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全国11支店金融経済概況 (1999年 4月)

1999年 4月19日
日本銀行

目次

北海道地区金融経済概況

1999年 4月19日
日本銀行札幌支店

北海道地区の景気は、全体としては依然底這い状態にあるものの、公共投資の増加等各種政策支援の効果から企業のマインドは改善の方向にある。最終需要面では、公共投資が一段と増加しているほか、住宅販売にも動意が窺われているものの、個人消費や設備投資等民需は依然低迷している。こうした中で、生産は月々の振れを伴いつつも、総じてみれば下げ止まってきているが、雇用・所得環境は企業収益の悪化を背景に厳しい状態が続いている。

最終需要面の動きをみると、公共投資については、補正予算等による発注増から、公共工事請負額が前年を大幅に上回って推移しており、関連資材メーカーでも受注の増加から高操業が続いている。

住宅投資も、減税や低水準の公庫金利を眺め、足許の持家着工が前年を上回っているほか、分譲マンションの販売も好調に推移している。

個人消費は、パソコンや軽乗用車の販売を除けば、消費者の生活防衛意識の高まりを映じた抑制的な購買スタンスや、低温等天候不順もあって、大型小売店、耐久消費財ともに販売は低迷している。なお、この間、北海道を訪れる観光客数は冬場観光が好調に推移したことから前年を上回って推移している。

設備投資は、業績悪化を背景に、製造業、非製造業ともに投資姿勢が一段と消極的になっており、減少が続いている。

企業の生産をみると、高炉(自動車向け特殊鋼)、紙・パ、製缶、食料品(水産加工、ビール等)、鋳鍛鋼製品・機械関連では、個人消費や設備投資の低迷が響き低水準の生産を余儀なくされているが、建設資材関連で公共工事向け出荷増から、電子部品で携帯電話向け受注増から、それぞれ生産水準を引き上げているなど、全体としてみれば、月々の振れを伴いつつも、下げ止まってきている。

雇用情勢は、有効求人倍率が引続き低水準に止まっているなど、依然厳しい状態が続いている。

企業金融については、信用保証制度の拡充等により、総じて落ち着いた動きを示しており、倒産も減少傾向にある。

金融面をみると、貸出は、地方公共団体向け貸出が引続き高い伸びを示しているものの、企業からの前向きな資金需要が引続き低迷していることから、全体としてみれば依然低水準で推移している。一方、預金は、個人預金が堅調に推移しているほか、法人預金についても公共工事関連資金の流入等がみられており、底固く推移している。

以上

東北地区金融経済概況

1999年 4月19日
日本銀行仙台支店

東北地区の景気動向は、公共投資の増加や住宅および一部耐久消費財の販売好調を背景に、企業の生産活動に下げ止まり感が窺われ始めているほか、企業マインドの悪化にも歯止めがかかっており、底を探る動きが徐々に広まっている。

この間、設備投資が減少を続けているほか、個人消費も総じてみれば回復感に乏しい状況にある。また、雇用情勢は依然厳しく、企業倒産も引き続き高水準で推移している。

最終需要のうち、個人消費は、百貨店売上高が、一部で催事や割引セールの効果はみられるものの、主力の衣料品が春物を中心に動きが鈍く、全体としては低調の域を脱していない。家電販売は、パソコンやデジタル製品(ビデオカメラ、MDプレーヤー)が堅調なほか、省エネタイプの一部新製品(洗濯機、冷蔵庫)の動きもまずまずながら、その他既存製品は依然不振が続いている。乗用車販売は、軽自動車が好調を持続しているほかは、新型車投入効果も限定的に終わり、低調に推移している。

公共投資は、公共工事請負金額が大幅な伸びを示しており、関連業界への波及もさらに広がっている。

住宅投資は、住宅着工戸数が持家、貸家とも低水準にあるが、住宅販売は、政府の税制・資金調達面での特別措置等を背景に好調に推移しており、今後の住宅着工に期待する向きが多い。

この間、11年度の設備投資計画(企業短期経済観測調査<東北地区>)は、一部で最先端設備構築やグループ再編に伴う生産ライン増設の動きがみられるものの、大方の業種では引き続き抑制スタンスを崩しておらず、全産業では前年度を下回る計画となっている。

