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金融政策決定会合における主な意見
(2020年9月16、17日開催分)1

2020年9月29日
日本銀行

1.金融経済情勢に関する意見

経済情勢

  • わが国の景気は、内外における新型コロナウイルス感染症の影響から引き続き厳しい状態にあるが、経済活動が徐々に再開するもとで、持ち直しつつある。
  • 先行きの経済は、改善基調を辿るとみられるが、世界的に感染症の影響が残るなかで、そのペースは緩やかなものにとどまると考えられる。その後、感染症の影響が収束すれば、海外経済が着実な成長経路に復していくもとで、さらに改善を続けると予想される。
  • 内外経済は、4-6月をボトムに持ち直しつつある。ただし、経済活動のレベルは依然として低いほか、持ち直しの足取りも緩慢である。
  • わが国経済は、持ち直しの動きがみられる。もっとも、個人消費の回復ペースは緩やかであり、設備投資は減少傾向が明確になっているなど、厳しい状態にある。
  • わが国経済は、感染症の影響から厳しい状態にあるが、景気は既に底を打ち、現在徐々に回復が進んでいる。当面は、感染症抑制と経済活動拡大の両立を模索しつつ、経済の回復ペースを慎重に点検することが肝要である。
  • 国内経済情勢は、前回会合時点でみていたより幾分改善ペースが鈍いように思う。
  • わが国経済は、海外経済の動きを映じて輸出や生産が底打ちしつつある一方、感染症の影響によりサービス消費を中心に内需の低迷が続く可能性が高いことから、大幅な反発は見込みにくい。
  • 景気の回復ペースは緩やかで、引き続き予断を許さない。特に企業の設備投資計画は例年より慎重に設定されており、景況感の回復よりも設備投資の改善が遅れると見込まれる。消費についても、感染症の収束が依然展望できない中で雇用環境が悪化しており、回復の重石になるとみられる。
  • 今次の回復局面では、回復の軌道がはっきりとしたV字となっているセクターがある一方、未だ需要の回復目途が立たないセクターがあり、リーマンショック時と比しても徐々にその対比が鮮明になりつつある。
  • 今般の感染症により、予期せず将来の所得が減少するリスクが認識されたことで、家計の貯蓄性向がさらに高まり、消費の下押し圧力となることが懸念される。
  • 世界各国の財政・金融政策が奏功しており、金融市場はひと頃より落ち着いている。倒産、廃業の増加は現時点では抑制されている。ただし、感染症の影響が続くと、年末・年度末にかけて資金繰りから支払い能力へと問題が移行し、経済・物価に下押し圧力がかかる可能性には注意が必要である。
  • 金融仲介機能は適切に発揮され、かつてない規模で貸出の増加が続いているものの、銀行の株価純資産倍率の低迷などにみられる市場の評価は、金融システムの安定に対する懸念を映じている可能性がある。

物価

  • 消費者物価の前年比は、当面、感染症の影響などからマイナスで推移するとみられるが、その後は、景気が改善していくもとで、プラスに転じていき、徐々に上昇率を高めていくと考えられる。
  • 物価は、当面、前年比マイナスで推移するとみているが、今のところ、値下げで顧客を囲い込むデフレ的な価格設定が広範化しているようには見られない。
  • 構造改革や規制改革の機運は高まっている。改革を通じて社会が変わることで、成長への期待が高まり、慣行や消費・投資行動が変わり、物価上昇率も高まっていくとみられる。
  • 消費者物価は、当面、はっきりとしたマイナスになると見込まれる中、更なる悪材料が重なれば、家計や企業のコンフィデンスが一段と損なわれることが懸念され、モメンタム再興のタイミングにも影響し得る。

