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金融政策決定会合議事要旨

(2001年 2月28日開催分)*

  • 本議事要旨は、日本銀行法第20条第1項に定める「議事の概要を記載した書類」として、2001年4月12、13日開催の政策委員会・金融政策決定会合で承認されたものである。

2001年 4月18日
日本銀行

(開催要領)

1.開催日時
2001年2月28日(9:01〜12:57、13:46〜15:48)
2.場所
日本銀行本店
3.出席委員
  • 議長 速水 優(総裁)
  • 藤原作弥(副総裁)
  • 山口泰(  副総裁  )
  • 武富将(審議委員)
  • 三木利夫(  審議委員  )
  • 中原伸之(  審議委員  )
  • 篠塚英子(  審議委員  )
  • 植田和男(  審議委員  )
  • 田谷禎三(  審議委員  )
4.政府からの出席者
  • 財務省 若林正俊 財務副大臣(9:01〜10:57)
    田村義雄 大臣官房総括審議官(10:57〜15:48)
  • 内閣府 小林勇造 政策統括官(経済財政−運営担当)(9:01〜15:48)

(執行部からの報告者)

  • 理事松島正之
  • 理事増渕 稔
  • 企画室審議役白川方明
  • 企画室参事役鮫島正大(9:01〜9:36)
  • 企画室企画第1課長雨宮正佳
  • 金融市場局長山下 泉
  • 調査統計局長早川英男
  • 調査統計局企画役吉田知生
  • 国際局長平野英治

(事務局)

  • 政策委員会室長横田 格
  • 政策委員会室審議役村山俊晴
  • 政策委員会室調査役飛田正太郎
  • 企画室企画第2課長田中洋樹(9:01〜9:36)
  • 企画室調査役山岡浩巳
  • 企画室調査役清水誠一

I.金融政策決定会合にかかる情報管理の厳正化について

 冒頭、議長より、会合参加者全員に対し、金融政策決定会合にかかる情報管理の厳正化についての要請があった。概要は以下のとおり。

  •  金融政策決定会合が開催される都度、未公表の議事内容や議決結果等にかかる報道が行われていることは、まことに遺憾である。金融政策決定会合に対する社会的信認を確保するためには、関係者が、厳正な機密管理の確保に、従来にも増して真剣に取り組む必要がある。
  •  日本銀行の役職員は、日本銀行法や服務準則等が定める守秘義務に服し、万一これに違反することがあれば、罰則の対象となる。また、金融政策決定会合参加者の間には、「金融政策に関する対外発言についての申し合わせ」がある。
  •  会合参加者は、これらの規定や申し合わせを厳格に遵守し、機密漏洩を未然に防止するとともに、機密情報に関与する可能性のある関係者にも、その趣旨を徹底するよう、改めて要請する。

II.議事要旨の承認

 前々回会合(1月19日)の議事要旨が全員一致で承認され、3月5日に公表することとされた。

III.「『補完貸付制度基本要領』の制定等」に関する決定

1.執行部からの提案内容

(1)「補完貸付制度基本要領」の制定

 前回会合(2月9日)において、流動性供給方法の改善策として、日本銀行が予め明確に定めた条件に基づき、取引先からの借入申し込みを受けて受動的に貸出を実行する制度(いわゆる「ロンバート型貸出」制度)を新設することが決定されたところであるが、その具体化のため、「補完貸付制度基本要領」の制定を行いたい。なお、本貸付制度は、新しい積み期間が始まる本年3月16日より実施することとしたい。

(2)政策的意義が薄れている貸出制度の廃止または取扱い停止

 2000年10月13日の会合で決定された「『商業手形に準ずる手形』等特定の形態の取引を裏付けとする手形を本行の貸出政策上優遇する制度については、その政策運営上の意義が薄れていることを踏まえ、今後、廃止を含めて整理していくこととする」との基本方針を踏まえ、(1)輸入決済手形制度の本年6月末限りでの廃止、(2)商業手形再割引の6月末限りでの取扱い停止、(3)基準外貸付制度の即日廃止、を行いたい。

2.委員による検討・採決

 採決の結果、上記執行部提案が全員一致で決定され、適宜の方法で公表することとされた。

IV.金融経済情勢等に関する執行部からの報告の概要

1.最近の金融市場調節の運営実績

 金融市場調節については、前回会合(2月9日)で決定された金融市場調節方針1 に沿って運営した。その結果、オーバーナイト金利は概ね0.25%程度で安定的に推移した。

 この間、短期国債買い切りオペの積極活用方針を踏まえ、これまでに同オペを2回実施した。残存期間が3か月超の長めの短期国債を買入対象としたこともあり、いずれのオファーとも3倍を上回る高い応札倍率となった。