主要製造業の受注・生産動向をみると、電気機械では、パソコン販売の好調から、同完成品やメモリーIC、液晶が高操業を続けているほか、ロジックIC、コンデンサも生産水準を引き上げている。また、その他の品目(OA・AV機器、各種電子部品)では、減産を継続中ながら、受注面をみると徐々に下げ止まり感が窺われ始めている。

輸送用機械では、トラック部品が低操業を続けているものの、乗用車関連では、モデルチェンジ効果に加え、他地域からの生産シフトの影響もあって、高操業を持続ないし生産水準を引き上げる先がみられる。

消費関連業種では、カメラが生産水準を引き上げているが、衣料品が大幅な減産を継続しているほか、時計はフレッシャーズ向け受注の不振から生産水準を引き下げている。食品では、冷凍・レトルト、缶詰が抑制操業を続けているほか、練製品はスポット受注の剥落から再び生産水準を引き下げている。一方、紙・パでは、段ボール原紙が減産を継続しているものの、印刷・新聞用紙は在庫調整の進展などから減産を幾分緩和している。

設備関連業種(鋳物、切削工具、工作機械、工場ラインシステム、半導体製造装置)では、国内自動車・家電・半導体メーカーの設備投資抑制の影響から、幅広い品目で減産を継続している。

建設関連業種(窯業・土石、鉄鋼、合板、一般製材)では、公共投資関連向けの増加に加え、住宅向け受注が持ち直し傾向にあることから、合板、セメント、一般製材では生産水準を引き上げている。

11年度の売上・収益動向をみると、製造業、非製造業とも、下期以降の公共投資の息切れを懸念する向きがみられるものの、住宅投資や個人消費の回復期待に加え、リストラ策の効果を見込んで、増収・増益の見通しにある。

雇用情勢については、建設および住宅関連の一部に求人を増やす動きがみられるものの、その他業種では引き続き雇用過剰感が根強く、事業主都合による離職者数も高水準にあることから、有効求人倍率は低水準にある。所定外労働時間も減少を続けている。

企業倒産をみると、中小企業金融安定化特別保証制度の利用浸透によりこのところ増加には歯止めがかかっているが、件数、金額ともなお高水準で推移している。

金融面では、預金は公金が引き続き前年を下回っているが、個人、法人はやや増加している。一方、貸出は法人向け需資の低迷から、引き続き低調に推移している。

以上

北陸地区金融経済概況

1999年 4月19日
日本銀行金沢支店

北陸地区の景気は、公共投資が増加しているほか住宅投資も悪化テンポが和らぐなど、下げ止まり感が窺われ始めている。もっとも先行き、設備投資の一段の減少や雇用・所得環境の更なる悪化も懸念され、自律的回復が展望しにくい状況が続いている。

最終需要面の動きをみると、公共投資は、公共工事請負額が経済対策効果により増勢傾向を続けており、今後も底固く推移すると見込まれる。また、住宅投資についても、工事ベースではなお低水準ながら住宅公庫融資の申し込み戸数が持家を中心に増加するなど、持ち直しの兆しが窺われる。

一方、設備投資は、国内需要の低迷や東アジア諸国の経済調整長期化などを映じて、製造業を中心に投資抑制スタンスを強めており、11年度の設備投資計画(企業短期経済観測調査、11年3月)は前年度比△21%と3年連続で前年度を下回る計画。

個人消費は、パソコンや軽乗用車等一部耐久消費財の販売が堅調に推移しているものの、百貨店や量販店の売上げが前年を下回っているほか、家電販売が低調裡に推移している。また、温泉旅館等の観光面でも個人・グループ客や団体・法人等での低迷に変化は窺われないなど、総じてみれば低迷基調が続いている。

この間輸出は、欧州向けが携帯電話用部材等で堅調に推移しているが、アジア向けが合繊織物で依然前年割れとなっているほか、米国向けが工作機械を中心にこのところ減速傾向にあることから、全体では横這いとなっている。

こうした最終需要動向を映じて、生産は、電子部品(携帯電話用、パソコン関連部材)が堅調に推移しているほか、窯業・土石、アルミ建材といった公共工事、住宅投資関連業種でも減産幅が縮小するなど、低水準ながらもこのところ下げ止まりつつある。

