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金融政策決定会合議事要旨

(1998年12月15日開催分)*

  • 本議事要旨は、日本銀行法第20条第1項に定める「議事の概要を記載した書類」として、99年2月12日開催の政策委員会・金融政策決定会合で承認されたものである。

1999年 2月17日
日本銀行

(開催要領)

1.開催日時
98年12月15日(9:01〜12:19、13:10〜15:28)
2.場所
日本銀行本店
3.出席委員
  • 議長 速水 優(総裁)
  • 藤原作弥(副総裁)
  • 山口 泰(  副総裁  )
  • 後藤康夫(審議委員)
  • 武富 将(  審議委員  )
  • 三木利夫(  審議委員  )
  • 中原伸之(  審議委員  )
  • 篠塚英子(  審議委員  )
  • 植田和男(  審議委員  )
4.政府からの出席者
  • 大蔵省   谷垣禎一 政務次官( 9:01〜12:19)
  • 経済企画庁 今井 宏 政務次官( 9:01〜12:19)
    新保生二 調査局長(13:10〜15:28)

(執行部からの報告者)

  • 理事黒田 巌
  • 理事松島正之
  • 金融市場局長山下 泉
  • 国際局長村上 堯
  • 調査統計局長村山昇作
  • 調査統計局早川英男
  • 企画室参事稲葉延雄
  • 企画室参事(企画第1課長)山本謙三

(事務局)

  • 政策委員会室長小池光一
  • 政策委員会室調査役飛田正太郎
  • 企画室企画第2課長田中洋樹(9:01〜9:25)
  • 企画室調査役門間一夫
  • 企画室調査役栗原達司
  • 金融市場局調査役後 昌司(9:01〜9:25)

I.前々回会合の議事要旨の承認

 前々回会合(11月13日)の議事要旨(グリーンペーパー)が全員一致で承認され、12月18日に公表することとされた。

II.TB・FBオペおよびCPオペのオペ対象先選定基準の見直し等に関する検討・決定

1.執行部からの提案内容

 執行部から、金融調節の一層の円滑化を図り、また金融調節に関する事務手続の透明性を向上させる観点から、(1)TB・FBオペおよびCPオペのオペ対象先の選定基準について、本年6月に決定したレポ・オペのオペ対象先選定基準と同様の方式により見直すこと、(2)FBオペについて金利入札方式を導入することについて、概要以下のようなルールを定め、これを対外公表したい旨の提案がなされた。

  • オペ対象先の選定は、日本銀行が、オペの目的と、その達成のためにオペ対象先に期待する役割を対外的に明確にしたうえで、オペ対象先となることを希望する先を公募し、その中から選定する。
    ▽オペの目的……機動的、効率的な金融調節の遂行
    ▽オペ対象先に期待する役割
    1. (1)オペの入札に積極的に応札すること
    2. (2)正確かつ迅速に事務を処理すること
    3. (3)金融政策遂行に有益な市場情報または分析を提供すること
  • TB・FBオペのオペ対象先として、共通の50先を選定する(現行TBオペ46先、FBオペ6先)。また、CPオペのオペ対象先は35先を選定する(現行30先)。
  • オペ対象先の選定基準は、次のとおりとする(ただし、CPオペについては、次の(2)、(3)は適用せず。また、(5)、(6)はTB・FBオペおよびCPオペの希望先数が対象先数を上回った場合にのみ適用)。
    1. (1)日本銀行本店の当座預金取引先となっている金融機関、証券会社、証券金融会社または短資会社であること。
    2. (2)日本銀行との当座預金取引および国債関係事務において、日銀ネットのオンライン先であること。
    3. (3)国債振替決済制度の直接参加者であること。
    4. (4)信用力が十分であること(=自己資本比率について、一定の要件を満たしていること)。
    5. (5)各々の市場におけるプレゼンスが大きいこと(取引高、取引平均残高<現先等の平均残高>、取引先数、市場参加者への情報提供の4要素を勘案する)。
    6. (6)これまでオペ対象となってきた先については、過去の落札実績も勘案する。
  • FBオペの売却方式は、従来の固定利回り方式に代えて、利回り入札方式とする。

2.委員による検討・採決

 以上の執行部説明の後、ある委員から、今回のルール改訂によって裁量の範囲が明確にされ、透明性が一層高まることは、コンプライアンスの観点からみても適当であるとの評価が示された。また、別の委員からは、FBオペの売却方式を利回り入札方式とすることは、FB発行の公募入札化の方向性とも合致するとの意見があった。

 採決の結果、執行部提案が全員一致で議決され、即日公表されることとなった。

III.金融経済情勢等に関する執行部からの報告の概要

1.最近の金融市場調節の運営実績

 金融市場調節については、前回会合(11月27日)で決定された金融市場調節方針(無担保コールレート<オーバーナイト物>を、平均的にみて0.25%前後で推移するよう促す。なお、金融市場の安定を維持するうえで必要と判断されるような場合には、上記のコールレート誘導目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う)にしたがって運営した。この結果オーバーナイト・レートは、総じて 0.2%台前半での推移となり、今積み期間(11月16日〜12月15日)の加重平均は、昨日(12月14日)までで0.22%となっている。

