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金融経済月報(基本的見解1)(2002年 2月)2

  1. 本「基本的見解」は2月 7日、8日に開催された政策委員会・金融政策決定会合において、金融政策判断の基礎となる経済及び金融の情勢に関する基本的見解として決定されたものである。
  2. 本稿は、2月 7日、 8日に開催された政策委員会・金融政策決定会合の時点で利用可能であった情報をもとに記述されている。

2002年 2月12日
日本銀行

日本銀行から

 以下には、基本的見解の部分を掲載しています。図表を含む全文は、こちら(gp0202.pdf 718KB)から入手できます。


 わが国の景気は、引き続き悪化している。

 最終需要面をみると、純輸出(実質輸出−実質輸入)は、輸出の減少テンポが緩やかになってきていることを反映して、減少幅は縮小傾向にある。その一方、設備投資の減少が続いているほか、個人消費も弱まっている。また、住宅投資は低調に推移しており、公共投資も減少傾向にある。

 このように最終需要は弱い中にあっても、これまでの大幅な減産によって、在庫面では、電子部品をはじめ多くの業種で調整が進んでいる。このため、鉱工業生産の減少幅は縮小してきている。もっとも、雇用過剰感が強いもとで企業は人件費の削減姿勢を堅持しており、失業の増加が続く中で、冬季賞与もはっきりと減少するなど、家計の雇用・所得環境はむしろ厳しさを増している。

 今後の経済情勢についてみると、まず輸出環境の面では、世界同時的な情報関連財の在庫調整は一巡しつつあり、これを受けて、東アジア諸国の輸出や生産には下げ止まりの兆しがみられる。また、為替もこのところ円安となっている。こうしたもとで、輸出は年央にかけて下げ止まりから回復に転じていくと予想される。しかし、当面、海外景気の回復は鈍く、情報関連財の最終需要も低調なもとで、輸出の回復テンポは緩やかなものにとどまる公算が大きい。なお、米国経済については、底入れを示唆する指標が増えているとはいえ、依然不確実な要素が多く、こうした点を含め海外景気の動向については引き続き注意が必要である。

 一方、国内需要の面では、設備投資は、企業収益の減少が続くもとで、減少傾向を辿るとみられる。個人消費も、雇用・所得環境の悪化等から、弱めの動きが続く可能性が高い。このように、国内民需が全般に弱まっていく中で、政府支出も基調的には減少傾向を続けることが見込まれている。このため、輸出環境の改善や在庫調整の進捗を背景に、鉱工業生産は下げ止まりに向かうとしても、経済全体の活動水準の低下に歯止めが掛かるまでには、かなりの時間を要すると考えられる。

 以上を総合すると、わが国の景気は今後も悪化を続けるが、輸出や在庫面からの下押し圧力が弱まるにつれて、そのテンポは徐々に和らいでいくと予想される。ただ、景気の脆弱な地合いが続く中で、内外の金融・資本市場の動きが実体経済に悪影響を及ぼすリスクには、引き続き留意が必要である。

 物価面をみると、輸入物価は、国際商品市況の下げ止まりや為替円安を背景に、上昇している。国内卸売物価は、電子部品等に下げ止まりの動きもみられるが、全体では機械類や化学製品等を中心に下落が続いている。消費者物価は、輸入製品やその競合品の価格低下が続く中で、既往の原油安の波及から、下落幅がやや拡大している。企業向けサービス価格は、下落が続いている。

 物価を巡る環境をみると、既往の原油価格下落の影響が当面続く一方、最近の円安は先行き物価の下支え要因として働くと考えられる。もっとも、景気が悪化を続けるもとで、国内需給バランス面からは、物価に対する低下圧力が引き続き働くとみられる。このほか、技術進歩を背景とする機械類の趨勢的な下落に加え、規制緩和や流通合理化に伴う財・サービスの価格低下が引き続き下落方向に作用するとみられる。これらを総じてみれば、当面、物価は緩やかな下落傾向を辿るものと考えられる。また、今後の景気動向には不透明な要素が多いだけに、需要の弱さに起因する物価低下圧力がさらに強まる可能性にも留意が必要である。

 金融面をみると、短期金融市場では、オーバーナイト物金利は、日本銀行当座預金残高が10〜15兆円程度となるよう、潤沢な資金供給が行なわれたことを受けて、引き続きゼロ近辺で推移している。

 ターム物金利は、総じてみれば低下している。

 長期国債流通利回りは、幾分上昇し、最近では概ね1.5%台で推移している。国債と民間債(金融債、社債)の流通利回りスプレッドは、総じて横這い圏内で推移している。

 株価は、引き続き軟調に推移している。

 円の対米ドル相場は、日米景況感格差の拡大などを背景に幾分下落している。

 資金仲介活動をみると、民間銀行は、優良企業に対しては貸出を増加させようとする姿勢を続ける一方で、信用力の低い先に対しては貸出姿勢を慎重化させる傾向を強めている。企業からみた金融機関の貸出態度も徐々に厳しさを増している。社債、CPなど市場を通じた企業の資金調達環境は、高格付け企業では、CPの発行金利が幾分低下するなど、概ね良好な地合いにあるが、低格付け企業の発行環境は総じて厳しい状況が続いている。

 資金需要面では、企業の借入金圧縮スタンスが維持されている中で、設備投資が減少していることなどから、民間の資金需要は引き続き減少傾向を辿っている。

 こうした中で、民間銀行貸出は前年比2%程度の減少が続いている。社債の発行残高は、低格付け社債の発行が低調に推移していることなどから、前年比伸び率は鈍化傾向にある。CPの発行残高も、前年を大幅に上回っているものの、前年比伸び率は鈍化している。

 マネタリーベース前年比は、一段と伸びを高めている。マネーサプライ(M2+CD)前年比は、3%台の伸びが続いている。

 企業の資金調達コストは、一部の市場調達金利や長期プライムレートが幾分上昇しているが、総じてみれば、きわめて低い水準で推移している。

 以上のように、最近のわが国の金融環境をみると、金融市場の状況や金利水準を総じてみれば、きわめて緩和的な状況が続いている。しかし、企業破綻の増加などを背景に、民間銀行や投資家の信用リスク・テイク姿勢はさらに慎重化しており、信用力の低い企業、とりわけ中小企業では資金調達環境が厳しくなる方向にある。このため、今後の金融機関行動や企業金融の動向には、十分注意していく必要がある。

以上