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金融政策決定会合議事要旨

(2002年 6月26日開催分) *

  • 本議事要旨は、日本銀行法第20条第1項に定める「議事の概要を記載した書類」として、2002年8月8、9日開催の政策委員会・金融政策決定会合で承認されたものである。

2002年 8月14日
日本銀行

開催要領

1.開催日時
2002年6月26日(9:00~12:44)
2.場所
日本銀行本店
3.出席委員
  • 議長 速水 優 (総裁)
  • 藤原作弥 (副総裁)
  • 山口 泰 (副総裁)
  • 植田和男 (審議委員)
  • 田谷禎三 (審議委員)
  • 須田美矢子(審議委員)
  • 中原 眞 (審議委員)
  • 春 英彦 (審議委員)
  • 福間年勝 (審議委員)
4.政府からの出席者
  • 財務省 谷口 隆義 財務副大臣
  • 内閣府 小林 勇造 内閣府審議官

(執行部からの報告者)

  • 理事増渕 稔
  • 理事永田俊一
  • 理事平野英治
  • 企画室審議役白川方明
  • 企画室企画第一課長櫛田誠希
  • 金融市場局長山本謙三
  • 調査統計局長早川英男
  • 調査統計局企画役門間一夫
  • 国際局参事役高橋 亘

(事務局)

  • 政策委員会室長橋本泰久
  • 政策委員会室審議役中山泰男
  • 政策委員会室調査役斧渕裕史
  • 企画室調査役長井滋人
  • 企画室調査役山岡浩巳

I.金融経済情勢等に関する執行部からの報告の概要

1.最近の金融市場調節の運営実績

 金融市場調節については、前回会合(6月11、12日)で決定された方針1にしたがって、当座預金残高を15兆円程度に維持する調節を行った。こうした調節のもとで、無担保コールレート翌日物(加重平均値)は、0.001~0.002%で落ち着いて推移した。

  1. 「日本銀行当座預金残高が10~15兆円程度となるよう金融市場調節を行う。なお、資金需要が急激に増大するなど金融市場が不安定化するおそれがある場合には、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。」

2.金融・為替市場動向

 前回会合以降、日本銀行による潤沢な資金供給を背景に資金余剰感が強いもとで、短期金利は低位安定を続けている。とりわけ、ユーロ円レート(3か月物)は、投資家のリスクテイク姿勢の強まりもあって低下傾向を辿り、現在0.020%と既往最低水準となっている。ユーロ円レートと短国レートとの格差も縮小している。

 一方、株式市場や為替市場では、米国株価の下落を受けて、神経質な相場展開が続いた。

 すなわち、3月以降米国株価が下落傾向を辿る一方で、本邦株価は、6月上旬までは企業収益の改善期待などを背景に総じて底固く推移した。しかし、6月中旬以降は、米国株価の下落に本邦株価が追随する傾向が強まっている。最近の米国株価下落の背景には、企業会計への不信感やテロ再発懸念に加え、先行きの米国経済の回復力への懸念もあると考えられ、これが日本の先行きの景気回復力への懸念にも結び付いているように窺われる。

 為替市場では、米国株価の下落やテロ再発懸念等を背景に、ドル安の動きが進んでおり、これを受け、円は対ドルで上昇している。なお、ドルの下落傾向は対ユーロで一段と顕著であり、円は対ユーロではむしろ若干下落している。

 長期金利は、株価下落や対ドルでの円高傾向を背景に軟化し、足許では1.3%程度となっている。この間、社債や銀行発行債のクレジット・スプレッド(これらの債券の流通利回りと国債流通利回りの格差)は、引き続き縮小傾向を辿っている。

3.海外金融経済情勢

 米国の実体経済指標をみると、5月の鉱工業生産が前月比+0.2%と5か月連続の増加となるなど、概ね、景気が引き続き回復基調にあることを裏付けるものとなっている。

 家計部門をみると、5月の小売売上高は減少し、消費者コンフィデンスの低下もみられたが、小売売上高の減少には、ガソリン価格の低下や天候要因も寄与しているとみられ、6月入り後は自動車やチェーンストアの販売も持ち直している模様である。これらからみて、個人消費は引き続き堅調さを持続していると考えられる。