 この間の特徴をやや詳しくみると、オーバーナイト・レートは、(1)11月末〜12月初、(2)12月7〜8日(外国為替円決済制度の一部にRTGS<即時グロス決済制度>が導入され、市場参加者が新制度の立ち上がりをみきわめるために手許資金を厚めに確保)、(3)12月14日(日本債券信用銀行に対して特別公的管理の開始が決定された直後)、の3回にわたり、一時強含んだ。これに対して、それぞれの時期に日本銀行は厚めの資金供給を行った。このほかの日は、「取り手優位」の状況が市場で続いたため、日々の調節面では必要に応じて積み下気味の運営を実施した。

 一方、ターム物金利は、年末越えの円資金調達が本格化したことなどから、11月末にかけて若干強含んだ。しかし、12月入り後は、日本銀行が引き続き年末越えの資金供給を積極的に行うもとで(年末越えオペ残高:12月14日時点18.2兆円<前年同日12.0兆円>)、金融機関は年末越え資金を逐次確保してきたことから、ターム物金利は緩やかな低下を続けている。この間、市場の主たる関心は、年末越えから99年3月期末越えの資金調達に移ってきているように窺われる。

2.為替市場、海外金融経済情勢

(1)為替市場

 前回会合以降の為替相場は、米ドル売りを軸に展開した。円の対米ドル相場、ドイツ・マルクの対米ドル相場は、いずれも、11月末以降上昇した。また、アジア通貨の対米ドル相場も強調裡に推移した。

 このように、米ドル安が進んだ要因としては、(1)中南米情勢の悪化懸念(ブラジルにおける財政改革の後退や一次産品価格の下落等)、(2)米国企業業績に関する先行き不透明感(多国籍企業の収益悪化や大手企業における人員カットの動きの広まり)、(3)米議会における大統領弾劾に向けた動き、さらには(4)99年1月にスタートするユーロへの期待感の強まり、などが材料視されている。

(2)海外金融経済情勢

 米国景気は、家計支出を中心に緩やかな拡大を続けている。しかし、外需の悪化を受けて生産の鈍化傾向が続いており、経済指標をみても、製造業中心に業況感や雇用情勢の後退が窺われる。こうした状況のもとで、個人消費は堅調に推移しているが、すでに貯蓄率がマイナスになるまでに消費支出が拡大しきっていることや、ここにきて企業収益や時間当たり賃金の伸びが鈍化する傾向が出てきていることを踏まえると、先行き逆方向への動きが生じるリスクが増加しつつあるものと窺われる。

 米国内の金融環境をみると、株価は引き続き高水準にある。この結果、PER(株価収益率)は30倍を上回るレベルまで上昇しており、市場ではこれを警戒的にみる向きが増えている。また、低格付け社債の対国債流通利回りスプレッドについては、相対的に拡大した状況が残存しており、市場の不安定さは払拭されていない。

 東アジア諸国については、内外需の低迷が持続し、経済成長もマイナスの状態が続いている。こうしたもとで、一部の国では、海外金利の低下もあって金融を緩和する動きが続いており、経済全体もここにきて漸く底這いの兆しがいくつか見え始めている。

 またユーロエリアでは、12月3日にEMU参加11か国の中央銀行が協調利下げを実施し、一部の国を除き政策金利を 3.0%とした。この結果、EMUのインターバンク金利は 3.3〜 3.4%に収斂した。欧州中央銀行では、今回の協調利下げはEMU第3段階スタート時における金利水準の事実上の決定とみなされるべきであり、その水準は当面維持される予定であると表明している。

3.国内金融経済情勢

(1)実体経済

 最終需要をみると、設備投資の大幅な減少や住宅投資の低迷が続いているほか、個人消費もやや弱含んでいる。一方、輸出が緩やかな増加を続ける中で、公共投資が増勢を示しつつある。こうしたもとで、在庫調整が耐久消費財等を中心にある程度進捗しており、生産の減少テンポは緩やかになってきている。物価面では、需給ギャップの拡大に歯止めがかかっていないため、国内卸売物価が引き続き下落基調にあり、企業向けサービス価格指数も軟化を続けている。消費者物価も、生鮮食品の値上がりを除けば、軟調に推移している。

 以上を踏まえると、経済情勢は悪化を続けているが、そのテンポは和らいできているとみられる。また、企業の年末越え資金の調達にほぼ目途がついてきたことから、一頃の切迫した先行き不安感は幾分薄らぎつつある。しかし、企業収益が減少を続けており、年度末にかけての資金確保への不安感がなお払拭しきれていないため、企業の支出活動は抑制されている。これを受けて、雇用の減少や賃金の低下が続いており、消費者心理の慎重化にもつながっている。こうしたことを踏まえると、民間需要が回復に向かう展望はまだ拓けていない。

