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当面の金融政策運営について

2020年12月18日
日本銀行

  1. わが国の景気は持ち直しているが、新型コロナウイルス感染症への警戒感が続くなかで、先行きの改善ペースは緩やかなものにとどまると考えられる(別紙)。そうしたもと、当面、企業等の資金繰りにはストレスがかかり続けるとみられる。こうした情勢を踏まえ、日本銀行は、引き続き、企業等の資金繰りを支援していく観点から、新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラムについて、期限を半年間延長するとともに、運用面の見直しを行うこととし、本日の政策委員会・金融政策決定会合で、以下の決定を行った。なお、今後の感染症の影響を踏まえ、必要があれば、さらなる延長を検討する。
    1. (1)CP・社債等の増額買入れ(全員一致)

      CP・社債等の増額買入れの期限を半年間延長し、2021年9月末までとする。CP・社債等買入れについては、引き続き、合計約20兆円の残高を上限に買入れを実施するが、このうち、追加買入枠については、CP等と社債等の合計で15兆円とし、市場の状況に応じて、それぞれに配分することとする1

    2. (2)新型コロナ対応金融支援特別オペ(全員一致)

      新型コロナ対応金融支援特別オペの期限を半年間延長し、2021年9月末までとする。あわせて、民間金融機関が独自に行っている中小企業等への新型コロナ対応融資を一層積極的に支援するため、同オペの対象となる適格融資のうち、プロパー融資にかかる一金融機関当たりの上限(1,000億円)を撤廃することとする。

  2. 金融市場調節方針、ETFおよびJ-REITの買入れ方針については以下のとおりとする。
    1. (1)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)(賛成8反対1)(注1)
      短期金利:
      日本銀行当座預金のうち政策金利残高にマイナス0.1%のマイナス金利を適用する。
      長期金利:
      10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買入れを行う。その際、金利は、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうるものとする2
    2. (2)ETFおよびJ-REITの買入れ方針(全員一致)

      ETFおよびJ-REITについて、当面は、それぞれ年間約12兆円、年間約1,800億円に相当する残高増加ペースを上限に、積極的な買入れを行う3

  3. 日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。
    引き続き、(1)新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム、(2)国債買入れやドルオペなどによる円貨および外貨の上限を設けない潤沢な供給、(3)ETFおよびJ-REITの積極的な買入れにより、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めていく。
    当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。政策金利については、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している(注2)
  4. 新型コロナウイルス感染症の影響により、経済・物価への下押し圧力が長期間継続すると予想される状況を踏まえ、経済を支え、2%の「物価安定の目標」を実現する観点から、より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検を行うこととした。その際、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組みは、現在まで適切に機能しており、その変更は必要ないと考えている。この枠組みのもとで、各種の施策を点検し、来年3月の金融政策決定会合を目途にその結果を公表する。

以上


  1. (注1)賛成:黒田委員、雨宮委員、若田部委員、櫻井委員、政井委員、鈴木委員、安達委員、中村委員。反対:片岡委員。片岡委員は、物価下押し圧力の強まりへの対応と、コロナ後を見据えた企業の前向きな設備投資を後押しする観点から、長短金利を引き下げることで、金融緩和をより強化することが望ましいとして反対した。 本文に戻る
  2. (注2)片岡委員は、デフレへの後戻りを回避するためにも、財政・金融政策の更なる連携が必要であり、日本銀行としては、政策金利のフォワードガイダンスを、物価目標と関連付けたものに修正することが適当であるとして反対した。 本文に戻る

  1. 従来、追加買入枠は、CP等、社債等、それぞれに7.5兆円としていた。なお、追加買入れ枠以外のCP等、社債等については、それぞれ約2兆円、約3兆円の残高を維持する。 本文に戻る
  2. 金利が急速に上昇する場合には、迅速かつ適切に国債買入れを実施する。 本文に戻る
  3. ETFおよびJ-REITの原則的な買入れ方針としては、引き続き、保有残高が、それぞれ年間約6兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行い、その際、資産価格のプレミアムへの働きかけを適切に行う観点から、市場の状況に応じて、買入れ額は上下に変動しうるものとする。 本文に戻る

(別紙)

経済・物価の現状と見通し

  1. わが国の景気は、内外における新型コロナウイルス感染症の影響から引き続き厳しい状態にあるが、持ち直している。海外経済は、一部で感染症の再拡大の影響がみられるが、持ち直している。そうしたもとで、輸出や鉱工業生産は増加を続けている。また、企業収益や業況感は、大幅に悪化したあと、徐々に改善している。設備投資は減少傾向にある。雇用・所得環境をみると、感染症の影響が続くなかで、弱い動きがみられている。個人消費は、飲食・宿泊等のサービス消費は依然として低水準となっているが、全体として徐々に持ち直している。住宅投資は緩やかに減少している。公共投資は緩やかな増加を続けている。わが国の金融環境は、全体として緩和した状態にあるが、企業の資金繰りに厳しさがみられるなど、企業金融面で緩和度合いが低下した状態となっている。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、感染症や既往の原油価格下落、Go Toトラベル事業の影響などにより、マイナスとなっている。予想物価上昇率は、弱含んでいる。
  2. 先行きのわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に和らいでいくもとで、緩和的な金融環境や政府の経済対策の効果にも支えられて、改善基調を辿るとみられる。もっとも、感染症への警戒感が続くなかで、そのペースは緩やかなものにとどまると考えられる。その後、世界的に感染症の影響が収束していけば、海外経済が着実な成長経路に復していくもとで、わが国経済はさらに改善を続けると予想される。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、当面、感染症や既往の原油価格下落、Go Toトラベル事業の影響などを受けて、マイナスで推移するとみられる。その後、経済の改善に伴い物価への下押し圧力は次第に減衰していくことや、原油価格下落の影響などが剥落していくことから、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、プラスに転じていき、徐々に上昇率を高めていくと考えられる。
  3. リスク要因としては、新型コロナウイルス感染症の帰趨や、それが内外経済に与える影響の大きさといった点について、きわめて不確実性が大きい。特に、このところの内外における感染症の再拡大による影響に注視が必要である。さらに、感染症の影響が収束するまでの間、企業や家計の中長期的な成長期待が大きく低下せず、また、金融システムの安定性が維持されるもとで金融仲介機能が円滑に発揮されるかについても注意が必要である。

以上


(参考)

開催時間
12月17日(木) 14:00~15:59
12月18日(金) 9:00~12:06
出席委員
議長 黒田 東彦(総裁)
雨宮 正佳(副総裁)
若田部昌澄( 副総裁 )
櫻井 眞 (審議委員)
政井 貴子( 審議委員 )
鈴木 人司( 審議委員 )
片岡 剛士( 審議委員 )
安達 誠司( 審議委員 )
中村 豊明( 審議委員 )

上記のほか、

12月17日
財務省  新川 浩嗣 大臣官房総括審議官(14:00~15:59)
内閣府  田和 宏  内閣府審議官(14:00~15:59)
12月18日
財務省  新川 浩嗣 大臣官房総括審議官(9:00~11:50、12:00~12:06)
内閣府  赤澤 亮正 内閣府副大臣(9:00~11:50、12:00~12:06)

が出席。

公表日時
当面の金融政策運営について――12月18日(金)12:13
主な意見――12月28日(月)8:50予定
議事要旨――2021年1月26日(火)8:50予定

以上