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金融政策決定会合における主な意見
(2020年7月14、15日開催分)1

2020年7月27日
日本銀行

1.金融経済情勢に関する意見

経済情勢

  • わが国の景気は、経済活動は徐々に再開しているが、内外で新型コロナウイルス感染症の影響が引き続きみられるもとで、きわめて厳しい状態にある。
  • 先行きの経済は、本年後半から徐々に改善するとみられるが、感染症の影響が残るなかで、そのペースは緩やかなものにとどまると考えられる。その後、感染症の影響が収束すれば、海外経済が着実な成長経路に復していくもとで、さらに改善を続けると予想される。
  • 内外の景気は、回復に向けての移行局面に入っており、先行きも、年後半から改善していくとみているが、感染症が人々のマインドへ与える影響や企業の中長期的な成長期待の動向を注視する必要がある。
  • わが国経済は、感染症の影響から厳しい状態にあるものの、足もとは回復に転じている。もっとも、外需を中心に先行きの不確実性は高く、回復ペースは緩やかなものになると思われる。慎重に内外の経済指標を点検することが肝要である。
  • わが国経済はきわめて厳しい状態にある。本年後半から緩やかに持ち直すとみられるが、感染症を乗り越えるための構造変化には時間がかかることから、再来年度でも感染拡大前の水準には戻らないと考えられる。
  • 感染症の影響により、短期的には設備投資や雇用について調整が生じる可能性が高いが、企業の中長期的な成長期待が損なわれる状況には至っていないと考えられる。
  • わが国経済の回復ペースは、感染症への懸念が残る中で、当面、緩慢であると見込まれる。感染症が再拡大する事態になれば、経済回復の時期はさらに後ずれするため予断を許さない。
  • 感染症との共存を余儀なくされる中、回復の確度は、財政・金融政策のほか、公衆衛生政策により安心・安全を担保し、人の移動や接触のストレスをいかに緩和できるかにも依存しており、回復の道のりは国・セクターで均一ではない。
  • 経済は、感染症の帰趨と、公衆衛生・マクロ政策対応との綱引きに依存している。感染症の影響が長引くと経済への下押し圧力も続き、時間の経過とともに、家計・企業の支払い能力問題の顕在化、休業者の失業者化、雇用から所得・支出への悪循環が生じうる。感染症後の産業構造の変化に伴う不確実性も、消費・投資を手控える要因となる。
  • 先行きのリスクには、感染症の帰趨、地政学的リスク、政治イベントに加え、各国政府による支援が夏場以降も延長されるかといった点もあり、不確実性が極めて高い。見通し期間を通じて下方リスクの厚い状況が続くとみている。
  • 感染症の影響が長引くとみられる中、賃金には当面下押し圧力が続くと考えられる。
  • 新型コロナ対応による民間金融機関を通じた中小零細企業向け実質無利子の貸出は、資金繰りに苦しむ企業の支援として大きな効果が期待できる一方、感染症の影響の収束後も含め、今後実行される一般の貸出に対してスプレッドの下押し圧力となる可能性がある。

物価

  • 消費者物価の前年比は、当面、感染症や既往の原油価格下落などの影響を受けてマイナスで推移するとみられる。その後、景気の改善などから、プラスに転じ、徐々に上昇率を高めていくと考えられる。
  • 時間はかかるが、物価は「物価安定の目標」に向けて上昇率を高めていく。
  • 景気回復テンポが緩やかなもとで、見通し期間中に物価が2%に向けたモメンタムを取り戻す姿は想定しにくい。
  • 感染症の物価に及ぼす影響については、企業の価格設定行動や予想インフレ率の動向など、やや長い目でみた二次的な影響も含め、慎重に点検していく必要がある。
  • 感染症の影響による需給の変調が物価の帰趨にどう影響するかは、上下両方向あるうえ、わが国固有の不確実性もあり、見極め難い。従来以上に予想物価上昇率などの形成メカニズムを丁寧にみていく必要がある。
  • 感染症に伴う経済ショックは負の需要ショックの面が大きいとみられる。経済の回復ペースが緩慢である見通しのもとで、需給ギャップの改善も緩慢と見込まれる。予想物価上昇率は、短期予想の低下が中長期に波及する兆候がある。こうしたことから、物価には、当面、下押し圧力が掛かりやすい。