 この間、住宅着工は高水準が続いている。住宅の在庫水準も低く、長期金利も低下していることから、当面、住宅投資が大きく減速するリスクは小さいように思われる。

 対外収支面をみると、輸入の増加を主因に、対外収支の赤字幅は拡大している。

 一方、米国金融市場では、IT関連を中心に株価の下落が続いている。こうした中で、先行きの利上げ予想も後退した。

 実体経済面で大きな変化がみられない中で、株価が下落している背景としては、企業会計への不信などの要因が挙げられている。このほか、昨年末以降の株式市場における景気拡大期待が経済実態に比べもともと過大であり、これが修正されつつあることが指摘できる。これに加えて、財政の赤字転化やテロ再発懸念を背景に、90年代の米国経済の繁栄を支えた財政黒字や「平和の配当」といった前提条件が崩れつつあるかもしれないとの懸念も作用しているように窺われる。

 ユーロエリアおよび東アジア経済については、各種経済指標は概ね、景気の底入れないし回復傾向を裏付けるものとなっている。

 エマージング諸国の金融市場をみると、アジアでは総じて安定基調を維持しているが、アルゼンチンのほか、最近ではブラジルやトルコでも、国債金利上昇(米国債とのスプレッド拡大)や通貨安、株価下落といった不安定な動きがみられている。

4.国内金融経済情勢

(1)実体経済

 前回決定会合以降、5月の通関統計や、夏季賞与、企業収益、設備投資に関する民間調査結果などが公表された。これらの経済指標は、「国内需要は依然弱いものの、輸出がはっきりと増加し生産も持ち直すなど、下げ止まりに向けた動きがみられる」という前回会合時の判断に概ね沿ったものであるが、その中で、輸出の伸びが幾分際立ってきているように窺われる。

 すなわち、輸出入をみると、輸出はIT関連財を中心に、最近では大幅な増加となっている。この間、輸入も下げ止まりつつある。

 各種民間調査機関による企業収益のアンケート調査はいずれも、今年度の企業収益は前年比大幅な増益に転じるとの見通しを示している。

 一方、各種調査機関の実施する夏季賞与のアンケート調査によれば、今夏の賞与は、前年比かなりの減少となる見込みである。

 個人消費関連指標をみると、所得環境が厳しい中で、全般に弱めの動きが続いているが、そうした中で、5月の家電販売は、ワールドカップ効果からテレビの販売が高い伸びを示したことを受け、全体でも前年比増加となった。

(2)金融環境

 金融環境の面では、前回会合以降新たに発表された指標は少ない。社債やCPの発行環境は改善傾向を辿っており、スプレッドの縮小傾向も続いている。このような環境の下で、相対的に格付けが低めの社債・CP(社債ではA格、CPではA2格以下)の発行ウエイトが幾分上昇している。

 量的金融指標の動きをみると、銀行券やマネタリーベースは6月入り後も高い伸びを続けている。

 企業倒産は、引き続き高水準で推移している。内訳をみると、破産など法的申し立てによる倒産のウエイトが5か月連続して3割以上を占めている。その背景としては、(1)事業継続を断念する企業が増えていること、(2)金融機関側で不良債権の最終処理の動きが進んでいること、(3)債権者等が透明な破綻処理プロセスを指向する傾向を強めていること、(4)民事再生法など、法制面での整備がある程度進んだこと、が指摘できる。

II.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要

1.景気の現状と先行き

 景気の現状について、多くの委員は、(1)前回会合以降に公表された経済指標は、前回会合時の「国内需要は依然弱いものの、輸出がはっきりと増加し生産も持ち直すなど、下げ止まりに向けた動きがみられる」との判断や、4月の「展望レポート」の「標準シナリオ」に沿ったものとなっている、(2)そうした中で、輸出面を中心に、幾分強めの指標もみられている、との見解を示した。

 米国の経済動向について、多くの委員は、(1)実体経済指標は総じて景気の回復基調を裏付けるものとなっている一方で、(2)金融市場では、株価下落やドル安といった相反する現象がみられていること、を指摘した。

