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金融政策決定会合における主な意見
(2020年3月16日開催分)1

2020年3月25日
日本銀行

1.金融経済情勢に関する意見

経済情勢

  • 新型コロナウイルス感染症の拡大などの影響により、世界経済の不透明感が高まり、内外金融資本市場で不安定な動きが続くもとで、わが国の景気は、このところ弱い動きとなっている。
  • わが国の景気は、このところ弱い動きとなっている。新型コロナウイルス感染症の拡大などの影響に注意が必要である。
  • わが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う経済活動の抑制により、景気下押し圧力が強まっており、金融資本市場の不安定な動きも続いている。新型感染症は世界的規模で急拡大しており、当面はグローバルにも景気下押しが進むと予想される。
  • 金融環境は企業金融の一部で緩和度合いが低下している。経済が弱い状況が長引けば、中小企業を中心に資金繰り懸念が強まりかねない。金融市場の不安定な状況が続けば、家計のマインドや企業の投資スタンスが急速に慎重化するリスクもある。
  • 現在、企業が直面している新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う業績悪化は急激で、極めて深刻に受け止めている。また、わが国固有の点として、多くの企業の決算期が今月末に迫っており、その備えや態勢が万全なものとなっているか注視している。
  • わが国の景気は、当面、弱い動きが続くが、各国の対応などにより感染症拡大の影響が和らいでいけば、緩やかな拡大基調に復していくと見込まれる。
  • 感染症拡大が経済活動に与える影響は、短期的に大きな落ち込みをもたらした後、いずれ事態が収束するにつれて回復するというのが標準的な姿であるが、感染が時差をもって世界中に拡がっているため、影響が長引き、かつ大きくなる可能性がある。
  • 新型コロナウイルス感染症のショックは、リーマン・ショック、東日本大震災時の自然災害のショックと性質は異なるが、不確実性が高いため、影響は一時的なものにとどまらず、甚大なものになる可能性を意識しておく必要がある。日本経済は、新型感染症の影響が生じる前から弱めの動きがみられており、海外経済が回復した後も、低迷が続く懸念がある。
  • 消費税率引き上げや自然災害の影響から内需が大幅に落ち込む中で、新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大し、経済に大きな下押し圧力が生じている。移動制限などの各国の公衆衛生上の措置等を前提とすると、経済の落ち込みは深刻かつ長期化する可能性がある。また、逸失したサービス消費は挽回しにくく、新型感染症の影響を除いても経済の基調は弱いとみられるため、新型感染症危機の収束後に経済が力強く回復するとのシナリオには懐疑的である。
  • 今回のショックにより、現預金の積み上げは望ましいという企業の心理はさらに強化される可能性がある。経済が正常に回復しても、所得から支出ではなく、所得から預金に向かってしまう可能性がある。そうならない場合でも、多くの企業が売上げ減少などによって失われた現預金を新たに積み上げようとすれば、支出が減少し、所得が生じにくい状況が長期間続くことになる。

物価

  • 消費者物価の前年比は、当面、原油価格の下落の影響もあって弱含むとみられる。その後は、経済が緩やかな拡大基調に復していけば、そのもとで徐々に上昇率を高めていくと考えられる。
  • プラスの需給ギャップが物価上昇を支えているが、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響から、そのプラス幅が縮小する可能性が高まっている。
  • 「物価安定の目標」に向けたモメンタムは、損なわれる惧れは高まっているものの、現時点においてはプラスの需給ギャップと完全雇用に近い労働環境のもとで、維持されている。
  • 経済・物価に対する下方リスクは高まっており、「物価安定の目標」に向けたモメンタムが損なわれる惧れは高まっている。

