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金融政策決定会合における主な意見
(2018年12月19、20日開催分)1

2018年12月28日
日本銀行

I.金融経済情勢に関する意見

経済情勢

  • わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。先行きも、きわめて緩和的な金融環境や政府支出による下支えなどを背景に、景気の拡大が続くとみられる。
  • わが国経済については、これまでのところ、貿易摩擦やグローバルな株価下落の影響は限定的であり、先行きも緩やかな拡大を続けるとのメインシナリオは維持されている。
  • 7~9月期の実質GDPの2次速報値は市場予想を下回るマイナス成長となったが、基本的には、自然災害などの一時的な要因の影響が大きかったとみられる。
  • 7~9月期のわが国のGDPはマイナス成長となったが、短観で確認されたとおり、設備投資の増加基調に変化はみられないなど、緩やかな景気拡大の基本的なメカニズムは維持されている。一方、米中間の通商問題をはじめ世界経済の不確実性が高まる中、先行きの下振れリスクは強まっている。
  • わが国の景気は、緩やかに拡大している。引き締まった需給環境が供給能力の拡充を促しているものの、海外経済の下振れリスクが増加してきていることには注意が必要である。
  • 相次いだ自然災害の後、インフラの復旧が進んだことから、生産・輸出の落ち込みは取り戻されてきているが、景気の先行きについては、米中貿易摩擦を背景に慎重な見方が増えているため楽観視はできない。
  • 企業部門で投資や賃上げの動きが出てきた一方、家計部門において、所得から消費支出への前向きの循環メカニズムが弱いのは課題である。予定されている消費税率引き上げの経済・物価への影響を考える上で、この点に留意が必要である。
  • 海外経済については、多くの国で内需が増勢を維持しており、先行きも、総じてみれば着実な成長を続けると考えられる。
  • 「世界経済の同時成長」などと言われた理想的な状況ではなくなったものの、多くの国で引き続き内需が堅調であるなど、景気の前向きなサイクルは持続している。
  • 海外経済は、地域間の相違がより明確になり、減速の兆しがみられ始めてきた。減速・景気後退が明確になるとすれば、各国の財政・金融政策の動向が重要になる。
  • 世界経済の先行きについては、不透明感が高まりつつあり、かつそうした状況が長期化するとの見方が広がる中、リスクは総じて下方に厚くなってきている。
  • 経済に対するリスクは下方に強まっている。中国の直近の貿易データをみると、輸出入とも前月比でマイナスとなっており、中国経済の減退を示している可能性がある。日本経済をみても、自然災害からの復旧需要と復旧生産は実勢でみて力強いとは言えない。また、中国向け輸出の戻りは弱く、輸出全体としても弱い。
  • 中国では、民間企業のデフォルトが増加しており、当局は資金調達難の解消に向けて銀行に対し貸出の増加を要請している。こうしたもとでの民間企業の資金調達動向を注視している。

物価

  • 消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップがプラスの状態を続けることや中長期的な予想物価上昇率が高まることなどを背景に、2%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えられる。
  • タイトな労働需給が続くもとで、短観の販売価格判断DIが、大企業だけでなく中小企業でもプラスの領域で定着するなど、プラスの需給ギャップが原動力となって物価が緩やかに高まるという基本的なメカニズムは作動している。
  • プラスの需給ギャップが物価の押上げ圧力として作用し、消費者物価の前年比はプラスで推移している。ただし、原油価格下落の物価への影響は今後の懸念材料である。
  • プラスの需給ギャップに伴う物価上昇圧力と、生産性上昇などに伴う物価抑制効果が複雑に影響し合う中で、物価上昇は遅れており、先行きの不確実性も高まっている。
  • 7月の展望レポートにおいて、「物価の上昇を遅らせてきた要因の多くは次第に解消していく」と整理したが、その後の展開をみると、そうした要因の解消にはなお一層時間がかかるとみられる。
  • 今後、需給ギャップが一本調子で拡大する可能性は低く、原油価格の下落も「物価安定の目標」達成をさらに遅らせるかたちで作用する。

