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金融政策決定会合における主な意見
(2020年10月28、29日開催分)1

2020年11月9日
日本銀行

1.金融経済情勢に関する意見

経済情勢

  • わが国の景気は、内外における新型コロナウイルス感染症の影響から引き続き厳しい状態にあるが、経済活動が徐々に再開するもとで、持ち直している。
  • 先行きの経済は、改善基調を辿るとみられるが、世界的に感染症の影響が残るなかで、そのペースは緩やかなものにとどまる。その後、感染症の影響が収束していけば、海外経済が着実な成長経路に復していくもとで、さらに改善を続けると予想される。
  • 先行きのわが国経済は、感染拡大防止と経済活動の両立を図りながら、経済活動の水準を緩やかに戻していくというシナリオは維持されている。
  • わが国経済は、厳しい状態にあるものの、輸出を中心に持ち直している。もっとも、感染症の影響は長引くとみられ、回復ペースは緩やかなものになると考えられる。
  • わが国経済は、感染症の影響で厳しい状態にあるが、経済活動が再開されるもとで改善基調に入っているほか、金融市場も概ね安定的な動きを続けている。もっとも、先行きの不確実性は依然として高く、当面は回復の動きを慎重に点検することが肝要である。
  • 内外経済は、製造業では、自動車生産の回復による関連業種への波及もあって業況感の改善がみられる一方、非製造業では、感染症が再拡大するリスクが意識されるもとで、持ち直しのペースが緩やかなものにとどまる可能性がある。
  • 世界貿易量やわが国の輸出・生産の増加基調が維持されるかは不確実性が高いほか、世界的にサービスセクターの緩慢な回復が見込まれている中、見通し期間後半にかけて、慎重にみている。
  • わが国経済は回復しつつあるが、2018年秋以降の景気後退、消費税増税、新型感染症の影響が残る中、回復速度は遅く、回復後の水準に不確実性が残る。
  • 個人資産で株式よりも大きな割合を占める土地の価格が下落に転じたことが、消費者マインドに及ぼす影響が懸念される。

物価

  • 消費者物価の前年比は、当面、感染症や既往の原油価格下落、Go Toトラベル事業の影響などを受けて、マイナスで推移するとみられるが、その後は、経済の改善に伴い、プラスに転じていき、徐々に上昇率を高めていく。
  • 消費者物価は、当面、一時的な要因等から弱めの動きが続くものの、価格引き下げの動きが拡がる状況にはないと考えられる。
  • 値下げで需要喚起を図る価格設定は広範化しておらず、目下のところ、物価が全般的かつ持続的に下落していくリスクは大きくないと考えている。
  • 今のところ値下げにより需要喚起を図る動きが広範化しているとは評価していないが、今後、家計の雇用・所得環境の厳しさが一層強まっていくと、企業の価格決定行動にも影響を与え得るため、状況を注視していく。
  • わが国経済の回復ペースは落ち込み対比緩慢で、物価上昇率はしばらくマイナス圏で推移すると見込まれる。物価は、その後上昇に転じるものの、需給ギャップや予想インフレ率の改善が緩慢なことに加えて、過去の物価上昇率が弱いことが事後的に影響し、上昇のペースはきわめて緩やかになると予想している。
  • 雇用・所得の低迷、海外イベントによる金融市場の動揺等による物価と予想インフレ率の下振れリスクを警戒すべきである。
  • わが国のバックワードルッキングな物価予想形成と予想インフレ率の粘着性を前提とすると、近い将来に予想インフレ率が上昇する姿を合理的に描くことは難しい。