  1. 「無担保コールレート(オーバーナイト物)を、平均的にみて0.25%前後で推移するよう促す。」

2.金融・為替市場動向

(1)国内金融資本市場

 株価は、米国NASDAQ指数の下落や、わが国情報関連業種の収益下方修正の動き、期末に向けた持合い解消売り圧力などから、昨年初来安値圏でもみ合う展開となっている。最近の株式市場の特徴的な動きをみると、(1)前回会合における本行の流動性供給方法の改善策等の決定や、不良債権処理に対する金融当局の積極的発言を背景に、銀行株が買戻されていること、(2)1月に大幅買い越しとなった海外投資家は、2月入り後の海外の株価軟調等を受け、ここへきて再び慎重な投資スタンスに転じていること、が指摘できる。市場では、当面、日米の景気情勢等に対する先行き不透明感や、持合い解消等による需給面での警戒感などから、下値を探る展開を予想する向きが多い。

 短期金利の動きをみると、3か月物ユーロ円レートや1年物短期国債流通利回りなど、やや長めのターム物金利を中心に低下している。この背景としては、前回会合で決定した措置により、年度末越えの資金調達に安心感が生じたこと、短期国債買い切りオペの実施が好感されたこと、追加金融緩和についての予想が強まっていること、などが挙げられる。

 長期金利は、10年物国債流通利回りが概ね1.4%前後で推移している。市場では、金利リスクの高まり等を背景に、これ以上の金利低下に懐疑的な見方がある一方で、慎重な景況感や追加金融緩和の思惑から買い安心感が広がっており、当面は長期金利が上昇に向かう可能性は少ない、との予想が多い。

 この間、社債流通利回りの対国債スプレッドは、足許、若干縮小気味で推移しているが、金融セクターの一部銘柄では引き続き拡大傾向にあり、注意が必要である。

(2)為替市場

 円の対ドル相場は、概ね115〜117円台の範囲内で推移している。最近の為替市場では、国内機関投資家による年度末にかけての外貨建て資産処分の動き等が円高要因となっている一方、景気の先行き不透明感、追加金融緩和期待などが円安要因として働いている、と考えられる。市場参加者の間では、今後もこれらの要因が交錯し、方向感の乏しい展開が続く、との見方が多い。

3.海外金融経済情勢

 米国の経済指標をみると、消費者コンフィデンス指数が1月、2月と急激な落ち込みとなった。生産についても、1月にかけて4か月連続で前月比マイナスとなり、製造業の設備稼働率も92年2月以来の水準にまで落ち込んだ。これらを背景に、米国景気の先行きについては、弱気の見方が増えつつある。民間の成長率見通しも、2月に一段と下方修正された。また、FF先物市場でも、年央にかけてFRBの追加利下げを織り込む展開となっている。この間、1月の生産者・消費者物価指数は、コア・ベースでみて、やや高めの伸びとなった。

 米国金融市場では、ハイテク関連企業の収益見通しの下方修正が相次いだことなどを背景に、NASDAQ指数をはじめとして、株価の下落が続いている。こうした動きは、ユーロ・エリアや英国、エマージング市場にも波及し、2月に入って世界的な株安傾向となっている。各国株式市場での共通点をみると、TMT(テクノロジー、メディア、通信)銘柄の下落が目立っていること、金融株も軟化していること、米国経済の減速や米国株価の下落をきっかけとした市場センチメントの悪化がみられること、などが指摘できる。

 このほか、エマージング市場では、トルコで混乱がみられている。同国では、政策運営の先行き不透明感が高まったことを契機に、通貨リラの売りが嵩んだことから、当局がリラ防衛介入を行い、外貨準備が急減した。こうしたトルコの混乱が他のエマージング諸国に及ぼす影響は、現在のところ限定的であるが、今後の動向には引き続き注意を要する。

4.国内金融経済情勢

(1)実体経済

 前回会合以降公表された、輸出、設備投資、生産などの指標等を踏まえると、先行きの景気に対する下振れ方向のリスクは、前回会合時と比べてさらに高まっている、と考えられる。

 1月の実質輸出は、前月比−8.0%となり、昨年10〜12月期対比でみても、大幅な減少となった。これは、自動車輸出が大きく減少したことの影響もあるが、情報関連財輸出の減少が一段と鮮明になるなど、基調的な弱さも目立っている。一方、実質輸入は、小幅の減少に止まった。この結果、純輸出は大幅に減少している。

 設備投資関連の指標をみると、機械受注は、昨年第4四半期まで6四半期連続で増加したが、本年第1四半期の見通しは、前期比−6.4%となっている。米国経済の状況を踏まえると、機械受注の減少の動きが一時的なものに止まらない可能性がある。また、日本経済新聞社による設備投資動向調査の中間集計によれば、2001年度の設備投資計画は全産業ベースで−6.0%の減少を見込んでいる。本中間集計については、通信大手を含んでいないこともあり、最終集計までには上方改訂の可能性があるが、設備投資の先行きに関する懸念材料といえる。