 先行きについては、緊急経済対策に基づく第3次補正予算の執行も含めると、公共投資が来年度上期まで経済を下支えしていくことが予想される。しかし、経済の活動水準の低さからみて、公共投資が増加しても、民間需要を喚起する効果は限定的なものにとどまる可能性が高い。また、今般の円高進行は企業収益の悪化要因として作用する。こうしたもとでは、企業の人件費抑制姿勢は変わらず、家計の所得環境の悪化や先行きに対する不安感の増大が続くと予想され、消費回復の目途は立っていない。

 また、やや長い目でみて、物価下落が持続する影響に注意を払う必要もある。すなわち、民間需要低迷のもとで、需給ギャップが明確に縮小する展望は乏しい。こうした中で円高の影響が顕在化していけば、今後、物価全般の下落テンポが徐々に速まっていく可能性も否定できない。

(2)金融情勢

 最近の金融情勢をみると、これまで逼迫感の強かった金融機関や企業の年末資金繰りにも目途がつきつつあり、短期金融市場は徐々に落ち着きを取り戻している。ただ、99年3月期末越えに対する金融機関の警戒感は根強く、市場の関心も年末越えから期末越えに移りつつある。

 ジャパン・プレミアム(3か月物)は、円投の進捗により、邦銀の年末越え外貨調達に目途がついたため、11月上旬のピーク時点の 0.7%程度から、足許では 0.3%程度まで縮小している。しかし現物のユーロ円金利は、3月期末越えとなる長めのレートを中心に高止まりしており、期末の流動性リスクに対する市場の警戒感の根強さを窺わせている。

 長期金利は11月下旬以降、上昇が続いており、イールドカーブも金融緩和(9月9日)直前の水準まで押し戻されたかたちとなっている。市場では、その背景として、国債発行量の拡大や資金運用部による国債引き受け減額・買い入れ停止などに伴う需給の悪化を指摘する声が多い。ただ、株価が9月上旬の水準まで回復したことを考えあわせると、一頃大きく悪化した市場の景況感が幾分修正された面もあるのではないかと思われる。ちなみに、円−円スワップレートのインプライドフォワードレートをみると、10月に長期金利がボトムをつけた際には、9年先スタートの1年物金利が2%を切るレベルまで落ち込んでいた。こうした金利形成は、潜在成長率などと十分整合的とは言い難く、債券市場にはさすがに行き過ぎた面があったものと思われる。

 量的側面では、信用保証制度の拡充が、民間銀行貸出の底上げに寄与し始めている模様である。また、CPオペ拡大の効果がはっきりと現れてきており、CP発行も順調に拡大している。ただ、格付けが低めの企業を中心に、企業の資金調達環境は全体として依然厳しい状態が続いているとみられる。

IV.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要

(1)景気の現状

 景気の現状については、多くの委員が、公共投資が大幅に増加し、これまで急速に減少してきた鉱工業生産が横這い圏内の動きに転じていることなどを指摘した上で、景気の悪化テンポはとりあえず和らいできているとの判断を示した。

 また、政府による信用保証制度の拡充や、日本銀行による潤沢な資金供給、オペ・貸出面の措置など、金融面からの種々のサポートが一定の効果を発揮し、景気の悪化テンポの緩和に寄与しているとの見解を述べる委員が多くみられた。

 まず、何人かの委員からは、公共投資について、総合経済対策の効果が本格的に現れてきており、経済の下支え効果を発揮しているとの指摘があった。このうちのひとりの委員は、先般の緊急経済対策に基づく公共事業が99年前半に執行に移されることを踏まえると、年明け後も高水準の公共投資を期待しうると発言した。

 次に、別の委員からは、これまでの輸出の増加傾向も需要の下支えに寄与しているとの発言があった。

 さらに、家計支出に関して、複数の委員から、(1)一部の家電新製品や軽自動車の売れ行きが好調であること、(2)消費税還元セールと銘打ったスーパーマーケットの販売促進努力が一時的に奏効したこと、などを踏まえると、供給サイドが消費者ニーズをうまく掴むことができれば個人消費回復の糸口となりうるのではないか、との期待感が示された。また、ほかのひとりの委員は、住宅投資に関して、個人持家着工を中心に底這いの動きに移りつつあるようにみられるとの判断を示した。

 以上のような需要動向のもとで、生産の動きについては、ひとりの委員から、これまでの急ピッチの低下が横這い圏内に移りつつあり、とりあえず景気悪化が和らいでいるとの判断が可能となったとの発言があった。また、別の委員も、需要の減少にようやく生産の減少が追いつき、在庫が減少しつつあることは一定の評価ができるとの見解を述べた。

 このように、多くの委員が、景気の悪化テンポは和らいでいるとしたが、それと同時に、日本経済を巡る全体感についてはなお慎重な見方を示した。

 まず、設備投資に関して、企業収益の下振れを踏まえると、現在の減少傾向が当分の間は続くとみられるといった厳しい認識が一様に示された。このうちひとりの委員は、設備投資は、来年度も今年度に比べて減少する可能性があるとの見通しを述べた。