2.金融政策運営に関する意見

  • 3月以降の金融緩和措置は効果を発揮しており、引き続き、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めていくことが重要である。
  • 政府・日銀による政策対応の効果もあって、失業や倒産の急速な増加は回避されており、企業の資金繰りにも大きな問題は生じていないことから、引き続き政策の効果を見極めていくことが適切である。
  • 「3つの柱」は、当面の様々な経済・金融情勢の変化にも、柔軟に対応できる作りになっている。先行きの経済・金融情勢には大きな不確実性があり、引き続き、「3つの柱」のもとでの金融緩和を続けることが望ましい。
  • 市場安定と企業金融の支援に焦点を当てた現在の金融政策運営は効果を発揮しており、時間はかかるが、経済活動の下支えを通じて、「物価安定の目標」を実現することに繋がっていく。
  • 今後とも政府と中央銀行、および主要中央銀行間での情報交換や協力関係を堅持しつつ、必要に応じて迅速かつ適切な政策対応を行う必要がある。
  • 金融市場急変の可能性には最大限の警戒をもって臨み、経済・物価への影響を踏まえて必要があれば、機動的な政策対応をすべきである。ウィズ・コロナの金融政策においては、政府の経済財政政策と連携しつつ、喫緊の課題である国民の雇用と所得の維持を強く意識した運営が望まれる。感染症との戦いが長期化することも視野に入れて、政策の時期尚早な手じまいは避けるべきである。
  • 足もと、無担保コール翌日物金利の上昇圧力が幾分高まっているが、他の中央銀行が緩和姿勢を強める中、本行の緩和姿勢が後退しているといった誤ったメッセージと市場に受け取られないよう、コミュニケーションには十分留意する必要がある。
  • 既往の政策対応は効果を発揮しているが、企業の資金繰り確保と雇用の維持は、現在でもなお最優先課題である。また、今後の回復ペースが遅れれば、信用リスクが顕在化し、金融システム面のリスクに繋がり得るため、十分注意する必要がある。
  • 10年物国債金利はゼロ%程度を維持しつつ、イールドカーブの超長期の部分が緩やかなペースでスティープ化することは、金融機関の運用収益の確保に繋がり、金融緩和の長期化と金融システムの安定の両立の観点からも望ましい。
  • ETFやJ-REITについては、当面積極的な買入れを維持する必要があるが、金融緩和の長期化が展望される中、資産価格のプレミアムへの働きかけが真に必要なタイミングでの買入れが困難にならないように、政策の持続力を高める工夫の余地を探るべきである。
  • 感染症の影響が長引くとみられる中、企業の資金繰りをしっかり支えることは有益である一方、危機対応が長期化するほど持続的な成長に向けた構造改革を遅らせるといった可能性には留意すべきである。
  • 今後、仮に感染が再拡大し経済が下押しされると、物価上昇率がマイナス圏で推移する期間が長期化し、デフレが定着する可能性があるため、金融政策運営上、注意を要する。
  • 感染症の抑制と経済活動の両立といった、ウィズ・コロナの視点から、2%の「物価安定の目標」の実現に向けた政策対応について議論を整理していく必要がある。
  • 企業による付加価値の創出に向けた取組みを支援するため、より多くの成長投資資金が企業に流れる仕組みの整備を支援することが重要である。

3.政府の意見

財務省

  • 9月末に、令和3年度の概算要求が締め切られた。「新経済・財政再生計画」のもと、これまでの歳出改革の取組みを続け、質の高い予算を作り上げていく。
  • 先般のG20では、必要とされる間は、すべての利用可能な政策手段を引き続き用いること等を改めて確認した。
  • 政府としては、新型感染症対応とともに、デフレ脱却と持続的な経済成長を実現すべく、各種政策を推進する。日本銀行には、必要な措置を適切に講じることを期待する。

内閣府

  • わが国景気は持ち直しの動きが見られるが、欧米などの感染症の状況や経済への影響に注視が必要である。
  • 政府としては、雇用の確保、事業の継続に万全を期すとともに、経済財政諮問会議を司令塔として、デジタル化等の改革の基本的方向性と重点課題を議論し、改革を具体化していく。
  • 日本銀行においては、事態の推移を注視し、引き続き適切な金融政策運営を行っていただきたい。

以上


  1. 「金融政策決定会合における主な意見」は、(1)各政策委員および政府出席者が、金融政策決定会合で表明した意見について、発言者自身で一定の文字数以内に要約し、議長である総裁に提出する、(2)議長はこれを自身の責任において項目ごとに編集する、というプロセスで作成したものである。 本文に戻る