 雇用者所得の面では、昨年12月の毎月勤労統計の特別給与が、確報値で下方修正された。個人消費関連指標をみると、1月の各種販売統計は比較的堅調な動きを示した。これは、1月の気温が低めに推移したこと、また家電リサイクル法施行前の駆け込み需要がみられること、などが影響していると考えられるが、基本的には、一進一退の範囲内の動きと思われる。

 本日公表された1月の鉱工業生産指数は、前月比−3.9%の大幅下落となり、また、予測指数によると1〜3月期の生産は前期比−1.7%と見込まれる。このところの生産の減速は、情報関連財や自動車の輸出減少が影響していると考えられる。また、在庫面では、電子部品や一部素材で積み上がりの動きがみられる。

(2)金融環境

 マネタリーベースは、前年はY2K問題を背景に銀行券や日銀当座預金が大幅に増加したが、その裏が出る形で、12月、1月と前年割れとなっていた。しかし、2月は、そうした前年の嵩上げ要因が剥落し、再び前年比プラスに戻る見通しにある。マネーサプライ(M2+CD)は昨年8月以降、幾分伸びを高めている。これは、郵便貯金の一部が銀行預金に流入していることが背景のひとつにあると考えられる。

 1月の企業倒産は前年比−0.4%となり、やや長い目でみると、昨年夏頃から横這い圏内で推移している。企業倒産を巡っては、今後、中小企業の売上・収益動向、銀行の中小企業向け貸出態度、本年3月末の特別保証制度終了の影響などを注意深くみていく必要がある。

V.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要

(1)景気の現状と先行き

 会合では、前回会合(2月9日)以降に明らかになった経済指標等の評価を中心に、検討が行われた。

 多くの委員が、(1)輸出の減少傾向がはっきりしてきたこと、(2)生産が足踏みから減少しつつあること、(3)設備投資の先行きについて、やや懸念される材料が出始めていること、を指摘して、景気の先行きをより警戒すべき局面に入ってきた、との認識を示した。

 このうち、ある委員は、景気が踊り場の状態から後戻りするリスクが強まっている点を踏まえると、前回会合で決定した当月の基本的見解の認識では甘く、それを改めるべきだと主張した。別の複数の委員は、これまで注視してきた2つのリスク要因、すなわち、海外経済の減速や内外資本市場動向の影響が次第に現実化しつつある、との考えを述べた。

 これらを踏まえた討議の結果、大方の委員は、(1)海外経済の減速や株価下落の影響を受けて、景気回復の動きは一段と鈍化している、(2)先行きの不透明感も強まっている、との認識を共有した。

 まず、企業部門の動きに関して、多くの委員が、輸出・生産の減少傾向がより明確になってきた、との見方を示した。複数の委員は、輸出の減少が企業の生産活動に大きな影響をもたらしている、との見解を示した。このうちのひとりの委員は、先行きの生産の動きについても、厳しめにみていく必要がある、と発言した。

 設備投資についても、多くの委員が意見を述べた。これらの委員は、機械受注の1〜3月期見通しが7四半期振りの前期比減少を見込んでいることや、日本経済新聞社のアンケート結果を合わせてみると、来年度の設備投資が減速する可能性が強まってきた、との見方を示した。このうち複数の委員は、株価の下落や、今期決算で退職給付債務の調整に関連して特別損失を計上しなければならないことが、投資意欲に悪影響を与えているのではないか、と述べた。また、ひとりの委員は、法人企業動向調査に着目し、2000年4〜6月期以降2四半期にわたり6千億円程度の設備投資が先送りされているとみられるなど、企業の投資スタンスが慎重化している、と指摘した。

 さらに、企業収益について、ひとりの委員は、まだミクロ・レベルではあるが、電気機械関連の国内大手メーカーの中に、業績の下方修正を発表する企業が出始めている点が懸念される、と述べた。また、別のある委員は、企業における保有株式にかかる時価会計適用のため、最近の株価下落により今期決算が悪化する可能性が高まっている点を指摘した。

 次に、家計部門について、ある委員は、1月の小売販売額が、寒波や家電リサイクル法施行といった特殊要因があるとは言え、ほぼ4年振りにプラスになったことは、数少ない明るい材料のひとつである、と指摘した。また、もうひとりの委員は、年末年始の個人消費関連指標の一部には、明るさが窺われると指摘した。一方、何人かの委員が、12月の特別給与が確報値で下方修正されたことに言及した。このうち複数の委員は、企業収益の改善が個人の所得面になかなか波及しにくいことが改めて確認された、との見方を示した。もうひとりの委員は、企業の生産の鈍化なども踏まえると、今後、所得環境の「底固さ」が崩れていくリスクもあり、関連情報を注意してみていくべきである、と述べた。

 この間、別のある委員は、消費の価格弾性値に関する分析を示し、90年代後半に、高・中所得階層の消費は価格に対して非弾力的になっていることを紹介したうえで、デフレ経済のもとで消費者の買い控え現象が定着している、との見解を述べた。この委員は、この結果、名目消費の落ち込みが目立っていると続けた。

