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金融政策決定会合における主な意見
(2019年9月18、19日開催分)1

2019年9月30日
日本銀行

1.金融経済情勢に関する意見

経済情勢

  • わが国の景気は、輸出・生産や企業マインド面に海外経済の減速の影響がみられるものの、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、基調としては緩やかに拡大している。先行きも、当面、海外経済の減速の影響を受けるものの、景気の拡大基調が続くとみられる。
  • わが国の景気は、基調としては緩やかに拡大している。先行きについては、海外経済の減速に加え、消費税率引き上げの影響やオリンピック関連需要の一巡等に注意が必要である。
  • わが国経済は、輸出や設備投資の一部に海外経済の減速の影響がみられるが、堅調な内需に支えられ緩やかな拡大を維持している。当面、消費税率引き上げの影響と回復が遅れている海外経済の動向を慎重に点検する必要がある。
  • 海外経済については、IT関連財の調整進捗や財政・金融政策の効果などから、次第に持ち直していくとみている。
  • 経済情勢をみると、国内外を問わず、製造業と非製造業の対比が経済指標でも一層はっきりしてきたほか、世界経済全体としては、英国のEU離脱を控える欧州などを中心に、下方リスクが一層高まってきている。
  • 様々な不確実性の高まりを踏まえると、海外経済の動向がわが国経済に及ぼす影響を慎重にみていく必要がある。
  • 海外経済の下振れリスクが高まりつつあるとみられるもとで、わが国経済を取り巻く環境は、より注意が必要な情勢になりつつある。前回会合以降も、こうした情勢が弱まる方向へは向かっていない。
  • 海外経済の回復は遅れており、当面、外需の持ち直しは、期待できない。内需も、海外経済の減速の影響が及ぶ中で消費税率引き上げが迫っており、景気の先行きを楽観視できない。
  • 昨年後半から景気が弱い中、10月には消費税率引き上げが実施されるが、対策として様々な施策がなされる。これらが全体として経済に与える影響を予見することは難しい。ポイント還元制度などは、ある程度、消費税率引き上げの影響を緩和する可能性もある。
  • 世界で金融緩和が進む中、国際金融市場における過度な期待の高まりを示す動きや、資産価格の変動が景気に与える影響を注視していく必要がある。
  • 低金利環境のもとでは、金利が株価や為替に与える影響が変化する結果、金利低下が、必ずしも株高・円安に繋がるとは限らない。

物価

  • 消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップがプラスの状態を続けることや中長期的な予想物価上昇率が高まることなどを背景に、2%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えられる。
  • これまでのところ、景気の拡大基調が続き、プラスの需給ギャップが維持されるもとで、物価が徐々に上昇していく基本的なメカニズムは維持されている。
  • プラスの需給ギャップによる物価上昇圧力は維持されているが、賃金上昇・物価上昇に加速の動きがみられない。
  • 物価は、プラスの需給ギャップと生産性向上の動き等が併存するもとで、緩やかな前年比プラスの水準で安定した状態にあるが、外需主導で需給ギャップが縮小するリスクには十分留意すべきである。
  • 物価上昇に向けたモメンタムが再び強まる兆しは維持されているとの認識に変わりはないが、この兆しが損なわれる惧れがないかといった点については、これまで以上にしっかりみていく必要がある。
  • 世界経済の減速、回復シナリオの後ずれなどを受けて、各種物価指数は下落するか上昇幅が縮小しており、需給ギャップもプラス幅が縮小している。

