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金融政策決定会合における主な意見
(2019年1月22、23日開催分)1

2019年1月31日
日本銀行

I.金融経済情勢に関する意見

経済情勢

  • わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。先行きも、きわめて緩和的な金融環境や政府支出による下支えなどを背景に、景気の拡大が続くとみられる。
  • わが国の景気は、緩やかに拡大している。先行き2020年度にかけては、潜在成長率並みの成長を続けると見込まれる。消費税率引き上げに対する施策が内需の増加基調の維持に寄与すると考えられる一方、やや強まってきている海外経済の下振れリスクには注意が必要である。
  • わが国経済は緩やかな拡大を続けており、企業の設備投資姿勢にも特段の変調はない。一方、世界経済の下振れリスクは高まっている。特に中国は、通商問題の影響もあって経済成長が減速し始めており、景気対策の動向なども含めて注視が必要である。
  • わが国経済への米中貿易摩擦などの影響は、中国からの受注減少といった話が一部で聞かれているが、今のところその影響は限定的とみられる。
  • 世界経済を巡る不透明感が強まり、国内では消費税率引き上げを控える中で、非耐久財消費が落ち込んだ状態から脱していない。消費者マインドの指標が弱含んでいることも心配される。
  • ハードデータをみると、わが国経済の基調は堅調であるが、市場の一部で行き過ぎた悲観論があることも事実である。海外経済については、不確実性が高まるとともにリスクが下方に厚みを増しており、一部は顕在化する懸念がある。その場合、各国の財政・金融政策が重要になるが、政策効果が発現するには相応の時間がかかる可能性がある。
  • 株価は実体経済の変化を増幅して伝えるものだが、最近の株価下落は、世界的な実質成長率の低下をある程度予想している。この背景には、今や世界第2位の輸入市場となった中国経済の停滞がある。僅かずつ低下するGDPではなく、輸出入の動きをみれば、この点は明らかである。
  • 海外経済については、多くの国で内需が増勢を維持していることなどから、中心的な見通しとして、総じてみれば着実な成長を続けると考えられる。
  • 海外経済を巡るリスクは、このところ明らかに下方に厚い状況が続いている。
  • 海外経済は、堅調な米国経済にも支えられ、着実な成長を続けていると考えられるが、欧州や中国における製造業の景気動向には留意が必要である。
  • 中国では、当局の債務抑制政策や米中貿易摩擦の影響などから、足もと経済の一部で弱めの動きがみられているが、各種の景気下支え策により、今後も概ね安定した成長を続けるとみられる。

物価

  • 消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップがプラスの状態を続けることや中長期的な予想物価上昇率が高まることなどを背景に、2%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えられる。
  • タイトな労働需給が続くもとで、プラスの需給ギャップを起点として、賃金・物価が緩やかに高まるという基本的なメカニズムは作動している。
  • 多くの中小企業が人材確保に苦戦する中、賃上げ圧力は着実に高まっており、最近では、新卒や若年層の賃金を引き上げる動きも増えてきている。
  • 消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、緩やかにプラス幅の拡大を続けていくとみられる。しかし、その動きは弱く、かつ不安定であることに加え、原油価格が下落していることから、2%に達するには暫く時間がかかると見込まれる。
  • 昨秋以降に原油価格が比較的大きく下落したため、物価は当面押し下げられると見込まれる。
  • プラスの需給ギャップに基づく物価上昇圧力と、生産性の向上に伴う物価下押し圧力が併存するもとで、原油価格の下落もあって物価上昇は遅れており、先行きの不確実性も高い状況が続いている。
  • 物価の上昇を遅らせてきた諸要因の解消に時間を要しているほか、予想物価上昇率は、想定以上に粘着的である可能性が高い。賃金・物価の上昇率が高まり、予想物価上昇率が2%にアンカーされるまでには、なお一層時間がかかる可能性がある。
  • 既往の原油価格下落や教育無償化といった特殊要因は、物価を一時的に下押しするとみられるが、中長期的には、実質所得の拡大を通じて物価の押し上げ要因となり得る。この点について明確な対外説明が必要である。