 また、雇用・所得環境の一層の悪化も、家計支出の大きな抑制要因となるとして、——足許に明るい材料が出てきているとはいえ、——全体として楽観できないとの懸念の表明が相次いだ。このうち、ある委員は、日銀12月短観で、主要企業の99年度新卒者採用計画が前年比2割減、実数にして20万人程度の減少になるとの調査結果が出ていることに触れて、すでに学卒未就職者が98年年間平均で15〜16万人程度に達するであろうことと併せ考えると、先行きの雇用情勢はきわめて深刻な状態になるとの認識を示した。

 物価面では、ある委員が、鉄鋼製品などの商品市況や、国内卸売物価の下落が続いていることについて、最近のように企業業績が悪化を辿る中にあっては、物価の動向を、売上・収益の圧迫要因として注視していく必要があるとの指摘を行った。また、別の委員からは、物価の下落傾向が続くことによって、人々の将来にわたる期待物価上昇率もマイナス方向に振れた場合には、実質金利(名目金利マイナス期待物価上昇率)が上昇することになり、経済活動を金融面から阻害しかねないとの懸念が表明された。

 こうした議論を受けて、複数の委員が、経済企画庁の発表する景気動向指数(ディフュージョン・インデックスの一致指数)が2か月連続で50をこえたことや、もうひとつの動向指数(コンポジット・インデックスの一致指数)が4か月連続で下げ止まっていることについて言及し、これらの動きは通常であれば景気改善を示すものと位置づけるべきであるが、実際には、外生需要(公共投資・輸出)の増加を受けた生産関連のコンポーネントの改善が寄与したにすぎないため、これをもって景気回復に向けた動きが始まったとは言えないとの判断を示した。このうちのひとりの委員は、長期先行指数の動きをみても、景気の底打ちは少なくとも8〜11か月先になるとの見方を付け加えた。また、別の委員からも、在庫率指数が高水準にあることは、経済が引き続き調整過程にあることを示しているとの趣旨の注意喚起があった。

 もうひとりの委員からは、景気のレベル感として、現状は9月頃の水準に戻ったところではないかとの見解が示された。その委員は、9月以降の景況感悪化の要因として、(1)内外金融市場において流動性リスク等に関する懸念が強まったこと、(2)10月以降の円高進行が企業業績の先行き不透明感を強めたこと、(3)個人消費が下振れしたこと、の3点を指摘した。その上で、第1の金融市場の懸念に対しては、海外ではFRBの金融緩和やIMFによるブラジル支援策、国内では信用保証制度の拡充や金融システム対策、さらに日本銀行による金融面からの下支え措置などが採られた結果、過度な不安感は相当程度払拭されてきたとの判断を示した。また第2の円高によるマイナス効果は、とりあえず、緊急経済対策における公共投資の規模拡大によってある程度の相殺を期待できること、さらに第3の個人消費が最近若干持ち直していることなどを踏まえると、9月以降景気の下振れをもたらした諸要因はかなりの程度改善したとの整理を示した。ただ、そうした判断を示しながらも、その委員は、9月時点の景況感自体が、もともと潜在成長率を下回るレベルの弱いものであったため、現在の経済についてはやはり慎重な評価が必要であるとの意見を付け加えた。

 ほかの多くの委員も、景気は底に近いところにあり、当面、二番底に陥る懸念は薄らいでいるとみられるが、その一方で、需給ギャップは大きく、経済を回復方向に後押しする材料もこれまでのところ明確には現れてきていないとして、厳しめの現状認識を示した。

(2)景気の先行き

 景気の先行きについては、前回会合(11月27日)と同様に、多くの委員が、財政支出の効果が出始めたことや、金融面からの様々な措置を受けて金融市場が小康を保っていることを踏まえると、99年前半にかけて景気の悪化にはいったん歯止めがかかるとの見方をとった。ただ、その先の展望については、依然ダウンサイドリスクを強く意識せざるをえないとの慎重な意見が大勢を占めた。

 まず、公共投資や輸出は、引き続き景気の下支えに寄与するとの見方が大方の意見であった。そうしたなかで、何人かの委員からは、(1)地方自治体における財政面での対応余力が低下していることや、(2)夏場以降、2割以上の円高が進行したことについて、注意を要するとの認識が示された。

 とくに、後者の輸出動向に関連して、会合では、海外経済の動向が今後の日本経済の帰趨に大きな影響を示す可能性があるとして、いくつかの意見表明があった。

 まず、多くの委員が、米国経済の失速が日本経済にとっての最大のリスクシナリオであるとの見解を表明した。

 このうちひとりの委員は、米国経済について、現在は家計支出が強調を示す一方で、製造業に陰りの兆しがみられるとしたうえで、貯蓄率がマイナスに陥り、経常収支赤字が累積的に積み上がっていることを踏まえると、こうした状態が長続きするかどうか懸念されると発言した。その委員は、米国経済に変調が生じる場合には、米国株価の下落やドル安が進行する可能性があるが、現在の日本経済はきわめて脆弱な状態にあるため、そうしたショックを容易に吸収できないおそれがあるとの懸念を表明した。