 以上のような企業部門、家計部門の動きを踏まえ、景気回復メカニズムについて意見が交わされた。複数の委員は、海外経済の減速を背景に企業部門が多少停滞しても、家計部門がそれをカバーすれば問題はないが、家計部門に経済の牽引役を期待するのは難しい、と発言した。このうちひとりの委員は、その一方で、個人消費が比較的健闘しているのも事実であり、緩やかな景気回復メカニズムが途切れたと考える必要はない、との見解を示した。もっとも、別のある委員は、輸出の減少を背景とした生産の減速が、次第に企業収益の圧迫や支出活動の抑制にまで波及するとなると、これまでの「企業部門を起点とする景気回復メカニズム」自体が損なわれる可能性がある、との懸念を表明した。

 この間、別の委員は、他の委員に比べてさらに慎重な景気認識を述べた。この委員は、(1)1月の公共工事請負額が前月比1割減となった、(2)1月の乗用車・軽自動車の販売台数や首都圏のマンション契約率が前月に比べて大きく下落した、(3)景況感に関する様々なアンケート結果も芳しくない、(4)米国経済について、生産性の伸びは昨年第2四半期にピークを打ち、本年前半の実質成長率はマイナスとなる可能性が高いほか、年後半の景気回復も困難が予想される、といった諸点を列挙した。また、この委員は、景気動向指数の分析によると、遅くとも本年5月から7月にかけて景気後退局面入りする可能性がある、との見解を示した。

 物価面については、複数の委員が、国内の需給バランスが再び悪化する惧れがある、との警戒感を示した。これらの委員は、同時に、物価が弱含み傾向にあることが企業収益や賃金に悪影響を与えるリスクがある、との認識を示した。このうちひとりの委員は、構造調整が先送りされる中で、本来市場で淘汰されるべき企業によるコスト無視の安値競争が、物価下落に影響している面がある、と発言した。別のある委員は、様々な物価指数に加え、地価も下落しており、現在はデフレが進行している状況にある、と発言した。こうした議論を経て、大方の委員の間で、物価は弱含みの動きが続いており、今後、需要の弱さを反映した物価低下圧力が再び強まる懸念がある、との認識が共有されるに至った。

(2)金融面の動き

 金融面では、まず、何人かの委員が、前回会合で決定した流動性供給方法の改善策と公定歩合の引き下げによって、期末越えを含むやや長めの短期市場金利が大きく低下していることを指摘した。これらの委員は、こうした市場金利の動きは、金融緩和を強化するという前回の措置の狙った効果が現れているものであり、景気を下支えする方向で作用することが期待できる、と述べた。ただ、このうちひとりの委員は、そうした金利低下には、先行きコールレート誘導水準引き下げを含む金融緩和措置が採られるであろうとの市場の思惑も影響している、との見方を付け加えた。

 株価の下落についても、何人かの委員が発言した。ひとりの委員は、日経平均株価はバブル後最安値を一時下回ったが、TOPIXはバブル後最安値をまだ2割以上上回っているため、冷静な判断が必要であると指摘したうえで、やはり、家計や企業の心理面への影響には留意すべきである、と述べた。別のある委員は、日本株のPERを点検すると、例えば米国S&P指数に比べて引き続き水準がかなり高く、日本の株価はなお割高であるとの見方を示した。また、もうひとりの委員は、株安が銀行の経営体力を低下させ、銀行の貸出姿勢が厳格化するのではないかとの見方が、借入企業の側で強まりつつある、と発言した。

 これに関連して、ある委員は米国株式市場の動きについて触れた。この委員は、取引金額の対GDP比率をみると、昨年の状況は、1929年の株価暴落直前の水準よりはるかに高く、最近のバブル的状況が際立っているとの見方を述べた。また、このところの各株価指数の動きをみると、NASDAQ指数の下落に加え、S&P指数の急落も目立っており、これがNYダウの大幅な下落に波及していくことが心配される、と続けた。

 金融機関の不良債権問題についても、意見が出された。複数の委員は、金融庁や関連省庁がどのような対応を打ち出すのかは現時点では明らかではないが、今回こそ、不良債権問題の抜本的な処理に繋がるような手当てを期待したい、と述べた。このうちひとりの委員は、こうした金融システム面での抜本的な対策がマクロ経済に与える影響について、デフレ的な影響が出る惧れがある一方、内外の市場参加者が納得するような方策であれば、市場環境が好転する可能性もある、と整理した。そのうえで、ただ、短期的に不良債権処理額が膨らむ場合には、一時的にデフレ圧力が高まることに留意すべきである、との認識を示した。

VI.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要

 以上のような金融経済情勢を踏まえて、当面の金融政策運営の基本的な考え方が検討された。

 多くの委員の金融経済情勢に関する認識は、(1)海外経済の減速や株価下落の影響を受けて、景気回復の動きは一段と鈍化している、(2)先行きの不透明感も強まっている、(3)物価は弱含みの動きを続けており、今後、需要の弱さを反映した物価低下圧力が再び強まる懸念がある、といったものであった。