雇用面をみると、新規求人数の減少テンポが鈍化してきているものの、有効求人倍率(含むパート)は低水準で推移している。また、雇用者所得も、生産の減少などを映じて所定外労働時間が前年割れで推移する中、所定外給与を中心に低迷が続いている。

金融面をみると、預金は、個人預金では、流動性預金が堅調な伸びを維持しているほか、定期性預金も伸びを高めており、全般に底堅く推移している。一方、法人預金は、企業業績の低迷等を背景に低調な地合いが続いている。

貸出は、個人向けが消費者ローンの低迷や住宅ローンの伸び率鈍化から、引き続き低調裡に推移している。また、法人向けも、保証協会保証付貸出は増加傾向にあるものの、設備資金需要が低調地合いを強めていることから、全体では低迷基調が続いている。

この間、貸出約定平均金利(ストック)は、既往最低圏の中で推移している。

以上

神奈川県内金融経済概況

1999年 4月19日
日本銀行横浜支店

神奈川県経済は、一部に改善の動きがみられるものの、全体としては引き続き厳しい状況にある。すなわち、住宅投資が幾分持ち直してきたほか、公共投資関連にも僅かに動きがみられる。しかし、個人消費は一部に動意があるとはいえ、個人所得の落込みもあって停滞基調を脱していないほか、設備投資や輸出も減少が続いている。こうした状況下、県内企業の生産は、最終需要の弱さを反映して、多くの業種でなお減産を続けている。このため、企業収益は悪化を続け、企業の景況感も底這い状況にあり、企業の雇用過剰感が一段と強まってきている。また、ここへきて大企業を中心に生産設備集約化へ向けた動きが散見され、供給力削減の観点から注目される。

最終需要の動向をやや詳しくみると、まず個人消費については、乗用車販売が軽乗用車の売上こそ好調ながら、全体としていえばなお前年割れを続けているほか、百貨店売上高も衣料品を中心に前年を下回る状況にある。また、家電販売もパソコン等一部に動意はみられるが、大方の商品の販売は低調の域を脱していない。この間、レジャー関連では、国内・海外旅行ともに低調に推移している。

設備投資を3月に実施した企業短期経済観測調査(神奈川県分)でみると、県内企業の98年度設備投資(実績見込み)は、製造業、非製造業ともに前回(12月)調査に比べさらに下方修正され、製造業では2年連続、非製造業では2年振りの減少が見込まれている。99年度についても、製造業、非製造業ともに前年を下回る抑制的な計画となっている。

住宅投資は、最近の分譲マンションの販売好調等から幾分持ち直しつつある。また、公共投資についても、政府の経済対策の効果等から、国発注分を中心に幾分持ち直している。

輸出面では、半導体部品を中心とした電気機械や自動車部品等で引続き減少したことから、横浜港通関輸出額は減少を続けている。輸入についても、原油や非鉄金属等の素材商品の減少から、前年を大きく下回る状況が続いている。

県内企業の生産動向をみると、多くの業種で減産が続いている。すなわち、自動車・同部品では、国内販売の落込みが響き減産を継続しているほか、工作機械も、内外需の減少から生産水準を低下させている。汎用電子部品については、家電メーカーの在庫調整進捗から一部部品で受注回復の兆しがあるものの、自動車、工作機械の生産水準引き下げの影響もあって減産している。また、鉄鋼、化学といった素材業種でも、加工業種からの需要が弱いことから、減産を続けている。

雇用面をみると、製造業、非製造業ともに雇用の過剰感は一段と強まり、県内常用雇用者数は前年割れを続けるなど、労働需給は引続き緩和した状態にある。この間、名目賃金についても、前年割れが続いている。

金融面をみると、貸出面では、信用保証制度の拡充に伴い、各金融機関とも中小企業向け融資に前向きに取組んでいるが、このところ企業からの申し込みに一服感が出てきたうえ、全般的な資金需要自体が低迷していることもあって、伸び率は横這いで推移している。預金面では、法人預金が伸び悩んでいるものの、個人預金がまずまずの推移を辿っており、預金全体の伸び率は横這い圏内で推移している。この間、企業倒産件数は、上記信用保証制度拡充の効果もあって、昨年12月より前年を下回っている。

