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金融政策決定会合における主な意見
(2019年4月24、25日開催分)1

2019年5月10日
日本銀行

1.金融経済情勢に関する意見

経済情勢

  • わが国の景気は、輸出・生産面に海外経済の減速の影響がみられるものの、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、基調としては緩やかに拡大している。先行きも、当面、海外経済の減速の影響を受けるものの、基調としては緩やかな拡大を続けるとみられる。
  • わが国経済は、輸出と生産に海外経済減速の影響がみられるが、堅調な内需に支えられ、緩やかな拡大基調を維持している。主要国では景気対策が打ち出されており、足もとの金融市場は海外も含め落ち着いている。
  • 海外経済については、引き続き下振れリスクに注意を要するが、IMFの見通しにもあるとおり、現段階では、本年後半に持ち直していくという見方が妥当である。
  • わが国の景気は、基調としては緩やかに拡大している。先行きは、潜在成長率並みの成長を続けると見込まれる。2019年度は海外経済減速や消費税率引き上げの影響、2020年度以降はオリンピック関連需要の一巡やIT分野の動向等に注意が必要である。
  • わが国の景気は、総じて内需が成長に寄与している一方で、中国経済の減速やIT関連財の需要減を主因に輸出・生産に弱めの動きがみられる。一部先行指標にも、やや気がかりな点が窺えることから、前回会合対比、幾分慎重に評価するのが適当である。
  • 今後の景気を見通すうえで、輸出、生産の減少が雇用、さらには消費にまで波及するかどうかが重要である。これまで雇用者所得の増加がかなりの程度貯蓄に回っていたことを踏まえると、生産の減少が消費の減少につながるまで、多少の時間があると思われる。しかし、消費税増税が消費の減少を早めてしまうリスクもある。
  • 海外経済の動向や消費税率引き上げの影響次第では、国内景気が後退に向かうリスクが引き続きある。
  • わが国の労働市場は着実に改善しているが、依然として男性を中心に労働市場にスラックが残っているとみられる。こうしたスラックが完全に解消され、雇用の逼迫が賃金上昇率の明確な加速につながる時点まで、労働市場の改善が続くことが必要である。
  • 為替・株価を始め金融市場は落ち着いているが、先行き、実体経済と金融市場が共振して悪化する可能性には警戒が必要である。消費税率引き上げが経済・物価に与える下押し圧力にも警戒が必要である。
  • 米国では、企業債務がGDP比でみて歴史的な高水準にあり、トリプルB相当の格付けの社債も多い。こうした銘柄が景気後退局面で格下げとなれば、市場環境が急速に悪化するリスクがある。

物価

  • 消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップがプラスの状態を続けることや中長期的な予想物価上昇率が高まることなどを背景に、2%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えられる。
  • 昨年を幾分上回るベアの実現や最近の食料品価格の上昇等を踏まえると、プラスの需給ギャップを起点に、賃金・物価が緩やかに高まるという基本的なメカニズムは作動しているといえる。
  • 物価については、プラスの需給ギャップ持続による上昇圧力と、家計の根強いデフレマインドや生産性上昇など抑制要因が併存しており、2021年度にかけても不確実性が高い状況が続くと見込まれる。
  • 先行き、消費者物価の前年比上昇率の拡大は小幅なものに留まるとみられる。需給ギャップは適度な逼迫感を継続しているものの、適合的期待形成の影響等から、「物価安定の目標」の実現には暫く時間がかかると見込まれる。
  • 現実の物価が上がらないから予想物価上昇率が上がらず、予想物価上昇率が上がらないから現実の物価も上がらないという膠着状態に陥っていないか、検証が必要である。

