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金融政策決定会合における主な意見
(2019年3月14、15日開催分)1

2019年3月26日
日本銀行

I.金融経済情勢に関する意見

経済情勢

  • わが国の景気は、輸出・生産面に海外経済の減速の影響がみられるものの、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。先行きも、当面、海外経済の減速の影響を受けるものの、緩やかな拡大を続けるとみられる。
  • わが国の景気は、緩やかに拡大している。海外経済は成長を続けているものの、そのペースはやや鈍化してきており、様々なリスクから目が離せない局面にある。
  • わが国経済は、海外、特に中国経済の減速から輸出と生産に弱めの動きが出ているが、堅調な内需に支えられ緩やかな拡大基調を維持している。中国については、既に景気対策が打ち出されているが、その効果を十分に注視する必要がある。
  • 中国の景気刺激策の効果やITサイクルの反転などから、国際会議などでは、世界経済は年後半にかけて持ち直すとの見方が有力であるが、この点はもう暫くデータの蓄積を待つ必要がある。
  • 中国における財政・金融両面からの景気下支え策が奏効する時期とインパクトに注目している。
  • 海外経済については、中国や欧州、情報関連財の生産等に減速の動きがみられる。英国のEU離脱交渉の展開を含め、先行きの不確実性は大きい。
  • FRBの利上げ観測の後退などから、国際金融市場は比較的落ち着いた動きとなっている。
  • 海外経済は、昨年の秋頃から不透明感が漂い始めていたが、減速の動きが顕在化してきている。その影響から、わが国経済の下振れリスクは足もと明らかに厚くなっている。輸出・生産は弱めの動きとなっており、これが今後の設備投資計画に影響を与えないか、注視していく必要がある。
  • 能力増強投資を含むわが国の設備投資は、世界経済が多少下振れしたとしても大きくは崩れないとみているが、その動向には注意が必要である。
  • 個人消費は、当面、雇用・所得環境の着実な改善などから増加基調を辿ると見込まれるほか、補正予算等を背景に公共投資も拡大に転じると予想される。
  • 世界経済の停滞が日本経済に下押し圧力をかけているが、これまでのところ雇用の伸びは続いている。しかし、輸出、生産の減少が雇用、さらには消費に波及することも考えられる。これは物価上昇のモメンタムを弱くする。さらに消費税増税が消費に悪影響を与えるリスクもある。
  • 企業収益が頭打ちとなる中で、賃金と設備投資の拡大ペースが鈍化する可能性がある。また、海外経済動向や消費税率引き上げの影響次第では、景気後退への動きが強まっていく可能性があり、懸念される。

物価

  • 消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップがプラスの状態を続けることや中長期的な予想物価上昇率が高まることなどを背景に、2%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えられる。
  • 内需が堅調を維持し、人手不足も続く中、プラスの需給ギャップを起点として、賃金・物価が緩やかに高まるという基本的なメカニズムは引き続き作動している。
  • 消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、緩やかにプラス幅の拡大を続けていくとみられる。しかし、需給ギャップは適度な逼迫感を継続しているものの、賃金上昇は緩やかであり、原油価格も低迷していることから、「物価安定の目標」の実現には暫く時間がかかると見込まれる。
  • 物価は、プラスの需給ギャップという上昇圧力と、家計の根強いデフレマインドや生産性上昇などの抑制要因が併存する状況が続いており、先行きの不確実性は高い。
  • 内外経済の下方リスクの顕在化が内需に波及し、物価上昇のモメンタムが失われないか、これまで以上に警戒すべきである。国内の下方リスク要因として、消費税率引き上げが予想物価上昇率等を通じて経済・物価に与える影響に警戒が必要である。