2.金融政策運営に関する意見

  • 3月以降の金融緩和措置は効果を発揮しており、引き続き、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めていくことが重要である。
  • 当面は、「3つの柱」での金融緩和を続けることが望ましい。このことは、経済の下支えを通じて「物価安定の目標」を実現することにつながる。
  • 政府・日銀による政策対応の効果もあって、失業や倒産の急速な増加は回避されており、企業の資金繰り対応も進んでいるとみられるため、当面は政策効果を見極めていくことが適切である。
  • 当面の金融政策については現行通りとし、引き続き、感染症の影響を注視しながら、必要に応じ施策を講じていくことが適当である。
  • 金融政策運営では、資金繰り支援策を感染症の影響が収束するまでしっかりと行い、成長分野への投資など企業の前向きな動きにつながるよう継続的に後押ししていくことが重要である。
  • 当面は企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持のための金融政策に注力する必要があるが、中長期的には、わが国が構造改革や成長戦略に取り組んでいく中で、金融機関の目利き力や市場メカニズム等を通じて企業の成長を促し、潜在成長率を高めていくという視点も重要である。
  • 当面の優先課題は、引き続き企業の資金繰り支援と雇用の維持である。一方、仮に今後の回復が遅れる場合、企業倒産や失業の増加を通じてわが国経済の潜在成長率の低下に繋がるほか、信用リスクの顕在化に伴う金融仲介機能の低下にも繋がり得るため、充分に留意する必要がある。
  • FRBの新たな金融政策の戦略との関連では、日本銀行は、従来から、インフレ率が景気変動などを均して、平均的に2%となることを目指している。また、政策金利のフォワード・ガイダンスでは、緩和方向を意識して政策を行っていく方針を明確にしている。
  • 現在の金融政策の方針を維持し、その効果と副作用を慎重に点検すべきである。「物価安定の目標」の実現には、中小企業を中心に、費用削減にとどまらない生産性向上のための改革が不可欠であり、政府や民間の取組みをしっかりと分析・評価し、必要に応じて金融政策運営にも活かしながら、民間の改革を支援すべきである。
  • 大規模金融緩和政策は、生産年齢人口が減少する中でも雇用者数や所得を増加させ、貧困者数も減らした。世界標準である「物価安定の目標」2%を掲げて主要中央銀行と政策スタンスを揃えた。さらに政府との連携・協調は極めて重要であり、経済危機の時には特にそうである。こうした成果と教訓を踏まえて、ウィズ・コロナ時代の金融政策のあり方について検討を深めるべきである。
  • 今後、感染症の抑制と経済活動の両立といった、ウィズ・コロナという新たな視点から、金融政策のあり方を議論していく必要性が生じる可能性がある。
  • 経済情勢が大きく変化する中で「物価安定の目標」達成への道筋が見えなくなっている状況を踏まえ、目標達成に向けた戦略について改めて総合的に検討することが必要ではないか。
  • 政府とは、引き続き、それぞれの役割を踏まえてしっかりと連携していく必要がある。
  • 今後も、政府と中銀、および主要中銀間の緊密な情報共有などの協力体制を維持しつつ、必要に応じて迅速かつ適切に政策対応を行うことが重要である。

3.政府の意見

財務省

  • 政府は、新型感染症への対応として、2度にわたる補正予算の策定、予備費使用の決定など、感染拡大防止と社会経済活動の両立に取り組んできた。
  • 政府としては、「経済財政運営と改革の基本方針2020」等に沿って、ポストコロナ時代を見据え、「質」の高い経済社会の実現を目指していく。
  • 政府との連携の下、日本銀行には、引き続き、新型感染症への対応をはじめ、必要な措置を適切に講じることを期待する。

内閣府

  • 4-6月期の実質成長率は過去最大の落ち込みとなったが、月次の動きをみると、持ち直しの動きがみられる。
  • 政府としては、事業・雇用・生活を守り抜き、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図るとともに、骨太方針2020に基づき、「新たな日常」を通じ、質の高い経済社会を早期に実現するための実行計画を年末までに策定する。
  • 日本銀行においては、事態の推移を注視し、引き続き適切な金融政策運営を行っていただきたい。

以上


  1. 「金融政策決定会合における主な意見」は、(1)各政策委員および政府出席者が、金融政策決定会合で表明した意見について、発言者自身で一定の文字数以内に要約し、議長である総裁に提出する、(2)議長はこれを自身の責任において項目ごとに編集する、というプロセスで作成したものである。 本文に戻る