2.金融政策運営に関する意見

  • 「物価安定の目標」の実現には時間がかかるものの、2%に向けたモメンタムは維持されていることから、現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが必要である。
  • 当分の間、世界経済の動向と消費税引上げの影響を見極めつつ、金融機関や市場機能面への副作用にこれまで以上に充分留意して、現行の金融緩和政策を維持する必要がある。また、2021年度にかけて、従来と同様に金融と財政のポリシーミックスが維持されることが重要である。
  • 現在の政策枠組みは、市場の状況に対応するための一定の柔軟性を有しており、副作用を軽減しつつ、市場環境が変化するもとでも緩和的な金融環境を維持しやすい政策と考えられる。
  • 息長く経済の好循環を支えて、「物価安定の目標」の実現に資するべく、経済・物価・金融情勢を踏まえて適宜適切に金融政策の枠組みに調整を加え、その持続性を強化すべきである。
  • 政策枠組みの持続性強化に繋がりうる取組みを不断に検討していく必要がある。
  • 経済・物価を巡る不確実性が大きく、2%の実現になお時間がかかることを踏まえると、現在の強力な金融緩和の継続方針をより明確に示すことが重要である。
  • 強力な金融緩和の継続への信認を強化するためには、きわめて低い金利水準を維持する期間を具体的に示すなど、政策金利のフォワードガイダンスを明確化することが適当である。
  • 政策金利のフォワードガイダンスは、導入時点に比べて海外経済を巡る不確実性が高まったことなどを踏まえ、見直しを検討するのが適切である。
  • 強力な金融緩和の継続に資するため、金融機関からの要望も踏まえ、適格担保の拡充や保有国債・ETFの有効活用などについて検討すべきである。
  • 雇用や賃金が景気に遅行することなどを踏まえると、金融政策は、これまで以上に景気動向に配慮して運営することが重要である。
  • 平成はデフレの時代であり、デフレとの闘いの歴史だった。新しい時代にデフレ不況を繰り返してはならない。物価安定の目標からまだ距離がある現状では、追加緩和論にも相応の妥当性がある。物価上昇のモメンタムが失われた時には、機動的かつ断固とした追加緩和を行うべきである。
  • 景気が局面変化する中で、金融緩和の副作用が累積していくことを踏まえると、「物価安定の目標」の早期達成に向けて、現時点で金融緩和を強化する必要がある。
  • 足もとの金融経済情勢をみると、金融政策の効果が実体経済に波及していく時間軸およびその副作用が累積的に強まっていく時間軸に留意することに加え、効果と副作用を慎重に比較衡量することが一段と必要な状況となってきている。
  • 金融機関の預金・貸出金利には契約上、運用上のゼロフロアがあると考えられることや、民間部門の資金の運用・調達構造を踏まえると、現状以上の金利低下は、実体経済への効果よりも副作用を助長するリスクの方が大きい可能性がある。
  • 「量的・質的金融緩和」が銀行収益を悪化させているという議論は、金融緩和による景気の改善、貸出の増加、信用コストの低下、株式と債券に関する収益の増加を無視している。この議論は、低金利政策が銀行収益に与えた好影響を考慮せずに、貸出金利が低下しなければ、もっと利益が上がっていたはずだという、非現実的な想定に基づいている。

3.政府の意見

財務省

  • 今回執行部から提案のあった事項は、強力な金融緩和を継続する上で必要なものと受け止めており、本会合で適切に判断いただきたい。
  • 金融政策運営の状況等について、引き続き丁寧かつ積極的な説明に努めていただきたい。
  • 平成31年度予算が3月27日に成立した。4月11~12日で開催されたG20では現下の世界経済の認識等を各国と共有した。
  • 日本銀行が、引き続き、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、「物価安定の目標」の実現に向けて努力されることを期待する。

内閣府

  • 夏の骨太方針において、就職氷河期世代のための集中プログラムを取りまとめる。
  • 日本銀行には、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、物価安定目標の実現に向け、金融緩和を着実に推進していくことを期待する。
  • 今回のフォワードガイダンスの明確化は、金融緩和を継続していくことをより明確にするための提案と認識しており、その趣旨について、対外的に丁寧に説明していくことが重要と考える。
  • 10連休の対応にも万全を期していただきたい。

以上


  1. 「金融政策決定会合における主な意見」は、(1)各政策委員および政府出席者が、金融政策決定会合で表明した意見について、発言者自身で一定の文字数以内に要約し、議長である総裁に提出する、(2)議長はこれを自身の責任において項目ごとに編集する、というプロセスで作成したものである。 本文に戻る