以上

東海地区金融経済概況

1999年 4月19日
日本銀行名古屋支店

東海地区4県(愛知、岐阜、三重、静岡)の最近の経済動向をみると、個人消費は、一部に新製品投入効果もみられるが、総じてみれば低迷が続いている。設備投資も減少している。一方、公共投資は、経済対策の効果から増勢を強めているほか、住宅投資についても、住宅公庫金利の低位抑制等を受けて下げ止まりつつある。この間、輸出は、高水準を維持しているが、足許では弱含んでいる。

こうした需要動向の下で、生産は、減少テンポがやや鈍化している。一方、雇用面では、労働需給は引き続き緩和しており、常用雇用者数も減少を続けている。この間、物価は軟調に推移している。以上のように、東海地区の景気は、依然として国内民間需要が弱いこと等から、全体としては悪化を続けているが、悪化のテンポは、政策効果や新製品投入効果が一部にみられることから、このところは幾分緩和している。

個人消費は、一部に新製品投入効果もみられるが、総じてみれば低迷が続いている。すなわち、耐久消費財支出をみると、家電量販店の売上げは、パソコン関連製品等の売れ行き好調から、引き続き前年を上回っている。一方、乗用車販売については、新型車は堅調を持続しているものの、既存モデル車の不振から、全体としては低迷している。また、非耐久消費財支出については、全般に販売不振が続いており、衣料品や生活雑貨等では一段と落ち込みが拡大する動きもみられている。さらに、サービス支出については、旅行取扱高が減少しているほか、レジャー施設の入場者数や外食の売上げも総じてみると低調裡に推移している。

設備投資は、減少している。すなわち、製造業では、中堅・中小企業が、収益の悪化や先行きの需要に対する不透明感等を背景に、抑制的な投資姿勢を維持している。また、自動車関連等の大企業でも、需要の先行きについての慎重な見方等から投資額が減少している。この間、非製造業では、電力が投資抑制スタンスを強めている。

住宅投資の動向をみると、新規住宅着工については、住宅公庫金利の低下を受け、低水準ながら徐々に前年比減少幅を縮小してきているほか、住宅販売についても、住宅公庫金利の低位抑制や住宅減税の拡充といった政策効果等を背景に足許持ち直し傾向にある。こうした中で、工事量は下げ止まりつつある。

公共投資については、公共工事請負額が、政府の経済対策に伴う発注の本格化から、このところ大幅に増加しており、官庁関連の工事量も高い伸びを示している。

輸出は、主力の米国向けは、伸び悩んでいるが、自動車主体に高水準を持続している。一方、欧州向けの増勢がやや鈍化しているほか、アジア向けの一部などでもこのところ落ち込み傾向がみられる。この結果、全体としてみれば、なお高水準を持続しているが足許では弱含んでいる。

こうした需要動向の下で、生産は、減少テンポがやや鈍化している。すなわち、加工業種では、自動車が、新型車投入効果や在庫調整の進捗等から減少テンポが緩やかになってきているほか、二輪車も高操業を持続している。また、ICパッケージやビデオカメラも増産を続けている。一方、工作機械は、国内外からの受注減少を背景に、減産を進めているほか、事務機器も米国向けを中心に輸出が弱含みに転じているため、高操業を幾分緩和している。素材業種では、普通鋼・鋼板類や特殊鋼が、主力の自動車向け、産業機械向け等を中心とする内需低迷を映じて、一時帰休を伴う減産を継続している。また、窯業製品、繊維製品も、個人消費等の低迷や在庫調整のため、生産を抑制している。

雇用面では、労働需給は、テンポはやや鈍化しているものの生産が減少していることから、引き続き緩和している。すなわち、有効求人倍率が低下したほか、新規求人数や常用雇用者数も減少を続けている。この間、所定外労働時間も多くの業種で前年を大きく下回っている。

物価面では、主要商品市況は、国内最終需要の低迷を背景に、総じて軟調に推移している。この間、消費者物価も、前年水準を下回っている。

金融面をみると、昨年10月以降信用保証協会保証制度が拡充されたことを受けた中小企業向け保証付貸出の伸びは一巡しつつあるが、同貸出が企業の資金繰りを緩和する効果が持続しているほか、本行の金融措置の効果等もあって、年度末を含め、企業金融の逼迫感の高まりはみられていない。もっとも、金融機関の貸出は、資金需要の低迷を背景に、各県毎に差はあるが、全体としては伸び悩んでいる。