 そのうえで、これらの委員は、米国経済は、基調としては回復傾向が続いているとみられるが、株価に象徴される金融市場の弱めの動きがいかなる要因に基づくものか、また、これが先行きの経済にどのような影響を及ぼしていくのか、注意深く見守っていく必要があるとの見解を共有した。さらに何人かの委員は、米国株価の下落が、国際的な資金フローへの影響などを通じて国際金融市場に影響を及ぼす可能性についても、注視していく必要があると述べた。

 次に、国内経済動向について、検討が行われた。

 多くの委員は、(1)輸出の増加や生産の持ち直しを背景に、企業収益も改善しつつあること、(2)その一方で、夏季賞与はかなりの減少となる見通しであること、などに言及した。何人かの委員は、こうした動きは、企業部門の回復と所得面における調整圧力の併存という、4月の「展望レポート」の「標準シナリオ」に沿ったものといえる、との見方を示した。

 輸出・生産の動向について、多くの委員は、輸出は現在、予想以上に大幅な伸びを示しているが、これには世界的なIT関連財の在庫復元の動きが影響している可能性が高く、今後、在庫水準が戻るにつれて輸出増加のテンポは緩やかになっていく可能性が高いとの見解を示した。このうち複数の委員は、輸出が高い伸びを示しているもう一つの大きな背景として、アジア経済が内需の好調と域内相互取引の拡大から堅調な回復を続けており、日本からアジア向けの素材輸出などが大幅に増加していることも指摘した。

 このうちひとりの委員は、メーカーの中には、情報通信関連の在庫積み増しの動きが急激との判断から、すでに発注に警戒的なスタンスに転じつつある先もある、と紹介した。一方で、別のひとりの委員は、先行きはともかく、現在これだけ大幅に輸出が増加していることは、国内の生産や企業収益の面にプラスの影響を与えているはずである、と指摘した。

 また、多くの委員は、各種調査機関の調査において、本年度の企業収益は大幅増加が見込まれていることを指摘し、4月の「展望レポート」で想定した、輸出の増加が生産を刺激し、企業収益の増加につながっていくメカニズムは徐々に働いている、との見解を示した。

 この間、ひとりの委員は、(1)第3次産業活動指数は下げ止まったとは言えないこと、(2)内訳をみても、非製造業関連向けの活動の弱さが目立っていること、からみて、企業部門の前向きな動きはなお輸出関連の製造業中心であり、非製造業分野に広がっているとはいえない、と述べた。さらに別のひとりの委員も、電力需要や特定サービス産業動態統計調査を紹介しながら、こうした見方をサポートした。

 家計部門については、多くの委員が、夏季賞与がかなりの減少となる見込みであることに言及し、企業のリストラ姿勢が維持されるもとで、家計の所得環境が引き続き厳しいことを指摘した。

 このうちひとりの委員は、(1)このような名目賃金の調整は、最近みられる雇用調整の速さと一体のものであること、(2)賞与は過去の企業収益に左右されやすいことを踏まえれば、特にサプライズとは言えない、と述べた。別のひとりの委員は、こうした企業の人件費抑制スタンスは、企業収益の増益予想と裏腹の面があり、民需全体への影響をトータルで考えていく必要がある、と指摘した。

2.金融面の動向

 多くの委員は、(1)米国株価が下落傾向を続ける中、6月中旬以降は本邦株価もこれに引きずられる形で下落傾向を辿っていること、(2)ドルの全面安傾向を反映して、円も対米ドルで円高となっていること、を指摘した。このうち複数の委員は、日本経済の回復シナリオを考えるうえで、金融市場に由来するリスクの度合いは若干強まっている、と現状を整理した。

 そのうえで、これらの委員は、(1)このような市場動向が、いかなる市場参加者の見方を背景としているのか、(2)また、これらが内外経済や金融環境などにどのような影響を及ぼしていくのかという2つの面から、注意深くみていく必要があると述べた。

 まず、日米両国における株価下落の背景について、議論が行われた。

 多くの委員は、(1)米国では、会計不信やテロ再発懸念に加え、景気や企業収益の先行きに対する市場の不透明感が根強いこと、(2)こうした中で、構造問題を抱える日本の景気回復は、なお輸出に依存する度合いが強いとみられていること、などが最近の日米両国の株価下落に結びついている、との見方を述べた。