2.金融政策運営に関する意見

  • 「物価安定の目標」の実現には時間がかかるものの、2%に向けたモメンタムは維持されていることから、現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが必要である。
  • 息長く経済の好循環を支えて、「物価安定の目標」の実現に資するべく、現在の金融政策運営方針を粘り強く継続すべきである。
  • 物価上昇のモメンタムが損なわれる惧れについて、より注意が必要な情勢になりつつあり、そのことを念頭に、次回の決定会合において経済・物価動向を改めて点検していくことが必要である。このことは、公表文に記述し、対外的に明確にすることが望ましい。
  • 「物価安定の目標」に向けたモメンタムが損なわれる惧れが高まる場合に備えて、長短金利・量・質のすべての面で金融政策に手詰まりはなく、あらゆる可能性が常時存在していることを強調する情報発信を行なうことが重要である。
  • 当面は現行の金融緩和政策を維持することで問題ないが、海外経済の回復の遅れがわが国経済・物価に悪影響を及ぼす懸念があることを踏まえると、副作用にも留意しつつ、望ましい政策対応について検討していく必要がある。
  • 「物価安定の目標」に向けたモメンタムが損なわれる惧れは相応にあり、追加緩和措置の要否を検討すべきである。追加緩和手段については、緩和効果をもたらすとの目的を明確にし、予断なく、短期政策金利の引き下げ、長期金利操作目標の引き下げ、資産買入れの拡大、マネタリーベースの拡大ペースの加速など、あらゆる政策手段を検討すべきである。また、国内外でこれまでに取られた非伝統的政策手段の教訓を踏まえると、断固として行動し、その有用性について広く発信することが重要である。
  • 需給ギャップ、予想インフレ率、物価の動きに先行する様々な指標を見通すと、物価のモメンタムは損なわれていると考えており、先制的に追加緩和措置を講じることが必要である。イールドカーブがフラット化している現状を踏まえると、追加緩和策としては短期政策金利の引き下げが適当である。追加緩和と併せて、コミットメントの強化や財政政策との連携強化を行うことが適当である。
  • 次回決定会合において、短観や支店長会議での報告も踏まえ、経済・物価動向を改めて点検していくことが重要である。もっとも、現時点で点検結果や先行きの政策運営について予断を持つべきではない。
  • マイナス金利政策については、それが銀行経営に与える影響よりも、あくまでも、経済全体に与える影響を優先して考えるべきである。金融システムレポートのヒートマップの総与信・GDP比率は、「量的・質的金融緩和」の開始後に上昇に転じ、「赤」に近接している。「量的・質的金融緩和」は銀行貸出の増加をもたらし、銀行経営を改善しているはずである。銀行経営の問題は、総与信以上に、預金が増加してしまったことである。
  • 低金利環境の継続による銀行の収益性低下と資産のリスク量増加が格下げに繋がれば、外貨流動性リスクや外貨調達コストが高まり、取引先企業にも悪影響が及ぶ惧れがある。このため、銀行システムの信用力の変化について、引き続き注視していく必要がある。

3.政府の意見

財務省

  • 8月末に、令和2年度予算の概算要求が締め切られた。社会保障と財政の持続可能性を維持するためには、経済再生と財政健全化の両立を図ることが必要であり、本格的な歳出改革を進めていく。
  • 10月に予定されている消費税率引上げに当たり、引き続き、経済の実態をきめ細かく分析し、経済運営に万全を期していく。
  • 日本銀行が、引き続き、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、「物価安定の目標」の実現に向けて努力されることを期待する。

内閣府

  • 安倍内閣は、デフレからの完全脱却に向け、骨太方針に従い、成長戦略を着実に実行し、来月の消費税率引上げへの対応を含め、経済財政運営に万全を期す。
  • 誰もが活躍でき、安心して暮らせる社会づくりのため、「全世代型社会保障検討会議」を立ち上げ、全世代型社会保障制度へと改革を進める。
  • 日本銀行には、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、物価安定目標の実現に向け、金融緩和を着実に推進していくことを期待する。

以上


  1. 「金融政策決定会合における主な意見」は、(1)各政策委員および政府出席者が、金融政策決定会合で表明した意見について、発言者自身で一定の文字数以内に要約し、議長である総裁に提出する、(2)議長はこれを自身の責任において項目ごとに編集する、というプロセスで作成したものである。 本文に戻る