この間、管内金融機関は、地元中堅・中小企業向けを中心に、基本的には貸出を伸ばしていく姿勢にあるほか、出先金融機関でも当地における貸出姿勢を積極化させる動きがみられるが、一方で各金融機関とも、信用リスク管理や取引採算管理を強化していく方針にあるため、企業収益の悪化が続く中で、先行きの企業金融の動向については引き続き十分注意してみていく必要がある。

以上

京都管内(京都府、滋賀県)金融経済概況

1999年 4月19日
日本銀行京都支店

最近の管内景気をみると、次第に下げ止まりつつあるが、企業マインドは依然慎重なものに止まっている。

すなわち、最終需要面をみると、公共投資については、経済対策の効果から、引続き増勢を示している。一方、設備投資は調整色が一段と強まっている。個人消費は、一部新製品等に改善の動きがみられるが、全体としてなお低調な動きに止まっている。また、住宅投資は総じて低調に推移しているほか、輸出も引続き頭打ちとなっている。このような最終需要の動向を背景に、在庫の減少等から、生産は下げ止まりつつあるが、総じて在庫過剰感はなお根強く、大幅な減産を継続する先が多い。

以上のような支出・生産活動の下、企業収益は足許引続き悪化傾向を辿っている。また、雇用・所得環境も厳しい状況が続いている。

最終需要の動きをやや詳しくみると、公共投資については、公共工事請負金額が経済対策に伴う補正予算の発注進捗等から、増勢傾向を強めているほか、一部関連業種では波及効果が徐々に窺われつつある。

一方、設備投資については、昨秋頃まで高水準を維持してきた製造業大企業でも、設備過剰感が根強い中、足許の企業収益が下振れしていることや、先行き不透明感が依然強いこと等から、減少傾向が一段と明確化している。また、非製造業、製造業中小企業でも、収益の悪化が続いているほか、資金調達面の制約も、幾分緩和しているとはいえ、引続き底流しているため、依然低迷している。

個人消費については、百貨店売上げが衣料品を中心に低調に推移しているほか、自動車販売(新車登録台数<除く軽自動車>)も引続き低迷している。また、家電販売も一部新商品では堅調な売れ行きを示しているが、全般的には低調な販売が続いている。この間、京都観光についても入り込み客の減少が続いており、総じて低調に推移している。

住宅投資については、新設住宅着工戸数が基調としては前年を下回っているなど、低水準に止まっている。なお、このところマンション販売は好調裡に推移している。

輸出については、欧米向けは、パソコン・移動体通信機器用の電子部品や計測機器等を中心に引続き堅調に推移しているが、このところ一部に減速の動きがみられるほか、アジア向けが低迷を続けているため、全体としては頭打ちとなっている。

生産面をみると、在庫の減少等から、企業の生産は下げ止まりつつあるが、総じて在庫過剰感はなお根強いことから、大幅な減産を継続する先が多い。業種別にみると、電子部品は欧米向け輸出の堅調持続から高操業を継続している。一方、一般機械等は設備投資やアジア向け輸出の低迷等から、大幅な減産を続けている。この間、地場産業の和装関連でも、一部商品の悪化傾向に歯止めがかかりつつあるが、大方の先では、引続き大幅減産を余儀なくされている。

企業収益をみると、最終需要の低迷や製品価格の軟調等を背景に、総じて引続き悪化傾向を辿っている。この間、中堅・中小企業に加え、このところ大企業でもリストラに踏み切る先が次第に増えている。

こうした状況の下で、雇用・所得面をみると、有効求人倍率は引続き低水準にあるほか、所定外労働時間も依然前年を大幅に下回っている。また、雇用調整助成金の申請件数も引続き高水準にあり、雇用情勢は厳しい状況が続いている。この間、企業倒産は、中小企業金融安定化特別保証制度等の効果により、このところ減少している。

金融面をみると、民間金融機関貸出については、住宅関連需資が引続き底固く推移しているものの、保証協会による中小企業金融安定化特別保証制度の利用による貸出の増勢はやや鈍化しており、一般企業需資も依然として不振を託っていることから、全体としては総じて 低迷を続けている。

