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マクロ・ストレス・テストのシナリオ設定について

2015年10月26日
日本銀行金融機構局

要旨

マクロ・ストレス・テストは、金融システムと実体経済が相互に影響を及ぼし合う関係をモデル化し、経済や金融資本市場に生じた負のショックが、どの程度金融システムの安定性に影響するかを分析するツールである。テストに際しては、現在の金融システムにとって脅威となるストレス状況をどのように想定するか、すなわち、ストレス・シナリオをどう設定するかが重要なポイントとなる。

日本銀行は、『金融システムレポート』において、ストレス・テストの内容を公表してきた。これまでのレポートでは、毎回異なるストレス・シナリオを設定してきたが、2015年10月号のレポートから、「テールイベント・シナリオ」と「特定イベント・シナリオ」の2つを設定するよう変更した。「テールイベント・シナリオ」では、毎回リーマン・ショック時並みの非常に厳しい金融経済情勢を想定し、金融システムの安定性を定点観測的に評価する。毎回同じシナリオであっても、その時々の金融機関のリスク・プロファイルや財務基盤の状況、金融経済情勢などによって、金融システムへの影響度は異なり得る。一方、「特定イベント・シナリオ」は、毎回異なるシナリオのもとで、特定の事象に対する金融システムの脆弱性を点検するために設定するものであり、必要に応じモデルや使用データを拡張することによって、リスク波及のメカニズムを新たな視点から評価することができる。

本稿では、これらシナリオの枠組みや設定の考え方を解説したうえで、2015年10月号の『金融システムレポート』のストレス・シナリオについて、その詳細を説明する。

なお、各金融機関が行うストレス・テストの参考となるよう、日本銀行のストレス・シナリオにおける主要経済指標については、日本銀行のホームページからダウンロードできるようにした。

日本銀行から

本レポートの内容について、商用目的で転載・複製を行う場合は、予め日本銀行金融機構局までご相談ください。転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。

照会先

金融機構局金融システム調査課

E-mail : post.bsd1@boj.or.jp