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金融政策決定会合における主な意見
(2020年4月27日開催分)1

2020年5月11日
日本銀行

1.金融経済情勢に関する意見

経済情勢

  • わが国の景気は、内外における新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、厳しさを増しており、金融環境も企業の資金繰りが悪化するなど企業金融面で緩和度合いが低下している。
  • わが国経済は、内外における感染症拡大の影響により、大変厳しい状況にある。医療面や経済面での政策措置について、その内容やタイミング、規模、展開状況等を注視している。
  • 感染症拡大により、わが国の実体経済への下押し圧力は一段と強まっている。主要国の政策対応もあって足もと金融資本市場は小康状態となっているが、世界的にも実体経済が深刻化するもとで、再び不安定化するおそれは大きく、引き続き警戒すべき状況である。
  • わが国を含む世界経済は、IT関連や日用品といった一部の例外を除けば、需要が著しく減少ないし蒸発しており、サービス業を中心に一層の業績悪化に見舞われ、深刻さを増している。
  • わが国経済は、当面、内外における感染症拡大の影響から厳しい状態が続くとみられる。その後、内外で感染症拡大の影響が和らいでいけば、緩和的な金融環境や政府の経済対策にも支えられて、わが国経済は改善していくと考えられるが、不確実性はきわめて高く、下振れリスクが大きい。
  • 日本経済には、短期的に大きな下押し圧力がかかることが想定されるが、この下押し圧力は、感染拡大防止策に伴い経済活動が制約されることによる面が大きいと考えられる。このため、短期的な経済の落ち込みが、中長期的な成長経路を規定するとは必ずしもいえない。
  • 現時点では、日本経済の中長期的な見通しは、きわめて高い不確実性のもとにあり、楽観、悲観、両方のシナリオを想定することが可能である。

物価

  • 消費者物価の前年比は、当面、感染症の拡大や原油価格の下落などの影響を受けて弱含むとみられる。
  • コロナウイルス感染症が収束すれば、経済は改善していき、物価上昇に向けた動きが先々戻ってくると考えられる。
  • 経済成長率の低下に伴い需給ギャップと予想インフレ率に下押し圧力がかかり、原油価格の大幅下落も加わることで、物価上昇率は来年度までマイナス圏で推移し、その後、小幅のプラスに戻る公算である。
  • 先行きの経済動向や適合的なインフレ予想形成を踏まえると、見通し期間の終期にあたる2022年度でも、物価が2%にしっかりと近づいていく姿は見通しがたい。
  • 感染症拡大の影響の帰趨にもよるが、短期的には、1930年代の大恐慌以来の急激な経済収縮も起きかねない。こうした情勢下で、「物価安定の目標」の達成は後ずれする。