一方、預金については、個人預金は流動性預金を中心に底固く推移しているほか、これまで企業の業績低迷を背景に低調裡に推移していた法人預金も、保証制度融資の実行に伴う資金滞留がみられたことから、ここへきて若干持ち直している。

以上

大阪管内(大阪府、奈良県、和歌山県)金融経済概況

1999年 4月19日
日本銀行大阪支店

管内の経済情勢をみると、生産が下げ止まるなど、いくつか明るい材料はみられるが、全体として依然厳しい状況にある。

すなわち、最終需要面では、公共投資が増加しており、住宅投資も若干持ち直している。個人消費も、全体として低迷しているが、一部に売れ行き良好な商品がみられている。一方、設備投資は引き続き減少している。この間、輸出は横這い圏内にある。こうした最終需要動向の下、生産は下げ止まっており、また、企業金融の逼迫感も和らいでいる。ただ、企業収益は引き続き全般に悪化しており、その下で雇用・所得環境も悪化を続けている。

最終需要面の動きをみると、輸出は、欧州向けが引き続き堅調を維持しているものの、東南アジア向けが横這い圏内の動きとなっているほか、米国向けも設備関連財(鋼材、工作機械等)を中心に弱含んでいること等から、全体としては横這いとなっている。

設備投資は、収益の悪化や設備過剰感から、投資姿勢が一段と消極化しており、減少が続いている。

個人消費は、高額品販売が依然減少しているなど、全体としては低迷しているが、一部商品(パソコン、AV機器)の売れ行きは良好であるほか、乗用車販売についても足許下げ止まり感が窺える。

住宅投資は、持ち家の受注、分譲マンションの販売が回復しており、これに伴い着工も若干持ち直している。

公共投資は、増加している。

生産をみると、薄板、条鋼、工作機械等、設備投資関連の品目では、引き続き減少しているものの、公共投資関連品目(塩ビ管、電線・特殊線)や個人消費関連の一部(パソコン、AV機器等)が増加しており、全体としては下げ止まっている。

雇用・所得環境をみると、有効求人倍率が依然極めて低い水準にあるほか、所定外労働時間も減少するなど、引き続き悪化している。

物価は、軟調に推移している。

企業金融については、信用保証制度の拡充等、各種対策の効果により、逼迫感は和らいでいる。こうした中、企業倒産は減少している。

金融面をみると、貸出については、景気悪化に伴う企業需資の落ち込みや住宅ローンの増勢鈍化から、低調な地合が続いている。金融機関の貸出態度は、総じてみれば依然慎重であるが、金融機関の資金繰り面や自己資本面からの制約が緩和されるなか、中小企業向け貸出を積極化する動きもみられる。

預金については、個人預金、法人預金ともこのところ総じて堅調に推移している。

以上

兵庫県内金融経済概況

1999年 4月19日
日本銀行神戸支店

県内景気をみると、経済対策の効果から公共投資こそ増加しているものの、個人消費、設備投資など民間需要は引続き低調に推移している。こうしたなか、企業の売上・収益は大幅に下振れており、企業マインドにも捗々しい改善はみられておらず、景気は大底圏内で推移している。

個人消費をみると、3月から県内各地で地域振興券の利用が始まったものの、消費者の慎重な購買姿勢に変化はみられず、全体として低迷が続いている。すなわち、百貨店、スーパーの売上が前年割れを続けているほか、家電販売も、パソコン以外の製品は減速傾向を辿っている。また、乗用車販売も小型車を中心に軽乗用車へ需要がシフトしており、総じて不振を続けている。なお、開通後1年を経過した明石海峡大橋は、車輌通行量こそ当初予想を下回っているが、近隣のホテル・観光施設等の入込み状況は比較的堅調に推移している。

住宅投資は、住宅減税の効果等から、持家を中心に新設住宅着工が回復傾向をみせているほか、分譲マンションの販売も好調に推移している。また、公共投資も、経済対策の効果が本格化してきており、2月以降、請負額が大幅に増加している。

設備投資は、企業業績の下振れや設備過剰感が払拭されないこともあって、製造業、非製造業とも抑制スタンスで臨んでおり、11年度は10年度を大きく下回る計画となっている。