 こうした情勢判断を踏まえ、当面の金融政策運営の考え方については、(1)今回の会合において、追加緩和措置を講ずるべきかどうか、(2)追加緩和策を講ずるとすれば、具体的にどのような方法が考えられるか、という論点について、議論が行われた。

 ある委員は、前回の決定により、市場の流動性が枯渇したり、それが景気回復に悪影響を与える惧れを封じ込めることができたが、その後得られた景気判断材料の重みを踏まえると、この際、追加的な措置を講じることも検討に値するのではないか、との問題提起を行った。ただし、この委員は、一方で、金利面での対応余地が極めて限られている中、もう少し追加情報を待ってから、よりイノベーティブな政策措置を講じるという考え方もありうる、と付け加えた。

 こうした問題提起に対して、多くの委員は、今回、何らかの追加措置を講ずる方針を支持する意見を表明した。

 このうち、複数の委員は、日本銀行として、経済の先行きに懸念を有しているとのメッセージを発するべきであり、このことは、金融政策のフレキシビリティを強調する意義もある、と述べた。ある委員は、その具体的方法として、コールレートの誘導水準および公定歩合の若干の引き下げが望ましいと考えられ、かつ、本日、ロンバート型貸出制度の細目を公表することと合わせれば、ある程度の相乗効果も期待できるのではないか、と続けた。

 別のある委員は、(1)現在、企業は需給悪化による価格下落と株価下落の2つの収益下押し要因を抱えており、景気が踊り場から後戻りするリスクがある、(2)再び緩やかな回復軌道に復することが重要であり、構造改革・不良債権処理を進めて景気回復に繋げるプロセスの中で、強力なデフレ圧力が生じる可能性がある、といった点を挙げて、これらに対応した金融政策上の措置が必要である、と主張した。この委員は、(1)前者に対しては、現在の政策フレームワークのもとで、コールレートを若干下げ、資金供給量を増やすことが適当である、とした。(2)後者に対しては、マネタリーベースとマネーサプライの連動関係が不安定化している状況を踏まえ、全く違った発想に基づく強力な措置を講ずることも念頭に置くと、まず、コールレートのゼロ近傍への引き下げ、国債買い切りオペの対象銘柄拡充や増額による流動性供給量の一層の増加が必要であり、さらに従来の金利ターゲットから量的ターゲットへの転換、物価目標の設定といった政策フレームワークの変更も検討する意義があると、述べた。ただし、こうした手段も含め一気に大胆な政策をとるのか、ステップを踏んでいくべきかは、慎重に検討すべきであると、付け加えた。

 もうひとりの委員は、日本銀行として、(1)景気に対するダウンサイド・リスクが一段と強まる中で、「物価下落を放置しない」というメッセージを強く打ち出す必要がある、(2)そのうえで、国債買い切りオペの増額についても、今後は弾力的に対応すべきである、(3)具体的には、国債買い切りオペは、「消費者物価指数(除く生鮮)の前年同期比が安定的にゼロ%以上になるまでの間」買入額を増額することが適当である、と述べた。その効果について、経済主体の期待形成にポジティブな影響が及び、長期金利の低下や低位安定、あるいは為替の円安化を促し、ひいては物価下落に歯止めをかけることが期待できる、と説明した。他方、この委員は、(1)買い切りオペ増額の期間についての上記コミットメントは、財政規律を維持するための明確な歯止めとしても機能する、(2)具体的な買い切りオペ額について、毎月8千億円程度とすれば、買入国債にかかるキャピタル・ロスを、債券取引損失引当金でカバーできるのではないか、と付け加えた。

 さらに別の委員は、日本銀行のこれまでの政策対応は、「too little、too late」であったと評価したうえで、物価安定目標付きマネタリーベース・ターゲティングの採用が望ましいとしつつ、そのファースト・ステップとして、まずはゼロ金利政策に戻ることが適当である、と述べた。この委員は、(1)景気は外需の減少に加え、設備投資も失速の懸念があり、日本銀行が描いてきた標準シナリオはもはや崩れている、(2)株価がバブル崩壊後の安値を更新しており、マインド面を通じて実体経済へ悪影響をもたらす懸念がある、(3)各種物価指数はいずれも前年比マイナスであり、現在はデフレ的状況にほかならない、(4)このまま手を拱いているとデフレ・スパイラルに陥りかねないほど経済状況は切迫している、といった点を理由として列挙した。