 また、ほかのひとりの委員は、世界経済全体に関する標準的な展望──米国とユーロエリアがスローダウン、アジアがゼロ成長近傍まで回復、全体では幾分拡大──について、仮にアジア経済が予想通りに回復しなければ、外需の見通し全体がマイナスとなる可能性に十分な留意が必要であるとの指摘を行った。

 さらに別の委員からは、アジア経済について、東南アジア各国は、ここ数年で、調整に相当の年数を要するような過剰な固定資本と、グロス輸出額の対名目GDP比率が日本の4倍にものぼるような過度な輸出依存体質を作り上げてきたため、先行きについては相当慎重にみざるをえないとの見解が示された。また、その委員は、欧州経済にも言及し、実体経済が減速傾向を辿っていることに加えて、欧州の金融機関がアジア、中南米、ロシアといった非先進諸国向けに多額の債権を有していることを踏まえると、今後の欧州の経済金融情勢について慎重にみておく必要があるとの意見を述べた。

 次に、家計支出面についてみると、断片的とはいえ明るい材料が出てきている事実と、その一方で雇用・所得環境が悪化を続けていることの影響を、どのように評価するかについて、意見の交換があった。

 ひとりの委員は、(1)最近の家電販売の好調な動きは、バブル期に大量購入された製品の買い替えにすぎず、こうした需要は99年半ばには出尽くすとみられること、(2)乗用車販売における買い替えサイクルのヤマはもう少し先の2001年であること、(3)最近は所得が多い層において消費の落ち込みが目立つこと、などを挙げて、個人消費は楽観できる状況にはないとの判断を提示した。また、別の委員からは、最近のいくつかの明るい材料は単なる需要の先喰いといった様相があるとの印象が述べられた。さらに、もうひとりの委員も、これまでに出てきた幾つかの明るい材料は、広がりを伴いながら維持されるまでには至っておらず、必ずしも積極的には評価できないと発言した上で、企業収益や雇用・所得環境の悪化を踏まえると、先行きは楽観できないとの見解を述べた。もっとも、その委員は、消費者コンフィデンスは、労働市場の状況以外にも、例えば、公共事業を中心に総需要が若干回復するような場合に、一気に好転することもあるだけに、現段階で消費回復の可能性を完全に否定することもまた時機尚早であるとの判断を付け加えた。

 こうしたなかで、ひとりの委員は、先行きの日本経済に対して、とりわけ厳しい立場を採った。すなわちわが国企業は、これまで過剰設備と過剰雇用の調整を先送りしてきたが、企業経営も、含み益が枯渇して、来年度はリストラの正念場になるとの見通しを述べた。その委員は、その上で、アジア、欧州といった海外経済にも多くを期待できない状況のもとで、来年度にかけて本格的なリストラが実施されると、日本経済は非常に厳しい縮小均衡の局面を迎えることになり、場合によっては、来年度の名目GDPは前年度比マイナス5%程度まで落ち込むのではないかとの予想を付け加えた。

 このほか、会合ではさらに、景気が反転上昇していくために必要なことは何かといった論点を巡っても、活発な意見が交わされた。

 この点に関して、多くの委員は、構造調整の進捗が景気回復の必要条件となるとの認識を示した。すなわち、ある委員は、景気回復のためには、個人消費と設備投資が前向きの動きを始める必要があり、そのためには、企業収益の回復が重要なポイントとなると指摘した。その上で、その委員は、物価が下落基調を続ける見通しのもとで、どのようなことが企業収益の回復の起点になると考えられるかという問題提起を行いながら、(1)技術革新が澎湃として沸き起こるならばそれは、回復への有力な材料となりうる、(2)過去には市場環境の変化がこれを後押ししたケースもあるとしながらも、現時点ではそのいずれも望み難いとして、(3)結局、現在は、金融機関の不良債権処理と並行して、企業が徹底的なリストラによるコストの引き下げを続けることによって構造調整が進み、これが他の政策措置の効果と相俟って、次の回復への基盤を少しずつ作り上げることになるとの整理を提示した。

 また、もうひとりの委員も、生産・所得・支出のプラスの循環への転換や技術革新の進捗を期待することが難しい以上、リストラによるコスト引き下げに頼らざるをえないとの考え方を示した。そのうえで、日本企業の利潤率はきわめて低水準となっており、これを引き上げるためには、過剰設備や過剰労働の圧縮が必要であるが、それは長期的にはプラスの効果があるとしても、短期的には非常に厳しい調整プロセスを余儀なくさせるものであると発言した。