2.金融政策運営に関する意見

  • 金融機関や企業等の資金調達の円滑確保に万全を期すとともに、金融市場の安定維持に努める観点から、金融緩和を一段と強化することが適当である。
  • 現在の局面では、企業の事業継続・雇用維持のための資金繰り支援、及び金融市場の安定維持に向けた資金供給の拡大を最優先すべきである。
  • 今回も、流動性供給を中心とした更なる緩和措置が必須であるほか、一層の状況悪化の可能性にもしっかり備えておくことが肝要である。
  • 当面の優先課題は、企業金融面での十分な資金繰り支援により、企業倒産を防ぎ、雇用を守ることである。実体経済が一段と厳しさを増していることを踏まえ、現行の金融緩和措置の更なる拡充・強化を図る必要がある。
  • 企業収益は悪化し、資金繰りの問題から破綻する企業も出ている。現下においては、十分な流動性を供給して、経済の供給インフラを守ることが必要である。
  • 企業金融面での具体的な対応策としては、社債・CP買入れや既存の特別オペなどを拡充すべきである。
  • 中小企業の資金繰り支援の工夫を、政府の緊急経済対策における制度なども踏まえて検討すべきである。
  • 金融緩和の一層の長期化が想定される中、厳しい状況にある金融機関経営を念頭に、融資に対する金融機関の積極姿勢を後押しする措置を講じることが重要である。
  • 金融機関が金融仲介機能を一層発揮できるよう、金融支援特別オペの拡充が必要である。そのうえで、感染症の影響で資金繰りが悪化した企業を金融機関が支援していく中では、貸出の一定割合が不良化する可能性を念頭に、金融システムの状況を慎重に注視していく必要がある。
  • 政府の緊急経済対策を受けた国債発行の増加の影響も踏まえ、イールドカーブを低位で安定させる観点から、国債買入れをさらに積極的に行うことが望ましい。これに伴い、イールドカーブ・コントロールのもとで金利目標を実現していくために必要な金額の国債買入れを、上限を設けずに行っていくべきである。
  • 今は感染症の影響を注視し、金融・経済の安定を確保することが重要である。「物価安定の目標」に向けたモメンタムは、いったん損なわれていると判断せざるを得ず、政策金利のフォワードガイダンスは「感染症の影響」に紐付けたものに変更することが適当である。
  • 現在、金融経済活動の下支えに資する対応を最優先し、必要があれば政策対応する姿勢を明確にしている。こうしたもとでは、政策金利のフォワードガイダンスは、「物価安定の目標」に向けたモメンタムに依拠させるより、この方針と紐付けた方が、政策運営スタンスを示すうえでより適切であり、企業や家計のマインドが急落しているもと、安心に繋がるのではないか。
  • 政策対応においては、政府と中央銀行間、および主要中央銀行間で緊密な情報交換を行い、課題認識を共有するなど協力体制を維持することが肝要である。
  • 大恐慌の再来を避けるべく、政策当局は果断に対応しなければならない。大きな経済危機においては、財政・金融政策の緊密な連携・協調が必要不可欠である。インフレ率の高騰リスクは、「物価安定の目標」が堅持されている限り制御できる。ましてや現在はデフレが懸念される局面であり、さらなる財政・金融政策の連携は十分に可能である。
  • デフレの再定着を避け、「物価安定の目標」を実現するには何が必要なのか、現行政策の有効性の評価も踏まえた検討を行っていくべきである。
  • 緊急経済対策と合わせ、金利の低下を企図して積極的な国債買入れを行うことで、政府との連携強化をより明確にし、企業・家計の金利負担の軽減を図るとともに、今後のデフレ圧力を可能な限り抑制することが適当である。
  • 経済・物価に強烈な逆風が吹き、不確実性がきわめて高い現況下では、感染症が早期に収束する、あるいは収束前後で経済に構造変化が起きない、といった前提が満たされない可能性を考慮に入れて、金融政策を運営する必要がある。
  • 感染症に伴う経済の悪化により金融機関のバランスシートが毀損していくと考えられる中、既に貸出利鞘が極めて小さくなっている状況で金利がさらに低下することになれば、リバーサル・レートへの抵触が早まると考えられる。

3.政府の意見

財務省

  • 新型感染症の経済的影響に対しては、政府・日本銀行が危機感を共有し、緊密な連携の下、難局に立ち向かうことが重要。提案の事項は、企業金融の円滑確保や金融市場の安定維持に万全を期す観点などから実施するものであり、適切な対応と評価している。
  • 政府は「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」を閣議決定した。この実行等のため、令和2年度補正予算を国会に本日提出する。
  • 引き続き、企業金融の円滑確保や金融市場の安定維持等に万全を期すとともに、「物価安定の目標」の実現に向けて努力されることを期待する。

内閣府

  • 今回決定された新たな措置は、企業金融の更なる円滑化とともに、政府・日本銀行のポリシーミックスをより強化するものであり、現下の金融経済情勢を踏まえた時宜を得たものと認識。
  • 政府としては、必要に応じて臨機応変かつ果断に対応する考えであり、日本銀行においても、事態の推移を注視して、引き続き、適切な金融政策運営を行っていただきたい。
  • 引き続き、政府との間で危機感を共有しつつ、緊密な連携を行っていただきたい。

以上


  1. 「金融政策決定会合における主な意見」は、(1)各政策委員および政府出席者が、金融政策決定会合で表明した意見について、発言者自身で一定の文字数以内に要約し、議長である総裁に提出する、(2)議長はこれを自身の責任において項目ごとに編集する、というプロセスで作成したものである。 本文に戻る