 一方、他の複数の委員は、今回、追加的な政策対応を採ることに慎重な意見を述べた。ひとりの委員は、その理由として、(1)景況感が悪化しているとは言え、直ちに景気が底割れする状況ではない、(2)国債買い切りオペ増額などの政策レジーム変更については、理論、実務両面にわたって、政策委員会として議論を尽くすべきである、(3)不良債権処理を中心とする構造調整に伴うデフレ圧力に対しては、金融政策上の対応に加えて社会的セーフティネットも併せて必要であり、その点を含めた十分な議論が必要である、といった点を挙げた。もうひとりの委員は、(1)ゼロ金利政策を導入した99年初め頃と今日の情勢は異なっている、(2)現在は、金利機能や市場機能を十分活かし、競争を通じて構造改革を進めていくことが重要である、(3)預金金利が再び低下すると消費者マインドに悪影響が及ぶ惧れがある、等を指摘した。

 この間、先行きの政策運営についてのコミットメント(時間軸効果)、量的緩和、国債買い切りオペ増額など、通常では行われないような政策手段の有効性について、議論が行われた。

 まず、ひとりの委員がこれまでの議論を整理した。この委員は、金利がゼロ近辺まで低下した後は、単純に資金の量を増やしただけでは大きな効果は期待しにくい、と述べた。そのうえで、金融緩和策として強い効果がありうるのは、(1)長期金利に直接影響を与えるような国債買い切りオペの増額、(2)財務省の所管ではあるが、為替レートの円安誘導、(3)金融緩和策の継続を現時点でコミットする方法、が考えられると説明した。そのうえで、物価下落阻止のために国債買い切りオペの増額を主張した委員に対し、金融緩和を継続するというコミットメントによる時間軸効果を通じて長期金利の低下が実現できるはずであり、そうした中で、あえて国債買い切りオペを増額する狙いはどこにあるのか、と質問した。

 これに対し、国債買い切りオペ増額を主張した委員は、前述の提案について、(1)最も重要な意義は、日本銀行は物価下落を放置しないというメッセージを強く出すことにある、(2)現状の金融調節方針(コールレートを0.25%前後に誘導する)を維持したままであっても、長期金利の低位安定や為替の円安化を促すことができる、(3)また、金融調節面についても、財政要因による資金不足幅が大きくなっている中で、今回の提案は、短期の流動性供給の負担を軽減し、金融調節の機動性を一段と高めることに資する、などの点を指摘した。

 これらの論点に関し、ある委員は、国債買い切りオペが長期金利に与える影響は必ずしも確かではないとの考えを述べた。別のある委員は、長期金利の抑制などを目的に国債買い切りオペを増額すると、金融政策や国債に対する信認を低下させ、かえって金利上昇をもたらす惧れもあり、そうした狙いによる買い切りオペ増額は行うべきではないと述べた。

 これらの議論を通じて、大方の委員の間では、以下のような認識が共有されるに至った。

  1. (1)前回会合以降得られた材料は、景気の先行きのダウンサイド・リスクがさらに高まっていることを示しており、このタイミングで、何らかの政策対応を図ることが適当である。
  2. (2)しかし、通常は行われないような政策手段まで踏み込むかどうかは、次回以降の会合で、景気・物価情勢を見極めつつ、引き続き検討を深めるべきである。
  3. (3)本日の段階では、日本銀行として機動的・弾力的な対応を図る観点から、政策金利の小幅引き下げを実施することが適当である。

 以上を踏まえ、ある委員が、コールレートの誘導水準と公定歩合をそれぞれ0.1%ずつ引き下げることが、本日の議論を踏まえた方法として適当ではないか、と総括した。この考えに対し、当初、今回の政策対応に慎重なスタンスを示していた委員も含め、多くの委員が賛意を示すに至った。

 ただし、ひとりの委員は、99年2月のゼロ金利政策導入時の経済状況と比較しつつ、(1)当時と比べて名目GDPが、各需要項目とも大きく下回っている、(2)政府債務残高が大きく膨らみ、財政政策の発動余地が乏しくなっている、(3)金融機関の株式含み益が一段と減少している、(4)景気循環的に、当時は底入れ直前であったが、現在は下降局面に入りつつある、ことから、現在の方が厳しい経済情勢にあるとの判断を示して、現時点でゼロ金利政策に復帰すべきである、との意見を述べた。また、物価下落阻止のために国債買い切りオペの増額を主張した委員は、本日、何らかの措置を講ずることには賛成した。しかし、この委員は、99年2月に採ったゼロ金利政策のメリット、デメリットをきちんとサーベイした後でなければ、先行きゼロ金利政策の復活に繋がりうる今回の金利引き下げには、反対である、と主張した。

 このほか、会合では、構造改革の必要性についても、議論があった。何人かの委員は、日本銀行が中央銀行として必要な措置を講じたとしても、それだけで日本経済の根本的な問題が解決するわけではない、と指摘したうえで、日本経済の持続的な回復を確実なものとするためには、金融システム面や経済・産業面での構造改革が不可欠な条件である、との認識を強調した。この点に関し、ひとりの委員は、(1)構造改革の基本は、市場原理のもとでの民間の自助努力である、(2)政府の役割は、そのための環境整備や、先行きのスケッチを明示することである、(3)財政政策面では、量ではなく質を意識した財政支出が重要である、と述べた。これらの委員は、各方面に対して、不良債権処理を通じた金融システム問題の解決をはじめ、構造改革に一層積極的に取り組むべきことを訴えていくべきである、と主張した。

