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金融政策決定会合における主な意見
(2018年7月30、31日開催分)1

2018年8月8日
日本銀行

I.金融経済情勢に関する意見

経済情勢

  • わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。先行きも、きわめて緩和的な金融環境や政府支出による下支えなどを背景に、景気の拡大が続くとみられる。
  • わが国の景気は、緩やかに拡大している。先行き2018年度は、潜在成長率を上回る成長を続けると見込まれる。2019年度以降は、消費税率引き上げの影響等で、成長ペースは一時的に鈍化した後、徐々に回復してくるとみられる。
  • 当面の不確実な要素として、今月の豪雨や全国で続く記録的な猛暑が景気に与える影響に留意すべきである。
  • 世界経済のリスクバランスは、米国や中国などの通商摩擦や通貨変動による下振れリスクが増大しているとみている。
  • 新興国における通貨下落や利上げの動向が世界経済へ与える影響を注視している。

物価

  • 賃金・物価が上がりにくいことを前提とした考え方や慣行が根強く残っていることなどから、2%の実現には想定以上に時間がかかる可能性が高いが、マクロ的な需給ギャップがプラスの状態を続けていけば、物価抑制要因の多くは次第に解消していくと考えられる。
  • マクロ的な需給ギャップがプラスの状態が続くもとで、企業の賃金・価格設定スタンスが次第に積極化し、実際の価格引上げの動きが拡がれば、中長期的な予想物価上昇率も徐々に高まるとみられる。消費者物価の前年比は、これまでの想定よりは時間がかかるものの、2%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えられる。
  • 消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、緩やかにプラス幅の拡大を続けていくとみられる。しかし、その動きは弱く、かつ不安定であるため、2%に達するには暫く時間がかかると見込まれる。
  • 需給ギャップのプラス幅が、今後一本調子で拡大するとは見込みにくく、予想インフレ率も弱めの動きが続いている。現行の政策のもとでは、インフレ率が2%に向けて徐々に上昇率を高めていく可能性は低い。
  • 労働力率や労働生産性の改善といった経済の供給面の拡大が、足もと、賃金・物価の上昇圧力を緩和する方向に作用している。もっとも、こうした変化は、国民経済の健全な発展に資するものであり、また長い目でみれば、経済の成長期待を高め、デフレマインドの希薄化等を通じて、賃金・物価の上昇方向にも寄与し得る。現状を過度に悲観すべきでない。
  • 量的・質的金融緩和政策の開始後、当初想定していた以上に、生産性と雇用が改善している。生産性の上昇と雇用の拡大は、中長期的には人々の投資意欲や支出意欲を高め、物価上昇にもつながるものだが、それには時間がかかる。生産性の上昇は、短期的には、物価上昇率を抑制することになる。
  • 物価動向について、展望レポートでは、マクロの需給動向と中長期の予想インフレ率で決まると整理している。一方、人々の間では、個別価格の足し算や構造的要因による説明も根強くみられる。こうしたギャップを埋めるため、丁寧な説明が必要である。

