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当面の金融政策運営について

2021年6月18日
日本銀行

  1. 日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、以下のとおり決定した。
    1. (1)新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラムの延長(賛成8棄権1)(注1)

      企業等の資金繰りは、一頃より改善しているが、新型コロナウイルス感染症の影響からストレスのかかる状況が続くとみられる。こうした情勢を踏まえ、引き続き、企業等の資金繰りを支援していく観点から、新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラムについて、期限を2022年3月末まで半年間延長する。

    2. (2)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)(賛成7反対1棄権1)(注2)

      次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、以下のとおりとする。

      短期金利:
      日本銀行当座預金のうち政策金利残高にマイナス0.1%のマイナス金利を適用する。
      長期金利:
      10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買入れを行う。
    3. (3)資産買入れ方針(賛成8棄権1)(注1)

      長期国債以外の資産の買入れについては、以下のとおりとする。

      [1]ETFおよびJ-REITについて、それぞれ年間約12兆円、年間約1,800億円に相当する残高増加ペースを上限に、必要に応じて、買入れを行う。

      [2]CP等、社債等については、2022年3月末までの間、合計で約20兆円の残高を上限に、買入れを行う。

  2. わが国の景気は、内外における新型コロナウイルス感染症の影響から引き続き厳しい状態にあるが、基調としては持ち直している。海外経済は、国・地域ごとにばらつきを伴いつつ、総じてみれば回復している。そうしたもとで、輸出や鉱工業生産は着実な増加を続けている。また、企業収益や業況感は全体として改善している。設備投資は、一部業種に弱さがみられるものの、持ち直している。雇用・所得環境をみると、感染症の影響から、弱い動きが続いている。個人消費は、飲食・宿泊等のサービス消費における下押し圧力が強く、足踏み状態となっている。住宅投資は下げ止まっている。公共投資は緩やかな増加を続けている。わが国の金融環境は、企業の資金繰りに厳しさがみられるものの、全体として緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、感染症や携帯電話通信料の引き下げの影響がみられる一方、エネルギー価格は上昇しており、足もとでは0%程度となっている。また、予想物価上昇率は、横ばい圏内で推移している。
  3. 先行きのわが国経済を展望すると、当面の経済活動の水準は、対面型サービス部門を中心に、新型コロナウイルス感染症の拡大前に比べて低めで推移するものの、感染症の影響が徐々に和らいでいくもとで、外需の増加や緩和的な金融環境、政府の経済対策の効果にも支えられて、回復していくとみられる。その後、感染症の影響が収束していけば、所得から支出への前向きの循環メカニズムが強まるもとで、わが国経済はさらに成長を続けると予想される。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、目先、0%程度で推移すると予想される。その後、経済の改善が続くことや、エネルギー価格の上昇、携帯電話通信料の引き下げの影響剥落などから、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、徐々に上昇率を高めていくと考えられる。
  4. リスク要因としては、新型コロナウイルス感染症の帰趨や、それが内外経済に与える影響といった点について、不確実性が大きい。さらに、感染症の影響が収束するまでの間、企業や家計の中長期的な成長期待が大きく低下せず、また、金融システムの安定性が維持されるもとで金融仲介機能が円滑に発揮されるかについても注意が必要である。
  5. 日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。
    引き続き、(1)新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム、(2)国債買入れやドルオペなどによる円貨および外貨の上限を設けない潤沢な供給、(3)それぞれ約12兆円および約1,800億円の年間増加ペースの上限のもとでのETFおよびJ-REITの買入れにより、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めていく。
    当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。政策金利については、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している(注3)
  6. 気候変動問題は、中長期的に、経済・物価・金融情勢にきわめて大きな影響を及ぼしうる。日本銀行としては、中央銀行の立場から民間における気候変動への対応を支援していくことは、長い目でみたマクロ経済の安定に資するものと考えている。その際、金融政策面での対応に当たっては、市場中立性に配慮しながら行うことが重要である。こうした観点から、日本銀行は、気候変動関連分野での民間金融機関の多様な取り組みを支援するため、金融機関が自らの判断に基づき取り組む気候変動対応投融資をバックファイナンスする新たな資金供給の仕組みを導入することが適当と判断した。この新たな仕組みは、成長基盤強化支援資金供給制度の後継と位置付けるが(同制度の新規貸付は現在の期限である2022年6月をもって終了)、同制度の終了を待たずに、年内を目途に実施する。なお、その骨子素案を、7月の金融政策決定会合で公表する予定である。

以上


  1. (注1)賛成:黒田委員、雨宮委員、若田部委員、鈴木委員、片岡委員、安達委員、中村委員、野口委員。棄権:政井委員。なお、政井委員は、本公表文の採決についても、棄権した。 本文に戻る
  2. (注2)賛成:黒田委員、雨宮委員、若田部委員、鈴木委員、安達委員、中村委員、野口委員。反対:片岡委員。棄権:政井委員。片岡委員は、コロナ後を見据えた企業の前向きな設備投資を後押しする観点から、長短金利を引き下げることで、金融緩和をより強化することが望ましいとして反対した。 本文に戻る
  3. (注3)片岡委員は、財政・金融政策の更なる連携が必要であり、日本銀行としては、政策金利のフォワードガイダンスを、物価目標と関連付けたものに修正することが適当であるとして反対した。 本文に戻る

(参考)

開催時間
  • 6月17日(木) 14:00~15:38
  • 6月18日(金) 9:00~12:23
出席委員
  • 議長 黒田 東彦(総裁)
  • 雨宮 正佳(副総裁)
  • 若田部昌澄( 副総裁 )
  • 政井 貴子(審議委員)
  • 鈴木 人司(  審議委員  )
  • 片岡 剛士(  審議委員  )
  • 安達 誠司(  審議委員  )
  • 中村 豊明(  審議委員  )
  • 野口 旭 (  審議委員  )

上記のほか、

6月17日
  • 財務省  新川 浩嗣 大臣官房総括審議官(14:00~15:38)
  • 内閣府  田和 宏  内閣府審議官(14:00~15:38)
6月18日
  • 財務省  中西 健治 財務副大臣(9:00~12:05、12:15~12:23)
  • 内閣府  田和 宏  内閣府審議官(9:00~12:05、12:15~12:23)

が出席。

公表日時
  • 当面の金融政策運営について――6月18日(金)12:30
  • 主な意見――6月28日(月)8:50予定
  • 議事要旨――7月21日(水)8:50予定

以上