 さらに、複数の委員は、米国株価下落の背景として、(1)家計支出から設備投資への需要のバトンタッチが遅れているとの市場の見方、(2)米国の中期的な期待成長率の下方修正、を付け加えた。このうちひとりの委員は、米国の中期的な期待成長率の下方修正が、投資家のグロ−バルなポートフォリオ組み換えの動きを招いているとすれば、米国株価の下落に今後とも日本株が追随するとは限らないのではないか、と付言した。

 また、わが国における株価下落の影響について、多くの委員は、企業や家計のマインド面、さらには企業金融面や金融システム面への影響を、十分注意してみていく必要がある、と述べた。さらに複数の委員は、株価の下落が銀行や生保の財務体力に及ぼす影響について注意を喚起した。このうちひとりの委員は、外国人投資家による対内証券投資の積極姿勢は基調的には維持されているが、この間に、国内の金融システムの安定化を進めることが重要である、と述べた。

 ひとりの委員は、NASDAQ下落のマグニチュードは、日本の株価バブル崩壊の規模に匹敵するが、(1)米国の経済規模は日本の約2倍であることや、(2)不動産価格は堅調であること、(3)日本とは異なり、損失が銀行部門に集中しにくいこと、(4)NYダウ下落のマグニチュードはNASDAQに比べかなり小さめであること、等からみて、その米国経済への直接の影響は、日本のバブル崩壊に比べれば限定的であろう、との見方を示した。同時にこの委員は、米国経済が本格回復を果たすうえでは、消費が堅調を維持する間に設備投資が回復することが重要であり、そのためには企業収益の回復が前提条件となると述べた。そのうえで、米国株価下落の背景にある企業収益に対する市場の慎重な見方については、注意しておく必要がある、と述べた。

 別の複数の委員は、米国では資産価格下落の影響が銀行部門に集中しにくい構造となっていることは確かであるが、株価下落は様々なルートを通じて一般事業法人並びに個人(家計)の財務状況などに影響を及ぼしている可能性があり、これが会計疑惑などの形を通じて表れている面もあるのではないか、と指摘した。

 また、ドル安の背景について、複数の委員は、株価下落の背景ともなっている経済・企業収益の先行き不透明感やテロ再発懸念などに加え、(1)米国の経常赤字幅の拡大、(2)米国への直接投資の減少、(3)対米証券投資の減少、などの動きを挙げた。このうちひとりの委員は、企業や家計の過剰債務が調整されないまま財政が赤字に転じたことが市場心理に及ぼす影響を、注意深くみていく必要がある、と述べた。

III.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要

 上記のような経済金融情勢の判断を踏まえ、当面の金融政策運営について、委員は、日銀当座預金残高の目標を10~15兆円程度とする現在の調節方針を維持することが適当との見解を共有した。

 複数の委員は、日本銀行による大量の資金供給の下で、コール市場参加者の資金放出意欲が減退し、市場取引が日本銀行との相対取引に切り替わる姿になりつつあり、市場機能の低下が生じている可能性を指摘した。このうちひとりの委員は、具体的には、市場参加者が流動性を必要とする際に、コール市場で迅速に流動性の調達ができないリスクが問題になる、と述べた。同時にこの委員は、金融システムの問題がなお解決をみていないため、来年4月の流動性預金のペイオフ解禁が近づくにつれて、流動性に対する懸念から流動性需要が高まる可能性がある点を指摘した。

 これに対し、他の複数の委員は、(1)コール市場における資金放出意欲の低下といった副作用は勘案したうえで、現在の経済情勢を踏まえれば、潤沢な流動性供給を続けることの効果が上回ると考えられる、(2)市場で流動性の逼迫が生じれば、そのサインは金利面に表れるはずであり、その意味でも、現在のように、量的なターゲットの下で、金利の動きにも注意を払いながら調節を行っていくことが適当である、との見解を示した。

