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金融政策決定会合における主な意見
(2018年9月18、19日開催分)1

2018年9月28日
日本銀行

I.金融経済情勢に関する意見

経済情勢

  • わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。先行きも、きわめて緩和的な金融環境や政府支出による下支えなどを背景に、景気の拡大が続くとみられる。
  • わが国の景気は緩やかに拡大している。今後、需給が適度に引き締まった状態が続くもとで、多様な人材の活用や省力化などの構造的な取組みが進むとともに、所得増加が消費拡大につながっていくことが期待される。
  • わが国経済については、4~6月は設備投資や消費が大きくプラス寄与して力強さを取り戻している。先行きについても、リスク要因に留意すべき局面ではあるが、海外経済の着実な成長などを背景に、緩やかな拡大が続くとのメインシナリオは維持されている。
  • わが国の経済は、内需主導でプラスの需給ギャップを保ちつつ緩やかな拡大を続けている。一方、海外経済を巡る先行きの不透明感は強まっており、十分に注視する必要がある。
  • わが国の景気の基調は大きくは変わっていない。海外経済については、米国の通商政策などを背景に、好調な米国経済と他の地域とのコントラストが強まってきているほか、先行きの不確実性、不透明感も高まっている。
  • 世界経済のリスクバランスに関しては、米国や中国などの通商摩擦や金融市場の変動による下振れリスクの増大が、現在もなお続いているとみている。
  • 貿易摩擦への懸念が高まり、国内では自然災害が相次ぐ中、いくつかの景気先行指標が軟調になるなど、先行きの経済・物価を巡る不確実性が増しており、注視する必要がある。
  • 相次いで発生した自然災害が、わが国の消費や企業の生産活動等に与える影響に留意すべきであり、今後とも、丁寧な情報収集と必要な対応についての検討を続ける必要がある。
  • 効果的に成長を実現する手段は、利益が上がらない仕事を止めることであるが、これには雇用の問題が生じるため、金融緩和で労働需給を逼迫させることが成長に結びつく。実際に、時間当たりの労働生産性の上昇率は、量的・質的金融緩和のもとで高まっているが、新たな雇用者が労働経験の少ない人々や高齢者であることを踏まえると、真の労働生産性は数字以上に上昇していると考えられる。
  • 少子高齢化等の人口動態や労働生産性の動向等と相俟って、自然利子率には先行き低下圧力がかかることが想定される。技術革新の一層の推進により自然利子率を下支えしていくことが重要である。

物価

  • 消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップがプラスの状態を続けることや中長期的な予想物価上昇率が高まることなどを背景に、2%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えられる。
  • 就業率の上昇と効果の大きい合理化投資に限界がある以上、人手不足は賃金上昇に結びつく。最近の統計上の賃金上昇は過大とされているが、賃金上昇や雇用の拡大は、両者を掛け合わせた雇用者所得の拡大をもたらし、需要とコスト上昇の両面から物価を引き上げていく。
  • 直近の全国や東京の消費者物価をみると、春先までの円高効果が剥落していることもあって、財価格の減速が一服しており、少し安心している。夏季賞与が大きく増加したことも、明るい材料である。
  • 需給ギャップの改善を起点とする物価上昇のモメンタムは維持されているが、それが人々の物価観を変えて、フィリップスカーブの上方シフトにつながるには、まだ相当時間がかかるとみておくべきである。
  • 消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、緩やかにプラス幅の拡大を続けていくとみられる。しかし、消費者の値上げ許容度は低いままで、企業は値上げに慎重であるため、2%に達するには暫く時間がかかると見込まれる。
  • 物価上昇の遅れは、単純な需要不足ではなく、根強いデフレマインドに加え、供給面の拡大による生産性向上など様々な要因に影響を受けることが判ってきており、先行きの物価を巡る不確実性は一頃より高まっている。
  • インターネットやスマートフォンの普及は、必要な情報収集を可能にし、高齢者の就労を促進する効果を持つと考えられる。賃金弾力性の高い労働力の供給が続けば、賃金上昇の抑制要因となることも考えられるため、その動向を注視している。