2.金融政策運営に関する意見

  • 3月以降の金融緩和の強化は、金融市場の安定維持と企業金融等の円滑確保の面で効果を発揮している。
  • 金融資本市場や企業金融は安定を維持しており、本行の新型コロナ対応は有効に機能している。当面は、政策の効果をしっかりと見極めていくことが適切である。
  • 引き続き、(1)資金繰り支援の特別プログラム、(2)円貨・外貨の潤沢な供給、(3)ETF等の積極的な買入れ、の3つの柱により、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めていくことが重要である。
  • 金融・為替市場は、迅速な政策対応もあって安定的な動きとなっている中、金融政策面の当面の最優先課題は、引き続き企業の資金繰り支援により、事業や雇用の維持に資することである。
  • 現在の金融政策の方針を継続し、企業の資金繰りの問題がソルベンシーの問題に発展しないかなどを慎重に点検すべきである。
  • 物価には短期的に低下圧力が強まるとみられるが、現時点では中長期的なインフレ期待は概ね維持されている。2%の物価安定の目標に向けた政策対応は、感染症の影響の収束がみえてきた段階で検討することが適切である。
  • 当面、政府と中央銀行、および主要中央銀行間での緊密な情報共有を継続し、既往の政策枠組みの十分性を見極め、政策対応が必要であれば迅速に実行することが重要である。その上で、政策が長期化した場合の金融システム面でのリスクには注意が必要である。
  • 経済危機においては、財政政策と金融政策との適切かつ緊密な連携が必要不可欠である。
  • 財政政策との間だけでなく、ニューノーマルへの対応に向けた構造改革政策との間でも、政府と本行がそれぞれの役割の下で連携することが重要である。
  • フォワードガイダンスは、デフレの定着を容認せず、物価に紐づいた具体的な条件下で追加緩和措置を講じることが約束されている強力な内容に修正することが適当である。
  • 経済を確実に回復軌道に乗せるためには、企業自身が成長戦略を立案・実行するマインドに早く戻す必要があり、中期的な視点から金融政策が企業経営に与える影響についても、慎重に点検すべきである。
  • 今回の危機の経験を踏まえ、ウィズ・コロナ時代の金融政策のあり方について、検討を深めるべきだろう。物価や成長期待の更なる下振れと長期化のリスクに注意を払いつつ、政策の波及経路と効果の検証も必要である。
  • 信用コストの増加、低金利下での貸出利鞘や運用収益の減少により、金融機関の自己資本利益率が低下する可能性がある。こうした中、金融仲介機能面への副作用の累積にも配慮しつつ、実体経済の悪化が金融システムの安定性に影響を及ぼすことがないよう、金融政策運営の観点からも、これまで以上に慎重な点検が求められる。

3.政府の意見

財務省

  • 「経済財政運営と改革の基本方針2020」や成長戦略等について、閣議決定に向け、議論を進めている。
  • 今回の方針の原案にもある通り、これまでの累次の閣議決定や改革課題については、後退させることなく検討を進め、経済再生と財政健全化の両立に取り組んでいく。
  • 日本銀行には、企業金融の円滑確保や金融市場の安定維持等に万全を期し、金融経済活動の下支えに貢献することを期待する。

内閣府

  • 本年の骨太方針では、コロナ対策と激甚化・頻発化する災害への対応の双方により、国民の生命・生活・雇用・事業を守り抜くとともに、行政分野のデジタル化の遅れや、東京一極集中の危機管理上のリスクなど、感染症に際し浮き彫りになった課題等の克服、「新たな日常」の早期実現に向け、実行すべき施策を5つの柱に整理した。
  • 日本銀行においては、事態の推移を注視して、引き続き、適切な金融政策運営を行っていただきたい。

以上


  1. 「金融政策決定会合における主な意見」は、(1)各政策委員および政府出席者が、金融政策決定会合で表明した意見について、発言者自身で一定の文字数以内に要約し、議長である総裁に提出する、(2)議長はこれを自身の責任において項目ごとに編集する、というプロセスで作成したものである。 本文に戻る