 別の複数の委員は、財政支出による景気支持策の余地が狭まっていることとの関連で、構造調整の重要さを強調した。具体的には、ある委員は、これまでの経済対策や緊急経済対策による財政負担増加に加えて、信用保証制度の拡充や預金保険機構による支援措置などが、将来の一層の財政負担増につながるリスクを指摘した。もうひとりの委員は、これまで巨額の資金を投下して経済対策を実施してきたが、それでもなお景気回復の糸口が掴めないとすれば、今後は、財政資金を公的需要の創出に使うのではなく、資本ストックや雇用の調整など、供給サイドに充てるべきであるとの見解を披瀝した。さらに、別のひとりの委員も、雇用調整を避けて通れない以上、それを前提に社会的なセーフティネットを整備しておくことが重要であるとの意見を表明した。

 もっとも、社会的セーフティーネットの整備に関する議論については、別の委員は、欧州の例を引き合いに出しつつ、構造調整の過程で失業者が発生することに備える観点からとはいえ、そうした制度の存在自体が一種の甘えを助長し、新規産業や新規技術の誕生が抑制されるなど、経済のダイナミズムが弱められる面があるとの見方を示した。

 このように、構造調整主導で景気回復を図っていく考え方に対して、ほかのひとりの委員は、企業サイドにとってリストラは不可避であるが、それだけで本格的な企業収益の回復を展望することには限界があり、相当程度の需要創出があわせて必要となることを強調した。その委員は、景気の悪化が続いている局面でリストラを進めることは難しく、リストラの実施のためには、少なくとも景気が下げ止まっていることが必要となるとの考え方を示した。

 この点に対して、冒頭、問題提起を行った委員も、単に雇用も含めてコストを切り込んでいくということを各経済主体が実施した場合には、全体として縮小均衡に向かい、景気回復の契機も掴めなくなるのは事実であるとして、種々の政策により需要を下支えする必要があるとの考え方には同意を示した。ただ、その委員は、相当数の産業において、需給ギャップが大きくなっているため、プレーヤーの淘汰を含めた調整を経ないことには資本利潤率も好転しない状況にあるとして、結局、ダイナミックな産業の再編成なしでは、回復への展望は拓けてこないことに留意する必要があるとの見解を改めて述べた。

(3)金融面の動向

 金融面については、各委員から、政府が実施した信用保証制度の拡充や公的資本受け入れを含む金融システム建て直し策の策定、さらには日本銀行による潤沢な資金供給、オペ・貸出面の措置などが一定の効果を発揮し始めており、この結果、年末に向けた金融市場は相当程度落ち着いてきているとの評価が一様に示された。

 もっとも、このうちのひとりの委員からは、市場の関心はすでに99年3月期末の資金繰りに移っており、(1)とくに企業では業績の悪化も加わって期末に向けた資金繰りに自信を持てない状態にある先が多いこと、(2)金融機関による公的資金の受け入れが、実際にどのようなかたちで金融機関の前向きのリスクテイクを高める力に繋がるのかは、現時点では明確になっていないことなどから、今後の動向は依然楽観を許さない状況にあるとの指摘があった。また、別の委員からは、期末に向けて、個別金融機関や個別企業の資金繰り動向には一段と注意を払う必要があるとの発言があった。

 金融システム建て直し策との関係では、日本債券信用銀行に対し特別公的管理の開始が決定されたことの影響について、いくつかの言及があった。複数の委員は、金融システム安定化の枠組みが整い、それが迅速に機能することが確認されたことは、内外の市場参加者の信認を回復することに役立つのではないかとの期待を述べたが、その一方で、別の複数の委員からは、今回の措置を受けて、他の金融機関がバランスシートの改善を一層強力に推し進めることになると、当面は貸出の一段の減少に繋がる惧れがあるとの指摘が行われた。

 このほか、足許の株価や長期金利の動きをどのように読むのかという点についての発言もあった。

 まず株価が、10月初旬をボトムに一時1万5千円台を回復したあと再び弱含んでいることに関連して、ある委員は、こうした株価の展開からは、経済対策の実施等によって経済が上向いているということは確認できず、銀行株の値動きからみても金融セクターが立ち直りつつあるとのシグナルはまだ読み取れないとの見解を示した。

 また、その委員は、長期金利が上昇してきていることにも言及し、各種の施策の実施によって、経済の先行きに関する過度な悲観バイアスが修正されていることを示している可能性があり、そうであれば、経済に対するマイナスの影響は限定的なものにとどまるとした上で、今後景気が底を打ったあとも、経済が自律的な反転の手がかりをつかめないのであれば、長期金利が大きく上昇する可能性は高くないとの見方を述べた。また、ほかのひとりの委員からは、一頃強まった「安全資産への選好の強まり」が巻き戻された結果、国債の流通利回りが上昇しているのではないかとの考えが示された。このように、長期金利の大幅な上昇は考えにくいとする意見が多かったが、仮に長期金利の上昇が長引き、あるいはさらに円高を招くようなことになれば、実体経済に及ぼす悪影響が大きくなるとの懸念が多くの委員から表明された。