こうした状況下、県内企業の生産は、建設機械が経済対策の効果や在庫調整の進捗から操業度の低下に歯止めが掛りつつあるものの、大方は設備投資関連を中心に生産調整を継続している。すなわち、鉄鋼が建築向けを中心とした内需の不振や米国向け輸出の減少、市況回復を企図した在庫調整等から大幅減産を続けているほか、物流機器(コンベア)、射出成形機、環境装置は、設備投資抑制の影響から操業度が低下しており、自動車部品、電子部品(コンデンサー、水晶振動子)も、セットメーカーの減産やアジア向け輸出の不振等から低水準の操業を継続している。また、これまで高操業を続けてきた造船でも、新規受注の不振から先行き繁忙度の低下が懸念されている。地場産業では、ケミカルシューズは春夏物の受注が比較的堅調に推移しているが、清酒、播州織、豊岡鞄は個人消費の低迷、法人の経費節減姿勢を映じて軒並み前年を下回る生産となっている。

雇用面では、有効求人倍率が既往最低レベルで推移しているほか、企業のリストラ姿勢の強化から一時帰休、希望退職を実施する先が増えてきており、雇用状況は悪化傾向を辿っている。

この間、消費者物価(前年比)は、一時高騰していた生鮮野菜が落ち着きをみせているため、弱含みとなっている。

金融面をみると、貸出は、依然として前向きな資金需要が乏しいほか、中小企業向けの「貸し渋り対応特別保証制度」による融資実行も、昨年末をピークに一巡していることから、全体として伸び悩んでいる。一方、預金をみると、個人預金が慎重な消費姿勢を映じて引続き堅調に推移しているほか、法人預金も「特別保証制度」の実行に伴う資金の一時的な滞留により、3ヵ月連続して前年を上回っている。

金融機関の付利姿勢をみると、採算性重視や企業の業績悪化を踏まえ、貸出先の信用リスクに応じた付利に乗り出す先が増えている。

企業倒産は、「特別保証制度」の実行効果により、このところ件数、負債額とも前年を大幅に下回るなど、落ち着いた動きを示していたが、期末にかけては、一部大口倒産の発生も散見された。

以上

中国地区金融経済概況

1999年 4月19日
日本銀行広島支店

中国地区の経済情勢をみると、輸出、設備投資が減少を続け、個人消費も低迷の域を脱していない。もっとも、公共投資が増加し、住宅投資も一部に下げ止まりの兆しがうかがわれる。こうした最終需要の動向を背景に、生産は横這い圏内の動きとなっており、企業マインドの悪化にも歯止めがかかるなど、景気は下げ止まりの様相を呈している。

最終需要の動向をみると、個人消費は、一部に好材料がみられるものの、全体としては低迷の域を脱していない。新規格の軽自動車販売が好調を持続しているほか、家電販売が新製品投入効果等から堅調に推移している。一方、百貨店、スーパー売上高は、前年割れが続いている。

設備投資を中国地区の企業短期経済観測調査結果(11年3月)からみると、10年度実績見込みは、前年比−15.7%となっており、前回調査(10年12月)と比べても下方修正されている。また、11年度計画も、同−8.1%となっており、企業の設備投資は減少を続けている。

住宅投資について新設住宅着工戸数をみると、依然として前年水準を下回って推移しているものの、マイナス幅は縮小傾向にあるほか持家が増加に転じるなど、一部に下げ止まりの兆しがうかがわれる。

公共投資について公共工事請負額をみると、緊急経済対策に基づく補正予算の執行本格化を受けて、増加している。

輸出については、アジア向けが低迷を続けているほか、欧米向けにも陰りがみられており、全体では前年水準を下回って推移している。

こうした最終需要のもと、生産は、総じてみると、横這い圏内の動きとなっている。主要企業の生産動向をみると、造船、弱電部品(半導体、液晶表示装置等)、情報家電(MD、FAX、携帯電話、パソコン)では高水準の生産を続けている。また、石油化学が生産水準を引き上げているほか、低調ながら木材木製品でも一部で生産水準を引き上げる動きがみられている。もっとも、一般機械、鉄鋼が一段と生産水準を引き下げており、自動車も全体としてはやや弱含んでいる。さらに、縫製をはじめとする多くの業種では低水準の生産を続けている。