VII.政府からの出席者の発言

 会合の中では、財務省からの出席者より、以下のような趣旨の発言があった。

  •  わが国経済は、雇用情勢が依然として厳しく、個人消費も概ね横這いの状態が続いているほか、企業部門についても、輸出の減速を背景に生産の伸びが鈍化するなど、景気の改善テンポがより緩やかになっている。また、米国経済の減速など、先行き懸念すべき点がみられる。こうした中、物価は、原油価格の高騰にもかかわらず、消費者物価指数、GDPデフレータの前年比マイナスが続いており、物価の下落が実質金利の上昇、実質債務負担の増大などを通じて経済に与える影響について、留意する必要があると考えている。
  •  政府としては、景気を自律的回復軌道に確実に乗せるため、平成12年度補正予算の円滑かつ着実な執行と、平成13年度予算の早期成立を図ってまいりたい。先般G7が開催されたが、わが国経済について、「景気の緩やかな回復が期待されるが、物価の下落が続き、下方リスクが残っている。この観点から、金融政策は、潤沢な流動性供給を引き続き確保すべき」旨が声明に盛り込まれたところである。
  •  日本銀行におかれては、2月9日の会合において決定された流動性供給方法の改善策の着実な実施により、豊富で弾力的な資金供給を行って頂きたいと考えている。また、今後の金融政策運営について、金融市場をはじめ内外の強い関心が集まっているが、特に景気の先行きに懸念すべき点がみられる中で、物価の下落が続いていることに十分配慮し、時機を失せず適切な対応をとるようお願いしたい。

 内閣府からの出席者からは、以下のような趣旨の発言があった。

  •  先般の2月16日の月例経済報告では、景気は全体として緩やかな改善が続いているという前月の判断から、景気の改善はそのテンポがより緩やかになっているという判断に変更した。最近の景気動向をより具体的にみると、第1に、米国経済の減速から輸出が弱含み、それに伴い生産の増加テンポも緩やかになっている。第2に、個人消費は概ね横這いであり、失業率は高水準で推移するなど、景気は厳しい状況をなお脱していない。第3に、ただ、企業収益や設備投資は増加しており、自律的回復に向けた動きは続いている。また、景気の先行きについては、米国経済の減速など懸念すべき点がみられる。
  •  昨日行われた第4回経済財政諮問会議では、日本経済がその潜在力を発揮するためには経済社会の構造改革が重要であり、不良債権処理の促進を含む包括的な経済活性化の方策をまとめることが重要であるとの認識が多くの方から出された。
  •  日本銀行におかれても、景気の自律的回復を確実なものとするため、景気の先行きについて懸念すべき点がみられることを踏まえて、豊富でかつ状況に応じて弾力的な資金供給を行うなど、予防的観点を含めた適切かつ機動的な金融政策の運営を行って頂きたい。

VIII.採決

 以上のような議論を踏まえ、会合では、通常は行われないような政策手段まで踏み込むかどうかについては、今後、景気・物価情勢も踏まえ、さらに検討を深めていくことを前提としつつ、今回は、コールレートの誘導水準を0.1%引き下げて0.15%前後にするとともに、公定歩合を年0.1%引き下げて年0.25%とすることが適当である、という意見が大勢を占めた。

 ただし、ひとりの委員からは、ゼロ金利政策に復帰するとともに、期末等の金融機関の資金繰りに一段の安心感を与えるために公定歩合を年0.1%に引き下げるべき、との考えが示された。さらに、この委員は、ゼロ金利政策で不十分な場合には、かねてより主張している、物価安定目標付きのマネタリーベース・ターゲティングによる量的緩和に踏み切る必要がある、と付け加えた。

 また、もうひとりの委員からは、現行の金融市場調節方針は変更せずに、消費者物価指数(除く生鮮)の前年比が安定的にゼロ%以上になるまでの間、金融市場調節の一層の機動性を確保する観点から、国債買い入れ額を増額するべきである、との考えが示された。また、この委員は、買い入れ国債にかかるキャピタル・ロスを日本銀行の債券取引損失引当金でカバーできるよう、当面の買い入れ額の目処を現在の倍とする旨、付け加えた。

 この結果、以下の議案が採決に付されることとなった。

 中原委員からは、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針について「豊富で弾力的な資金供給を行い、無担保コールレート(オーバーナイト物)を、できるだけ低めに推移するよう促す」とともに、公定歩合を「年0.25%引き下げ、年0.10%とし、平成13年3月1日から実施する」との議案が提出された。