II.金融政策運営に関する意見

  • 「物価安定の目標」の実現には時間がかかるものの、2%に向けたモメンタムは維持されていることから、現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが必要である。
  • 息長く経済の好循環を支えて、「物価安定の目標」の実現に資するべく、現在の金融政策方針を継続すべきである。
  • 現行の強力な金融緩和の効果と副作用を肌理細かく検討しつつ、きわめて緩和的な金融環境を息長く続けて行くことが必要である。
  • 前回会合で決定した「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」が金融市場に与える影響については、夏場の閑散期を挟んで2か月程しか経過していないことから、引き続き注視していく必要がある。
  • 「枠組み強化」が、金融緩和の副作用への目配りも行いつつ、強力な金融緩和を粘り強く続けることをより明確にしたものであることを、引き続き丁寧に説明していくことが重要である。
  • 経済の需給バランスが維持されていれば、市場機能維持の観点から、金融政策の柔軟化を将来的に検討する余地はある。もっとも、物価の不確実性を考慮すれば、金融面での不均衡など副作用の状況に十分注意しつつ、現行の政策を粘り強く、慎重に続けることが肝要である。
  • 金融緩和効果は時間とともに減衰しうるため、「物価安定の目標」早期達成の観点からは、長期にわたって長短金利を一定水準前後に誘導するという戦略が有効なのか判然としない。むしろ、日本銀行は、追加緩和によって、政府とともに、企業や家計の前向きな行動変化を一段と後押しする必要がある。大規模な金融緩和が長期化することに伴う副作用を考慮すると、長期化にも限界があることから、金融政策の時間軸について政策委員の中で議論を深めておくべきではないか。
  • 政策運営にあたっては、経済・物価の下振れリスクへの備えが重要である。また、インフレ予想への働きかけについて、そもそも金融政策は、声明文の用語からして一般の家計や企業にとって分かりにくい面があるとの認識に立って、改善を続けていくべきである。
  • 金融緩和効果が地方経済や中堅・中小企業、個人に行き届いていないとの見方があるが、地方の有効求人倍率や、中堅・中小企業の収益、雇用者報酬などはいずれも改善している。
  • 企業では内部留保が過去最高水準となる中、資金需要は決して強いとはいえない状況にある。こうした状況を変えていくには、金融政策に加え、構造改革等の取組みにより企業に攻めの資金需要の創出を促すことも重要と考えられる。

III.政府の意見

財務省

  • 今般の台風21号及び北海道胆振東部地震については、避難生活への支援や重要インフラの早期復旧に努めている。
  • 先般、31年度予算の概算要求が締め切られたが、「新経済・財政再生計画」の下、引き続き歳出改革に取り組む。
  • 消費税率の引上げに伴う需要変動等については、予算編成過程で対応策を検討していく。
  • 日本銀行が、引き続き、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、「物価安定の目標」の実現に向けて努力されることを期待する。

内閣府

  • 本年4~6月期の実質GDP成長率は、2四半期ぶりのプラスとなり、名目GDPは552.8兆円と過去最高を更新した。
  • 通商問題の動向が世界経済に与える影響や、相次いでいる自然災害の経済に与える影響に留意する必要がある。政府は、被災者への生活支援及び被災地の復旧・復興を全力で進める。
  • 日本銀行には、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、物価安定目標の実現に向けて、金融緩和を着実に推進していくことを期待する。

以上


  1. 「金融政策決定会合における主な意見」は、(1)各政策委員および政府出席者が、金融政策決定会合で表明した意見について、発言者自身で一定の文字数以内に要約し、議長である総裁に提出する、(2)議長はこれを自身の責任において項目ごとに編集する、というプロセスで作成したものである。 本文に戻る