金融政策

ホーム > 金融政策 > 金融政策決定会合の運営 > 金融政策決定会合における主な意見 2019年 > 金融政策決定会合における主な意見(7月29、30日開催分)

金融政策決定会合における主な意見
(2019年7月29、30日開催分)1

2019年8月7日
日本銀行

1.金融経済情勢に関する意見

経済情勢

  • わが国の景気は、輸出・生産や企業マインド面に海外経済の減速の影響がみられるものの、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、基調としては緩やかに拡大している。先行きも、当面、海外経済の減速の影響を受けるものの、景気の拡大基調が続くとみられる。
  • わが国の景気は、基調としては緩やかに拡大している。先行きは、潜在成長率並みの成長を続けると見込まれる。海外経済の減速に加えて、消費税率引き上げの影響等に注意が必要である。
  • わが国経済は、引き続き輸出面で海外経済減速の影響がみられるが、堅調な内需に支えられ緩やかな拡大を維持している。当面は、消費税率引き上げの影響と世界経済の動向を慎重に見極めることが必要である。
  • 海外経済は、緩やかに持ち直していくと考えられる。ただし、引き続き下振れリスクが大きく、わが国経済に与える影響を丹念にみていく必要がある。
  • 世界経済を取り巻く環境をみると、米中を中心とした貿易摩擦の慢性化懸念などから、リスクは、本年度入り後、下方に拡がり続けており、懸念している。
  • 世界経済は減速感を強めており、年後半からの回復シナリオが後ずれする可能性がある。わが国でも、製造業中心に新規求人が減るなど、輸出や業況感の悪化が、堅調とされる雇用の先行きに影響し始めている。
  • 日本経済も世界経済も先行きの不確実性が高まっている。わが国では消費税率引き上げも控えている。年度下期に期待されている世界景気の回復は、消費税率引き上げには間に合わないようである。
  • 外需を取り巻くリスクが下方に厚みを増す中、景気を楽観視することは難しい。外需の悪影響は内需にも着実に波及しており、内外リスク要因の顕在化のタイミングが重なると、景気後退に向かう可能性も相応にある。
  • 世界的に金利低下が進む中、本邦投資家が過度なリスクテイクを行わないか、動向を注視している。

物価

  • 消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップがプラスの状態を続けることや中長期的な予想物価上昇率が高まることなどを背景に、2%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えられる。
  • 人件費等の上昇を背景に食料品等の値上げが拡がっているほか、プラスの需給ギャップを原動力とした物価上昇の基本的なメカニズムが働いている。ただし、経済の下振れリスクが顕在化した場合、物価に影響を及ぼしうる点には留意が必要である。
  • 物価の基調としてのモメンタムは、徐々に高まりつつあると感じている。この流れを大切に育てていくことが極めて重要な局面にあると考えており、ここが正念場と捉えている。
  • 先行き、消費者物価の前年比上昇率の拡大は緩やかなものに留まるとみられる。需給ギャップは適度な逼迫感を継続しているものの、「物価安定の目標」の実現には暫く時間がかかると見込まれる。
  • 物価は、プラスの需給ギャップによる上昇圧力と、生産性向上等による抑制効果が併存し、上がりにくい状況が続いている。生産性向上のための投資が今後も続くとみられることを踏まえると、先行きも上がりにくい状況が続くと予想される。
  • 宿泊業では、全国的に休業日を設ける動きが拡がっている。こうした動きは、就労条件を改善し、稼働率の低い曜日、閑散期は休業し、稼働率を全体として高める試みである。これは結果として、労働生産性を高め、物価上昇を抑制することになる。
  • 需要の弱さを反映して、物価上昇率は弱いままである。わが国では、賃金引き上げに対する抵抗感が根強いと感じる。
  • 物価上昇率が、見通し期間中に2%の「物価安定の目標」に向けて伸びを強めていくとは判断できない。今後、経済・金融環境が悪化する場合には、物価上昇率がマイナスとなる可能性も視野に入ると予想される。