V.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要

 以上で検討された金融経済情勢を踏まえて、当面の金融政策運営の基本的な考え方が検討された。

 経済に対する多くの委員の現状認識は、(1)足許の景気は、マクロ経済対策や、金融機関に対する流動性支援策といった一連の措置の効果が出始め、悪化がとりあえず下げ止まる方向にある、(2)ただし、その後の景気回復を確信させるような材料は依然見当たらない、というものであった。

 こうした認識を踏まえて、当面は、一連の施策の効果浸透度合いや、現在一部にみられる明るい動きの広がり具合などを注視しながら、現状の思い切った金融緩和スタンスを維持するという考え方が多数意見を占めた。

 そうしたもとで、11月に決定したオペ・貸出面の措置に関して、CPオペの拡大に続いて、現在準備中の臨時貸出制度を年内にスタートさせるとともに、社債等担保オペを具体化し実行に移すことによって、年末・年度末の資金繰り円滑化による金融市場の安定化に努めていくことが適当である、という意見が多く示された。

 こうしたなかで、長期金利が上昇を続けていることについて、多くの委員から、これからもその動向を注意してみていく必要があるとの考え方が強調された。

 このような多数意見に対して、別のひとりの委員は、前回会合に引き続き、金融調節方針の一段の緩和(コールレートの一段の引き下げ)を主張した。すなわち、その委員は、(1)わが国企業にとって来年度はリストラの正念場であり、経済情勢は、マクロ的な需給ギャップが解消されないもとで名目GDPが一層落ち込むなど、きわめて深刻な情勢に直面する可能性がある、(2)その一方で財政出動の余地にも限りがあるといった認識を示した。そのうえで、その委員は、米国大恐慌の教訓が、財・サービスの価格水準の下落を何としても回避することであることを踏まえると、景気のダウンサイドリスクが高まるとみられる99年後半頃に効果が顕現化するよう、このタイミングで一段の金融緩和措置を実施することが適当であるとの考え方を、あらためて強調した。

 また、9月の金融緩和は不要であったとの立場をとる委員からは、現下の企業経営を踏まえると、雇用削減を中心としたリストラは不可避であり、それに対して社会的なセーフティーネットを整える必要があるが、こうした社会的な対応の一翼を金融政策が担うことはできないとの主張があった。

 さらに、その委員は、9月の緩和措置の効果に関して、(1)12月の日銀短観において、企業の「資金繰り判断」や「金融機関の貸出態度判断」がさらに悪化していることや、(2)9月、10月の貸出約定平均金利の低下幅がごく小幅にとどまっており、とくに長期の貸出約定平均金利はむしろ小幅ながら幾分上昇したことを踏まえると、緩和措置の効果が得られたのかどうか疑問が残るとの指摘を行った。

 こうした緩和措置の効果に関する疑問に対して、思い切った金融緩和スタンスを維持することが適当であるとしたひとりの委員は、金融機関は融資先の信用リスクに応じてきめ細かく金利を設定するようになっており、最近の企業業績悪化に伴う信用リスクの高まりを受けて、貸出金利の設定がより厳しいものになっているのはやむをえない面があると述べた上で、仮に金融緩和を行っていなければ、貸出金利はより大きく上昇していたと考えられるとの見解を示した。また、別のひとりの委員も、オーバーナイト金利の引き下げだけで信用リスクの問題にすべて対応することは難しい面があるが、政策変更を実施していなければ金利がさらに上昇していた可能性は高く、政策変更には十分な意味があったとの見方を採った。

VI.政府からの出席者の発言

 会合の中で、政府からの出席者も発言した。まず、大蔵省からの出席者は、以下のような発言を行った。

  • わが国経済の現状は、全体として、引き続き厳しい状況にあり、こうした状況から脱却するために、恒久的減税を含めれば総額20兆円を大きく上回る規模の緊急経済対策を11月16日に政府が決定し、それを受けた第3次補正予算が12月11日に成立した。
  • この結果、平成10年度の公債発行額は12.3兆円増加して総額34兆円となり、公債依存度は38.6%となる。財政構造改革は、引き続き重要な課題であるが、まずは景気回復に全力を尽くすため、財政構造改革法を凍結するための法案を先の臨時国会で成立させた。当面の財政運営に当たっては、年度末から年度初めにかけて切れ目なく施策を実施することが重要との観点に立って、第3次補正予算と11年度当初予算をいわゆる15か月予算として一体的、連続的にとらえ、景気情勢に的確に対応した予算を編成するよう努力していく所存である。

 経済企画庁からの出席者は、12月の政府の月例経済報告の概要を中心に、次のような発言を行った。

  • 景気は低迷状態が長引き、経済はきわめて厳しい状況にあるものの、一層の悪化を示す動きと幾分かの改善を示す動きとが入り混じり、変化の胎動も感じられる。政府としては、先般取りまとめた緊急経済対策をはじめとする諸施策を強力に推進することにより、不況の環を断ち切るよう、全力を尽くしていく所存である。金融政策においても、適切な運営をお願いしたい。
  • 金融面については、信用保証制度の拡充で貸し渋り現象が幾分緩和したとの情報も一部にはあったが、12月日銀短観では、金融機関の貸出態度は緩和しておらず、また、金融システム不安が完全には払拭されていないことを踏まえると、金融機関の融資態度が再び厳しくなるリスクを抱えたままの状況にあると判断される。したがって、金融政策面では、潤沢な流動性供給を継続することをお願いしたい。