 採決の結果、反対多数で否決された(賛成1、反対8)。

 篠塚委員からは、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針について「無担保コールレート(オーバーナイト物)を、平均的にみて0.25%前後で推移するよう促す」とともに、国債買い切りオペに関し、「消費者物価指数(除く生鮮)の前年同期比が安定的にゼロ%以上になるまでの間、金融市場調節の一層の機動性を確保する観点から、買入金額を、現在の月4千億円程度から、増額する。なお、当面は、国債買入金額を、月8千億円程度とする」との議案が提出された。

 採決の結果、反対多数で否決された(賛成2、反対7)。

 議長からは、会合における多数意見をとりまとめるかたちで、以下の2つの議案が提出された。

金融市場調節方針に関する議案(議長案)

 次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を下記のとおりとすること。対外公表文は別途決定する。

 無担保コールレート(オーバーナイト物)を、平均的にみて0.15%前後で推移するよう促す。

採決の結果

  • 賛成:速水委員、藤原委員、山口委員、武富委員、三木委員、植田委員、田谷委員
  • 反対:中原委員、篠塚委員

公定歩合に関する議案(議長案)

 日本銀行法第33条第1項第1号の手形の割引に係る基準となるべき割引率(以下「基準割引率」という。)および同項第2号の貸付けに係る基準となるべき貸付利率(以下「基準貸付利率」という。)を年0.10%引き下げ、下記のとおりとし、平成13年3月1日から実施すること。対外公表文は別途決定すること。

基準割引率および基準貸付利率     年0.25%

採決の結果

  • 賛成:速水委員、藤原委員、山口委員、武富委員、三木委員、植田委員、田谷委員
  • 反対:中原委員、篠塚委員

中原委員は、(1)景気は昨年8月以降下降しつつあり、昨年8月のゼロ金利政策の解除は失敗であったと考えられることから、悪化の度合いが加速しつつあるこの期に至っては、中途半端な対応では不十分である、(2)実体経済が急速に悪化しているほか、地価も含めてデフレ傾向がますます強まり、名目GDPが縮小しているなど、日本銀行の描いてきた標準シナリオは崩れており、現時点においても日本銀行の判断は景気実態に依然追い付いていない、(3)ここで思い切った追加的緩和措置を打ち出さないと、一段と金融緩和を求める声が強まり、日本銀行の独立性に問題が生じる危険性すらある、(4)株価下落は深刻で、3月末にかけてどういった状況となるか予断を許さない、といったことを挙げたうえで、上記2つの議案の採決において反対した。

篠塚委員は、(1)ゼロ金利政策に対する評価が不十分なまま、先行きゼロ金利政策に繋がるような安易な金利引き下げは避けるべきである、(2)むしろ、先行きの景気下振れリスクが一段と高まっている中で、物価下落に歯止めをかけるため、我々は何か強いメッセージを出すことがぜひとも必要である、として、上記2つの議案の採決において反対した。なお、同委員は、今回は、消費者物価を用いたコミットメントや長期国債買い切りオペ増額についての提案は否決されたが、執行部に対して、今後に向けて、それらを引き続き検討して欲しい、と述べた。

IX.対外公表文の検討

 本日の決定を踏まえ、対外公表文「金融市場調節方針の変更および公定歩合の引き下げについて」が、賛成多数で決定され、別添のとおり公表することとされた。

採決の結果

  • 賛成:速水委員、藤原委員、山口委員、武富委員、三木委員、植田委員、田谷委員
  • 棄権:中原委員、篠塚委員

 なお、政策変更時の恒例にしたがい、本日、議長が記者会見を行うこととなった。

以上


(別添)
平成13年2月28日
日本銀行

金融市場調節方針の変更および公定歩合の引き下げについて

1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、金融市場調節方針と公定歩合を以下のとおりとすることを決定した。

  1. (1)金融市場調節方針の変更(賛成多数)
    無担保コールレート(オーバーナイト物)を、平均的にみて0.15%前後で推移するよう促す。
  2. (2)公定歩合の引き下げ(賛成多数)
    公定歩合を、年0.25%とし、3月1日より実施する。

2.日本経済の状況をみると、海外経済の減速や株価下落の影響を受けて、景気回復の動きは一段と鈍化しており、先行きの不透明感も強まっている。この間、物価は弱含みの動きを続けており、今後、需要の弱さを反映した物価低下圧力が再び強まる懸念がある。

3.今回の措置は、こうした情勢を踏まえ、金融面から景気回復を支援する力をさらに強化するとともに、物価の安定に資することを目的として行うものである。

4.日本銀行は、日本経済が民間需要主導の自律的な回復軌道に復することを目指して、今後とも、機動的・弾力的な金融政策運営に努めていく方針である。

5.日本経済の持続的な回復を確実なものとするためには、金融システム面や経済・産業面での構造改革が不可欠の条件である。日本銀行としては、各方面における構造改革に向けた取り組みが一層速やかに進展することを強く期待している。

以上