II.金融政策運営に関する意見

  • 「物価安定の目標」の実現には時間がかかるものの、2%に向けたモメンタムは維持されていることから、現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが必要である。
  • 息長く経済の好循環を支えて、「物価安定の目標」の実現に資するべく、現在の金融政策方針を継続すべきである。
  • 不確実性の高い経済・物価動向のもとでは、不均衡を蓄積させずに緩やかな景気拡大を持続させることが重要であり、政策の効果と副作用を慎重に点検しつつ、現行の金融緩和を続けることが肝要である。
  • 「物価安定の目標」達成前に拙速に正常化を図ると、副作用がかえって強まる可能性がある。副作用の影響は累積的であることから、追加緩和とコミットメントの強化により、早期に物価安定目標を達成することが必要である。
  • 7月の金融政策決定会合で、金融市場調節や資産の買入れをより弾力的に運営することを決定したが、これまでのところ、概ね所期の成果を挙げている。
  • 7月の「枠組み強化」に沿って、長期金利が一時的にマイナスになることも許容すべきである。長期金利は「ゼロ%程度」を中心に上下に概ね対称的に変動するのが自然であり、長期国債保有残高の年間増加額約80兆円の「めど」のもとで、柔軟に買入れ額を増減させることが望ましい。
  • 長期金利のより大きな変動を可能にする政策変更を行ったあと、長期金利は上昇したが、このところ低下している。これは米中通商摩擦などを要因とした世界経済の先行きへの不安が引き起こしたものと考えられる。この状況で、金利を元に戻すようなオペレーションを行えば、むしろ金融を現状より引き締めることになってしまう。
  • 長期国債買入れにより既に積み上げてきた国債のストックによるタームプレミアムの押下げ効果の大きさや、新発債の国債市場での残存率の低さを踏まえると、現状の国債買入れオペの運営には相応の見直し余地があると考えられる。
  • 社債市場では、足もとの低金利により募残の比率が高まっているとの報道がある。長めの金利がより高い方が投資家の需要は増す可能性があり、金利変動幅や金利操作目標年限等を柔軟に検討していくことが、将来の選択肢として考えられる。
  • 財政政策と金融政策の方向感が異なると、デフレ完全脱却の難度が高まる。両者の更なる連携が重要である。
  • 来年度は、消費税率の引き上げや教育無償化の影響に加え、原油価格の下落や携帯電話料金の引き下げなど、様々な特殊要因によって物価の基調がかなりみえづらくなると予想される。このため、金融政策運営にあたっては、より一層、丁寧なコミュニケーションを心がけることが重要になってくる。

III.政府の意見

財務省

  • 平成31年度予算について、「新経済・財政再生計画」を踏まえた歳出改革や、消費税率引上げによる経済的影響を平準化する「臨時・特別の措置」を講じるとの方針のもと、大詰めの作業を進めている。また、平成30年度第二次補正予算を編成している。
  • 平成31年度の税制改正について、与党税制改正大綱を踏まえ、法案の準備等に取り組んでいく。
  • 日本銀行が、引き続き、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、「物価安定の目標」の実現に向けて努力されることを期待する。

内閣府

  • 12月18日に閣議了解した政府経済見通しでは、今年度0.9%程度、来年度1.3%程度の実質成長を見込んでいる。
  • 12月7日には「平成31年度予算編成の基本方針」を閣議決定した。本日の経済財政諮問会議では、「改革工程表2018」をとりまとめ、消費税率引上げに伴う対応について茂木大臣より報告する。
  • 日本銀行においては、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、物価安定目標の実現に向け、金融緩和を着実に推進していくことを期待する。

以上


  1. 「金融政策決定会合における主な意見」は、(1)各政策委員および政府出席者が、金融政策決定会合で表明した意見について、発言者自身で一定の文字数以内に要約し、議長である総裁に提出する、(2)議長はこれを自身の責任において項目ごとに編集する、というプロセスで作成したものである。 本文に戻る