VII.採決

 以上の検討によれば、わが国の経済情勢は、これまでの財政・金融両面からの政策の効果が現れ始めていることもあって、悪化テンポが幾分和らいできているようにみられるが、景気回復につながっていくことを示すような材料・情報は得られておらず、また、金融市場も不安定さを完全に払拭するには至っていない。したがって、当面は、これらの政策効果の浸透や、金融システム建て直しの面での一層の進展などを見守りつつ、金融政策面では、現在の思い切った金融緩和スタンスを継続していくべきとの意見が大勢を占めた。

 ただし、このほかに、来年度は企業経営にとって正念場であり、そうしたもとで経済情勢はきわめて深刻な状況に直面する可能性があるとの観点から、金融市場調節方針をさらに一段緩和すべきであるとの提案も出されたため、次の2つの議案が採決に付されることとなった。

 中原委員からは、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針について、「中期的に消費者物価(総合)の年平均の変化率(12か月後方移動平均の対前年比)を1パーセント程度にまで上昇させることを企図して、無担保コールレート(オーバーナイト物)を、平均的にみて0.10%前後で推移するよう促す。なお、金融市場の安定を維持するうえで必要と判断される場合には、上記のコールレート誘導目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。」との議案が提出された。同委員は、前回会合でも同趣旨の提案を行ったが、今回の提案での変更点として、(1)前回は企図する消費者物価上昇率を0%としていたが、今回会合では、消費者物価上昇率の上方バイアス(物価の実勢に比べて物価統計が表面上高目の値を示す傾向。技術革新に伴って製品価格が急速に低下するようなケースを統計上十分に把握しきれないことに起因するもの)を織り込んで、これを1%に引き上げたこと、(2)前回は無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標を0.15%としていたが、今回は0.10%にまで引き下げたこと、を説明した。さらに、同委員は、通常、金融緩和には、金利引き下げとベースマネー拡大の2つの方法があるが、今回の提案は、オーソドックスな金利引き下げ案である旨を付言した。

 採決の結果、反対多数で否決された(賛成1、反対8)。

 議長からは、会合における多数意見をとりまとめる形で、以下の議案が提出された。

議案(議長案)

 次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を下記のとおりとし、別添1のとおり公表すること。

 無担保コールレート(オーバーナイト物)を、平均的にみて0.25%前後で推移するよう促す。

 なお、金融市場の安定を維持するうえで必要と判断されるような場合には、上記のコールレート誘導目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。

採決の結果

  • 賛成:速水委員、藤原委員、山口委員、後藤委員、武富委員、三木委員、植田委員
  • 反対:中原委員、篠塚委員

 中原委員は、(1)日本経済はきわめて厳しい状況にあり、実質GDP、名目GDPがともに、4四半期連続して前期比マイナスとなっていること、(2)来年度のわが国の企業経営は正念場を迎え、景気、物価の一段の落ち込みに晒される危険性があるが、財政政策面にこれまでのような機能を期待しづらくなっていること、(3)こうした状況の下では、さらに一段の金融緩和を実施しないと、物価の下落は防ぎきれないこと、等を理由に挙げて、上記議長案に反対した。

 篠塚委員は、(1)景気の回復には不可欠な雇用調整の痛みを和らげるような施策を打つのは財政政策の範疇であり、金融政策の仕事ではない、(2)長期にわたる超低金利がもたらす効果には引き続き疑問がある、といったことを理由に挙げて、上記議長案に反対した。

VIII.99年1月〜6月における金融政策決定会合の日程の承認

 最後に、99年1月〜6月における金融政策決定会合の日程が別添2のとおり承認され、即日対外公表することとされた。

以上


(別添1)
平成10年12月15日
日本銀行

当面の金融政策運営について

 日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、当面の金融政策運営について現状維持とすることを決定した(賛成多数)。

以上


(別添2)
平成10年12月15日
日本銀行

金融政策決定会合等の日程(平成11年1月〜6月)

表 金融政策決定会合等の日程(平成11年1月〜6月)
  会合開催 (参考)金融経済月報公表 (議事要旨公表)
11年1月 1月19日(火) 1月21日(木) (3月 2日(火))
2月 2月12日(金)
2月25日(木)
2月16日(火)
−−
(3月17日(水))
(3月30日(火))
3月 3月12日(金)
3月25日(木)
3月16日(火)
−−
(4月14日(水))
(4月27日(火))
4月 4月 9日(金)
4月22日(木)
4月13日(火)
−−
(5月21日(金))
(6月17日(木))
5月 5月18日(火) 5月20日(木) (7月 1日(木))
6月 6月14日(月)
6月28日(月)
6月16日(水)
−−
未定
未定

以上