IV.政府からの出席者の発言

 会合では、財務省の出席者から以下のような趣旨の発言があった。

  • 政府は、構造改革を着実に進め、民需主導の持続的な成長を実現するため、昨日「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」を閣議決定した。また、先般、政府・与党で合意された「当面の経済活性化策等の推進について」においても、この「基本方針」を今後のデフレ対応の基本としつつ、政府としては、早急に実施できる事項を検討し、可能な限り早期に実施していくこととしている。これらの中では、デフレ克服のため日銀においても、引き続き実効性ある金融政策運営が期待されている。
  • こうした政府の方針に呼応し、日銀におかれてもデフレ克服のため、金融政策運営にもさらなる工夫を講じ、思い切った対応が採られるようお願いしたい。前回会合では、わが国の経済情勢に下げ止まりに向けた動きがみられるとの認識が示されたが、金融政策の効果はこういう時期にこそ、デフレ心理を払拭するうえでより効果的と考えている。加えて現在までのところ潤沢な資金供給が行われているが、引き続きこれを維持するとともに、今後とも経済・市場動向や金融情勢を十分注視し、資金需要が急激に増大するような場合には弾力的な対応をお願いしたい。

 内閣府の出席者からは、以下のような趣旨の発言があった。

  • 景気の基調判断については6月の月例経済報告において、前月に引き続き「依然として厳しい状況にあるが、底入れしている」と報告した。先行きについては輸出の増加や在庫調整が概ね終了していることの影響から、景気は持ち直しに向かうことが期待される。しかし、依然厳しい雇用・所得環境などが今後の最終需要を下押しする懸念があり、景気動向については引き続き注視が必要と考えている。
  • 政府は自律的経済成長を実現するための民需、雇用の拡大に力点をおいた構造改革を進めることとしている。このため昨日、経済活性化戦略、税制改革、歳出改革などを内容とする「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」を閣議決定した。また、6月17日に総理から当面の経済活性化策等の推進についての方針が示され、与党3党首合意事項とされたところであり、政府としては基本方針の早期具体化に努力してまいりたい。
  • デフレ克服に向け、政府、日本銀行は引き続き一体となって強力かつ総合的な取り組みを行うことが重要であり、政府は不良債権処理の一層の促進を図るとともに、活力ある金融システムの確立に向けた金融の将来像を展望する観点から、中期ビジョンを早急に取り纏めることとしている。日本銀行におかれても、デフレ克服に実効性ある金融政策の検討・実施をして頂きたいと考えている。

V.採決

 以上のような議論を踏まえ、会合では、現状の金融市場調節方針を維持することが適当である、との考え方が共有された。

 これを受け、議長から以下の議案が提出された。

議案(議長案)

 次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を下記のとおりとし、別添1のとおり公表すること。

 日本銀行当座預金残高が10~15兆円程度となるよう金融市場調節を行う。

 なお、資金需要が急激に増大するなど金融市場が不安定化するおそれがある場合には、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。

採決の結果

  • 賛成:速水委員、藤原委員、山口委員、植田委員、田谷委員、須田委員、中原委員、春委員、福間委員
  • 反対:なし

VI.議事要旨の承認

 前々回会合(5月20、21日)の議事要旨が全員一致で承認され、7月1日に公表することとされた。

VII.先行き半年間の金融政策決定会合等の日程の承認

 最後に、平成14年7月~12月における金融政策決定会合等の日程が別添2のとおり承認され、即日対外公表することとされた。

以上


(別添1)

平成14年6月26日
日本銀行

当面の金融政策運営について

 日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(全員一致)。

 日本銀行当座預金残高が10~15兆円程度となるよう金融市場調節を行う。

 なお、資金需要が急激に増大するなど金融市場が不安定化するおそれがある場合には、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。

以上


(別添2)

平成14年6月26日
日本銀行

金融政策決定会合等の日程(平成14年7月~12月)

表 金融政策決定会合等の日程(平成14年7月~12月)
  会合開催 金融経済月報公表(注) (議事要旨公表)
14年 7月  7月15日(月)・16日(火)  7月17日(水) (8月14日(水))
8月  8月 8日(木)・ 9日(金)  8月12日(月) (9月24日(火))
9月  9月17日(火)・18日(水)  9月19日(木) (11月 5日(火))
10月 10月10日(木)・11日(金)
10月30日(水)
10月15日(火)
−−
(11月22日(金))
(12月20日(金))
11月 11月18日(月)・19日(火) 11月20日(水) (12月20日(金))
12月 12月16日(月)・17日(火) 12月18日(水) 未定
  • (注)「経済・物価の将来展望とリスク評価(2002年10月)」は、10月30日(水)に公表の予定。

以上