II.金融政策運営に関する意見

  • 「物価安定の目標」の実現には時間がかかるものの、2%に向けたモメンタムは維持されていることから、現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが必要である。
  • 息長く経済の好循環を支えて、「物価安定の目標」の実現に資するべく、現在の金融政策方針を粘り強く継続すべきである。
  • 極めて緩和的な金融環境を維持すべく、経済・物価・金融情勢をバランスよく踏まえながら、現在の緩和政策を息長く続けていくことが肝要である。
  • 当面は慎重に景気動向を見極めつつ、金融機関や市場機能に与える副作用についてこれまで以上に留意して、現行の金融緩和政策を維持する必要がある。また、今後も金融と財政のポリシーミックスというマクロ経済政策運営の枠組みが維持されることが重要である。
  • 現在の政策枠組みは、市場の状況に対応するための一定の柔軟性を有しており、緩和の副作用を軽減しつつ、市場環境が変化するもとでも緩和的な金融環境を維持しやすい政策といえる。
  • 経済・物価情勢の局面変化に際しては、先制的に政策対応することが重要である。
  • 下方リスクが顕在化している現状では、政策対応の準備をしておくべきである。物価上昇のモメンタムが失われる懸念があれば、断固とした追加緩和を行うべきであり、緩和限界論には明確に反論すべきである。
  • 現時点では、経済・物価情勢のメインシナリオは変わらず、2%に向けたモメンタムは維持されている。金融政策は、景気の変動に逐一、機械的に対応するものではなく、こうした物価の基調判断に基づいて運営していく必要がある。
  • 社債市場では、従来は国債金利を基準としたプライシングが行われてきたが、国債金利がマイナスとなる中、金利の絶対値が基準となりつつある。こうした実質的なゼロ金利制約があるような状況では、追加的な国債金利の低下による金融緩和効果は、これまでと比べ限定的となる可能性がある。
  • 長期的に名目金利を上げるには物価上昇率を高めることが重要であり、低金利からの脱却には、2%の早期実現が近道である。デフレから完全脱却する前に金融緩和をやめると、むしろ低金利が続いてしまう。
  • 海外投資家の資金が国債市場に流入してきていることや、金融機関の国債保有額が資金調達のための担保等としての必要最低限の水準まで近付いている可能性があることを踏まえれば、国債買入れオペの運営には見直し余地があると考えられる。
  • 足もとの景気や物価動向を考慮すると、消費税率引き上げが経済・物価に下押しの影響を与えるリスクは相応にある。早期の物価目標達成が見通せない中では、財政・金融政策がさらに連携して総需要を刺激することが重要である。
  • 生産性上昇のためには、金融業も含めたすべての業種で、生産性の高い企業の参入、生産性の低い企業の退出が必要である。このような新陳代謝を高めるには人材の企業間移動が必要である。日本の労働市場の硬直性が、このような移動を妨げていたが、長期の金融緩和による圧力が、そうした硬直性を打破している。これは、金融政策が構造改革を促す一例である。

III.政府の意見

財務省

  • 先般、平成30年度第二次補正予算が成立した。防災・減災等の喫緊の課題に対応するため、本補正予算を迅速に実施していく。
  • 平成31年度予算については衆議院で可決され、現在、参議院でご審議いただいている。本予算は、現下の重要課題に対応するものであり、一刻も早い成立に向けて取り組む。
  • 日本銀行が、引き続き、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、「物価安定の目標」の実現に向けて努力されることを期待する。

内閣府

  • 2018年10~12月期のGDPは、民需の増加に支えられプラス成長となったが、中国経済が減速する中で外需寄与度が3期連続でマイナスになったことには注意が必要である。
  • 春季労使交渉では、6年連続でベアを実施している企業もあり、海外経済等のリスクがある中、賃上げに取り組む企業の努力がみられる。
  • 日本銀行には、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、物価安定目標の実現に向け、金融緩和を着実に推進していくことを期待する。

以上


  1. 「金融政策決定会合における主な意見」は、(1)各政策委員および政府出席者が、金融政策決定会合で表明した意見について、発言者自身で一定の文字数以内に要約し、議長である総裁に提出する、(2)議長はこれを自身の責任において項目ごとに編集する、というプロセスで作成したものである。 本文に戻る