依然低調ながら、世界同時的な情報関連財の在庫調整は今春辺りにも概ね一巡するとの見方が強まっている。また、為替円安も輸出の下支えに寄与するとみられる。ただ、世界経済は引き続き減速しており、とくに米国の景気動向には依然不確実な要素が多い。このため、米国をはじめとする海外景気動向次第では、わが国の輸出や生産が再び下押しされる懸念も残されている。

 一方、国内需要の面では、設備投資は、企業収益の減少が続くもとで、減少傾向を辿るとみられる。個人消費も、雇用・所得環境の悪化や消費者心理の慎重化に伴い、弱めの動きが続く可能性が高い。このように、輸出環境の不透明感が強く、国内民需が全般に弱まっていく中で、政府支出も基調的には減少傾向を続けることが見込まれている。このため、情報関連財等での在庫調整進捗に伴って、鉱工業生産の減少テンポは幾分緩まるとしても、経済全体の活動水準が下げ止まるまでには、かなりの時間を要すると考えられる。

 以上を総合すると、わが国の景気が、今後悪化を続けることは避けられないと考えられる。そうした中で、内外の金融・資本市場の動きが実体経済に悪影響を及ぼすリスクにも、引き続き留意が必要である。

 物価面をみると、輸入物価は、国際商品市況の下げ止まりや為替円安を背景に、上昇に転じている。国内卸売物価は、電子部品等に下げ止まりの動きもみられるが、全体では機械類や化学製品等を中心に下落が続いている。消費者物価は、輸入製品やその競合品の価格低下などを背景に、弱含んでいる。企業向けサービス価格は、下落が続いている。

 物価を巡る環境をみると、既往の原油価格下落の影響が当面続く一方、最近の円安は先行き物価の下支え要因として働くと考えられる。もっとも、景気が悪化を続けるもとで、国内需給バランス面から、物価に対する低下圧力が徐々に強まっていくとみられる。このほか、技術進歩を背景とする機械類の趨勢的な下落に加え、規制緩和や流通合理化に伴う財・サービスの価格低下が引き続き下落方向に作用するとみられる。これらを総じてみれば、当面、物価は緩やかな下落傾向を辿るものと考えられる。また、今後の景気動向には不透明な要素が多いだけに、需要の弱さに起因する物価低下圧力がさらに強まる可能性にも留意が必要である。

 金融面をみると、短期金融市場では、オーバーナイト物金利は、12月19日の金融政策決定会合で金融調節方針が変更され、日本銀行当座預金残高が10〜15兆円程度となるよう、一段と潤沢な資金供給が行なわれたことを受けて、引き続きゼロ近辺で推移している。

 ターム物金利は、追加的金融緩和措置を受けて、総じてみれば低下している。ジャパン・プレミアムは、ほぼ解消された状態が続いている。

 長期国債流通利回りは、幾分上昇し、最近では概ね1.4%台前半で推移している。国債と民間債(金融債、社債)の流通利回りスプレッドは、高格付債が横這い圏内で推移している一方、低格付債では拡大傾向にある。

 株価は、年初にかけて幾分持ち直したが、最近では弱含みで推移している。

 円の対米ドル相場は、年初にかけて一段と円安が進行しており、最近では130円台前半で推移している。

 資金仲介活動をみると、民間銀行は、優良企業に対しては貸出を増加させようとする姿勢を続ける一方で、信用力の低い先に対しては貸出姿勢を慎重化させる傾向が窺われる。企業からみた金融機関の貸出態度も徐々に厳しさを増している。社債、CPなど市場を通じた企業の資金調達環境は、高格付け企業では、CPの発行金利が幾分低下するなど、概ね良好な地合いが続いているが、低格付け企業の発行環境は総じて悪化傾向にある。

 資金需要面では、企業の借入金圧縮スタンスが維持されている中で、設備投資が減少していることなどから、民間の資金需要は引き続き減少傾向を辿っている。

 こうした中で、民間銀行貸出は前年比2%程度の減少が続いている。社債の発行残高は、低格付け社債の発行が減少していることなどから、前年比伸び率は鈍化傾向にある。CPの発行残高も、前年を大幅に上回っているものの、前年比伸び率はこのところ鈍化している。

 マネーサプライ(M2+CD)前年比は、3%台の伸びが続いている。

 企業の資金調達コストは、一部の市場調達金利や長期プライムレートが幾分上昇しているが、総じてみれば、きわめて低い水準で推移している。

 以上のように、最近のわが国の金融環境をみると、日本銀行による追加的金融緩和措置を受けて、金融市場に対する資金供給量が大幅に増加し、ターム物金利や高格付けCPの発行金利が低下するなど、金融市場の状況や金利水準を総じてみれば、きわめて緩和的な状況が続いている。しかし、企業破綻の増加などを背景に、民間銀行や投資家の信用リスク・テイク姿勢はさらに慎重化しており、信用力の低い企業、とりわけ中小企業では資金調達環境が厳しくなる方向にある。このため、今後の金融機関行動や企業金融の動向には、十分注意していく必要がある。

以上