II.金融政策運営に関する意見

  • 「物価安定の目標」の実現には時間がかかるものの、2%に向けたモメンタムは維持されていることから、現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが必要である。
  • 「物価安定の目標」の実現に向けて、強力な金融緩和を長きにわたって持続可能な形とすることが重要である。
  • 経済の需給が適度に引き締まった状態をできるだけ長く維持することが重要である。そのためには、金融緩和政策の長期化に伴う副作用に十分配意し、その影響を可能な限り軽減すべく、政策の枠組みに見直しの余地がないか、真摯に点検を続けていくことが肝要である。
  • 「物価安定の目標」の実現に向けた揺るぎない姿勢への信認を確保するため、政策金利のフォワードガイダンスを導入し、目標実現に対するコミットメントを強化すべきである。
  • 新たなフォワードガイダンスの導入によって、金融緩和の枠組みを一層強化することはきわめて重要である。
  • 政策は結果によって判断される。物価の動向が弱い今は、コミットメントを強化すべき時である。今回の政策措置が実際に物価上昇率を高めることを期待するが、その効果についての検討は不断に行っていくべきである。
  • 金融緩和を息長く続けるための枠組みの強化ではなく、息長くならないように金融緩和自体を強化することが必要である。フォワードガイダンスは、総需要やインフレ期待を刺激し、金融緩和が長期化することを食い止める観点から設計することが重要である。
  • 金融緩和の継続が見込まれる中、政策の枠組みを、それに耐えうる形に仕立て直すため、長短金利操作や資産の買入れをより弾力的に運営していくことを検討すべきである。
  • 長期金利の変動幅については、「イールドカーブ・コントロール」導入後の金利変動幅、概ね±0.1%の幅から、上下その倍程度に変動しうることを念頭に置くことが適切である。
  • 長期金利操作の弾力化は、市場機能の維持・向上に資すると考えられる。現状より金利が幾分上昇しても、経済・物価への影響は限定的とみられる一方、金融仲介機能への累積的な影響の軽減と政策の持続性強化に効果が見込まれる。主要国の足もとの長期金利の動向を参考にすると、わが国の金利操作にあたっても±0.25%程度の動きを許容することが適切と考えられる。
  • 長期金利の変動幅として、概ね±0.1%の幅から、上下その倍程度に変動しうることを念頭に置くことが大方の委員の合意となるのであれば、記者会見でこれを明らかにしてはどうか。
  • 中長期の予想インフレ率が弱い現時点で、長期金利が上昇しうることも許容する政策調整を行うと、実質金利が上昇し、物価の伸び悩みを助長しかねない。
  • ETFの買入れ額の柔軟化は、政策の持続性を強化しつつ、効果的な買入れを可能とするため、適切である。
  • 今回の「枠組み強化」により、「物価安定の目標」の実現のためのコミットメントが一層強化されると考える。
  • 今回の「枠組み強化」は、ある程度の弾力性を持って運営するという量的・質的金融緩和の元来有する意図を徹底することにより、政策の持続性と柔軟性を高めて、金融緩和の長期化に備えるものである。こうした措置は「物価安定の目標」の実現に向けた道程をより確実にするものである。
  • 量的・質的金融緩和政策を実施していなければ、金融機関の貸出の増加も信用コストの低下もなく、債券や株式の売却益も小さくなった可能性がある。金利を上げても、為替も株価も債券価格も動かず、企業の借入れ意欲も低下せず、ただ運用金利だけが上昇すると期待する声もあるが、経済全体をみればそのようなことはありえない。
  • 金融緩和の継続にあたっては、その効果と副作用という二つの異なる時間軸の双方を複眼的に捉え、重視すべきリスクの点検を行いつつ、経済・物価・金融情勢に応じた柔軟な対応を図ることが重要である。
  • 金融システムや市場機能に関する評価を行うにあたっては、個別の指標を取り上げるのではなく、「物価安定の目標」といかに整合的に評価するかという観点から、議論を深めていく必要がある。

III.政府の意見

財務省

  • 今回執行部から提案のあった事項は、強力な金融緩和継続のための枠組みを強化するものとして評価しており、そのために必要な措置は適切に判断いただきたい。
  • 金融政策運営の状況等について、引き続き丁寧かつ積極的な説明に努めていただきたい。
  • 来年度予算の概算要求基準は、7月10日に閣議了解された。「平成30年度7月豪雨」への対応は、引き続き万全を期す。
  • 日本銀行が、引き続き、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、「物価安定の目標」の実現に向けて努力されることを期待する。

内閣府

  • 日本銀行においては、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、物価安定目標の実現に向けて、金融緩和を着実に推進していくことを期待する。
  • 今回の「枠組み強化」は、金融緩和を継続していくことをより明確にするために提案されたものと認識しており、日本銀行としての考え方について、対外的に丁寧に説明していただくことが重要と考える。
  • 政府としても、日本経済の競争力と成長力の強化に向けた取組を進めてまいりたい。

以上


  1. 「金融政策決定会合における主な意見」は、(1)各政策委員および政府出席者が、金融政策決定会合で表明した意見について、発言者自身で一定の文字数以内に要約し、議長である総裁に提出する、(2)議長はこれを自身の責任において項目ごとに編集する、というプロセスで作成したものである。 本文に戻る