2.金融政策運営に関する意見

  • 企業金融の円滑確保に万全を期すとともに、金融市場の安定を維持し、企業や家計のコンフィデンス悪化を防止する観点から、金融緩和を強化することが適当である。
  • 金融機関が仲介機能を十分発揮できるよう潤沢な資金供給を行う、企業の資金繰りに万全を期す、ETF等の買入れ増額によりリスク・プレミアムの拡大を抑制し金融市場の安定を確保する、という3つの角度から金融緩和を強化すべきである。
  • 新型コロナウイルスの感染拡大の抑え込みに向けてイベントや外出の自粛が行われている時期に金融政策に求められることは、総需要の刺激ではなく、企業の資金繰りの不安を取り除くことと、金融市場の安定確保により市場や国民に安心感を与えることである。
  • 足もとの経済・金融環境のもとでは、潤沢な資金供給などを通じて、金融環境を極めて緩和的なものに維持することが必要である。
  • 当面の優先課題は、潤沢な資金供給、および企業金融面での充分な資金繰り支援である。その際、既存の政策スキームを活用し、金融仲介機能面での副作用にも配慮しつつ、原則は時限的措置とした上で、状況に応じて柔軟かつ迅速に対応することが重要である。
  • 新型コロナウイルス感染症の拡大の影響から、企業収益は悪化し、資金繰りの問題から破綻する企業も出ている。十分な金融仲介機能を維持するために必要な措置を講じるべきである。
  • 新型コロナウイルスの影響が深刻化していることから、企業・家計への支援策を迅速かつ大規模に実施すべきである。日本銀行としては、企業の資金繰りを支援する追加緩和策をまず講じる必要がある。
  • 新型コロナウイルス感染症にかかる企業金融支援特別オペは、厳しい経営環境の中でも取引先企業の資金繰り支援に積極的に取り組もうとする金融機関の後押しや、資金繰りが悪化した企業経営者の不安軽減に繋がる。
  • 引き続き、市場の状況に応じて一定の柔軟性を持つという現行の枠組みの強みを最大限活かし、金融市場全体の安定回復に努めることが肝要だと考える。
  • 感染症対策として必要な様々な施策のもとで、多くの人々の働く機会と所得が減っている状況に対しては、政府が、適切かつ、大規模な処置を講ずることが期待される。日本銀行としては、所得・収益が回復するまでの資金を十二分に供給することが必要である。
  • 今後の金融政策運営については、現在でも残高の増加額年間約80兆円のめどまでは長期国債を買入れうるほか、経済・物価情勢によっては臨時会合開催も含めた機動的な対応が可能である。景気後退懸念がある今こそ、政府とともにしっかりと経済を支えていく時期であり、政府の各種対策や経済政策対応と緊密な連携を取るべきである。
  • 政策対応にあたっては、日本銀行と政府、および主要中央銀行間で、緊密に情報共有しつつ、強固な協力体制を維持することが肝要である。

3.政府の意見

財務省

  • 政府は、今般の新型コロナウイルス感染症への対応として、先週、「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策第2弾」をとりまとめた。
  • 新型感染症に伴う経済の先行き懸念が強まるもと、市場の不安定な動きに対し、政府・日本銀行が緊密に連携し、対応することが重要。提案の事項は、金融市場の安定確保を行う観点などから実施すると受け止めており、迅速かつ適切な対応と評価する。
  • 引き続き、金融市場の安定確保等に万全を期すとともに、「物価安定の目標」の実現に向けて努力されることを期待する。

内閣府

  • 政府として世界経済への影響等を注視しつつ、必要かつ十分な経済財政政策を躊躇なく行うこととし、前例にとらわれず、マクロ経済へのインパクトに見合う思い切った措置を講じる。
  • 今回の措置は企業金融の円滑化、金融市場の安定化に万全を期す観点から提案されたと認識。
  • 引き続き、適切な金融政策運営を行っていただくとともに、政府と日本銀行の間で危機感を共有し、緊密な連携を行っていく旨の強いメッセージを発信していきたい。

以上


  1. 「金融政策決定会合における主な意見」は、(1)各政策委員および政府出席者が、金融政策決定会合で表明した意見について、発言者自身で一定の文字数以内に要約し、議長である総裁に提出する、(2)議長はこれを自身の責任において項目ごとに編集する、というプロセスで作成したものである。 本文に戻る