2.金融政策運営に関する意見

  • 「物価安定の目標」の実現には時間がかかるものの、2%に向けたモメンタムは維持されていることから、現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが必要である。
  • 息長く経済の好循環を支えて、「物価安定の目標」の実現に資するべく、現在の金融政策運営方針を粘り強く継続すべきである。
  • 仮に、今後海外経済が一段と悪化し、わが国経済・物価に悪影響を与える場合は、金融・財政のポリシーミックスの中で迅速に政策対応すべきだが、当面は金融システム面への副作用に留意して、現行の緩和政策を継続することが重要である。
  • わが国の金融緩和の度合いは、既に欧米以上に強力なものになっているとみられる。そのうえで更なる緩和が必要かどうかについては慎重な検討が必要であり、少なくとも足もとにおいては、可能な限り現在のきわめて強力な金融緩和を粘り強く継続していくことが重要と考えている。
  • 現時点において、物価の下振れリスクに対して予防的・先制的に政策対応することが重要である。長短金利操作とフォワードガイダンスの両面から金融緩和を一段と強化することが必要である。
  • 他国の金融政策運営の影響は、経済情勢や市場動向に応じて変化するものであり、短期的な変動にとらわれずに総合的に判断していくことが重要である。
  • 現状、経済・物価の下振れリスクが大きい状況が続いていることを踏まえると、物価安定の目標に向けたモメンタムが損なわれるような状況が懸念される場合には、リスクに対応するべく、躊躇なく、必要な政策を適切に実施する、という情報発信を行っていくことが肝要である。
  • 「物価安定の目標」に向けたモメンタムが損なわれることが予見される場合には、躊躇なく金融緩和措置を講じるべきである。
  • 米中貿易摩擦の影響を受けやすく、2%から距離のある日本こそ、経済・物価の下振れリスクに対する、いわゆる予防的金融緩和論を検討する必要があるのではないか。消費税率引き上げの影響や市場の急変などに対して、日本銀行の政策が後手に回らないよう十分な警戒が必要である。
  • 「物価安定の目標」に向けたモメンタムが損なわれる危険性が大きくなるならば、躊躇なく追加的な金融緩和策を講じることを、これまでよりも明確に内外に伝え、緩和策についても予め検討しておくべきである。
  • 量・質・金利を始め様々な緩和策などについて、それぞれの利害得失を検討する必要がある。
  • 政策対応を考えるにあたっては、効果と副作用の点検が必要である。その際、副作用によって効果が損なわれてしまう可能性も念頭において、慎重な点検や設計を行うことが重要である。
  • 金融緩和による副作用の累積が長年に亘るという時間軸も踏まえ、金融機関のリスクテイク姿勢の変化や、金利の低下が金融機関の収益や貸出姿勢に与える影響も見極めつつ、金融の不安定化を未然に防ぐという観点からも、金融政策をより慎重に検討していく必要がある。

3.政府の意見

財務省

  • 日本議長下において開催されたG20大阪サミットでは、世界経済の課題に団結して取り組んでいく姿を打ち出すことができた。
  • 昨日の経済財政諮問会議では、令和2年度予算の概算要求基準が議論された。「新経済・財政再生計画」のもと、引き続き、手を緩めることなく本格的な歳出改革に取り組む観点から、予算編成を行う。
  • 引き続き、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、「物価安定の目標」の実現に向けて努力されることを期待する。

内閣府

  • 内閣府年央試算では、内需を中心とした景気回復を見込んでおり、2019年度の実質成長率は0.9%程度、2020年度は1.2%程度としている。
  • 「骨太方針2019~『令和』新時代:『Society 5.0』への挑戦~」を踏まえ、成長と分配の好循環の拡大を目指すとともに、全世代型社会保障を実現し、経済財政運営に万全を期す。
  • 日本銀行には、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、物価安定目標の実現に向け、金融緩和を着実に推進していくことを期待する。

以上


  1. 「金融政策決定会合における主な意見」は、(1)各政策委員および政府出席者が、金融政策決定会合で表明した意見について、発言者自身で一定の文字数以内に要約し、議長である総裁に提出する、(2)議長はこれを自身の責任において項目ごとに編集する、というプロセスで作成したものである。 本文に戻る