II.金融政策運営に関する意見

  • 「物価安定の目標」の実現には時間がかかるものの、2%に向けたモメンタムは維持されていることから、現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが必要である。
  • 息長く経済の好循環を支えて、「物価安定の目標」の実現に資するべく、現在の金融政策方針を継続すべきである。
  • 今後も経済・物価・金融情勢をバランスよく踏まえつつ、現在の緩和政策を息長く続けていくことが重要である。
  • 不確実性の高い経済・物価動向のもと、政策の効果と副作用のバランスを慎重に点検しつつ、不均衡を蓄積させない程度にプラスの需給ギャップを維持することで、緩やかな景気拡大を持続させることが重要である。
  • 昨年7月に決定した金融市場調節や資産買入れの弾力的な運用は、市場機能の低下に対処するものではあるが、昨秋以降の金融市場の不安定な動きを緩和する役割も果たしている。
  • 経済・物価の下方リスクが顕在化するならば、政策対応の準備をしておくべきである。現状、物価上昇率の目標値への到達が遠ざかっているのであるから、何か大きな危機が起きるまでは行動しない、という態度は望ましくない。むしろ、状況の変化に対しては、追加緩和を含めて迅速、柔軟かつ断固たる対応を取る姿勢が望ましい。
  • 物価見通しの下方修正が続く中、当面は政策変更がない、という予想が金融市場で過度に固定化されてしまうことを防ぐ工夫が必要である。
  • 金融機関が保有する国債の残高は、資金調達などの担保として必要な最低水準に近付きつつあると考えられる。日本銀行が既に買い入れてきた長期国債のストックの大きさも踏まえると、現状の国債買入れオペの運営には相応の見直し余地があると考えられる。
  • 「量的・質的金融緩和」導入前後での預金と貸出の推移をみると、預金は引き続き増加傾向にあるが、貸出は横這いから緩やかな増加に転じている。この貸出の変化は「量的・質的金融緩和」の成果である。こうした中、金融機関の利鞘が縮小しているのは、貸出が増えている以上に預金が増えているからである。預金を製品、貸出を売上と考えれば、両者の差は在庫となるが、必要なのは製品の在庫調整である。
  • 金融機関の企業向け貸出金利が低位にある中、仮に中小企業の経営が悪化すれば、地域金融機関では信用コストが増加して業績に影響が出る惧れがある。地域金融機関の貸出運営が、リスクに見合ったリターンを得る形となっているか、注視していく必要がある。
  • 長短金利の水準あるいはマネタリーベースと物価上昇率等の関係について、さらなる分析と検討が必要である。

III.政府の意見

財務省

  • 平成31年度予算は、経済再生と財政健全化を両立する予算としている。毎月勤労統計の再集計については、必要な経費を計上するため平成31年度予算の概算決定を変更した。また、平成30年度第2次補正予算は、防災・減災、国土強靭化などの課題に対応している。両予算について、一日も早い成立に向けて取り組む。
  • 日本銀行が、引き続き、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、「物価安定の目標」の実現に向けて努力されることを期待する。

内閣府

  • 消費税率引き上げに伴う対応について、今回の引き上げによる経済への影響は2兆円程度であるのに対し、新たな対策として、予算面、税制面で、合わせて2.3兆円程度の措置を講ずるなど、経済への影響を十二分に乗り越える対策とした。経済の回復基調に影響が出ないよう、経済運営に万全を期す。
  • 日本銀行においては、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、物価安定目標の実現に向け、金融緩和を着実に推進していくことを期待する。

以上


  1. 「金融政策決定会合における主な意見」は、(1)各政策委員および政府出席者が、金融政策決定会合で表明した意見について、発言者自身で一定の文字数以内に要約し、議長である総裁に提出する、(2)議長はこれを自身の責任において項目ごとに編集する、というプロセスで作成したものである。 本文に戻る