雇用面をみると、有効求人倍率が横這い圏内で推移しているほか、常用雇用者数が前年比マイナスを続けるなど、雇用環境は厳しい状況が続いている。

この間、企業収益を中国地区の企業短期経済観測調査結果(11年3月)からみると、10年度実績見込みは、前年比−7.1%となっており、前回調査(10年12月)と比べても下方修正されている。一方、11年度計画については、同+19.8%となっている。

企業マインドを中国地区の企業短期経済観測調査結果(11年3月)の業況判断D.I.からみると、足許、先行きともに改善しており、企業マインドの悪化に漸く歯止めがかかっている(業況判断D.I.<「良い」−「悪い」>10年12月△48%→11年3月△42%→6月予測△39%)。

金融面をみると、貸出は低迷を続けている。内訳をみると、個人向けが住宅ローンの借換え等を中心に堅調に推移する一方、企業向けは設備・運転資金ともに低調に推移している。

預金は、法人預金が低迷しているものの、個人預金は堅調に推移しており、全体では幾分伸びを高めている。

以上

四国地区金融経済概況

1999年 4月19日
日本銀行高松支店
日本銀行松山支店
日本銀行高知支店

四国地区の景気は、これまでの悪化傾向に取り敢えずのところ歯止めがかかりつつある。すなわち、個人消費が総じて低調に推移しているほか、企業の設備投資や生産活動も依然低水準にあり、これが雇用・所得面に悪影響を及ぼしている。しかしながら、増加基調にある公共投資が最終需要を下支えする中で、このところ住宅投資も持ち直しの兆しをみせており、このような状況を受けて関連資材等の業種の一部では生産水準引上げの動きもみられている。こうした中、3月短観調査では11年度事業計画において増収、増益を見込む先が増加しているものの、企業マインドは引き続き慎重であり、雇用や設備面での調整を見込む先が多い。

需要動向

最終需要の動向をみると、個人消費は、パソコンや軽自動車が引き続き堅調に推移しているものの、百貨店売上げ、普通車販売等は低調な地合いが続くなど全体としてみれば回復感に乏しく、消費者マインドは依然として慎重なものとなっている。

公共投資は、総合経済対策等に伴う発注の増加や高速道路網の整備といった大型案件の継続に伴い、引き続き高水準となっている。また、低迷を続けてきた住宅投資も金利底値感や住宅ローン控除制度の拡充等を背景として、新設住宅着工戸数が久方振りに前年を上回るなど持ち直しの兆しを示している。

設備投資は、研究開発投資や合理化・省力化投資が一部にみられるものの、景気の先行きや経営環境の不透明感等から慎重な投資スタンスが広範化しており、製造業、非製造業とも依然減少を続けている。

生産

企業の生産活動をみると、電気機械(映像機器、情報機器向けメモリー、液晶表示装置等)、造船(外航船)、化学(無機化学)が引き続き高水準の操業を継続している。また、公共工事の増加に伴い、窯業・土石(土木・公園用資材)や鉄骨加工(橋梁関連)の一部で生産水準を引上げているほか、住宅投資の関連資材(アルミサッシ、木材・木製品)にも動意がみられはじめている。しかしながら、繊維(タオル、縫製品)はギフト需要や季節物衣料の受注低迷から総じて低操業を余儀なくされているほか、一般機械(産業運搬機械、建機、木工用プレス、農機具等)や紙・パ(家庭紙・印刷用紙等)では、東南アジア向け輸出や国内需要の低迷等を背景に、生産調整の継続ないしは減産強化を図る先がみられるなど生産活動全体としては、依然低調に推移している。

雇用

雇用情勢をみると、建設業等の一部に採用を活発化させる動きがみられるものの、低調な企業の生産活動等を背景として、製造業を中心に人員過剰感が根強く、人員整理に踏切る動きもみられるなど依然厳しい状況が続いており、有効求人倍率も低水準で推移している。

金融

金融面をみると、預金は法人預金、個人預金とも流動性を中心にまずまずの伸びを持続している。一方、貸出は企業向け設備・運転資金ともに資金需要が低調なことから、伸び率は低下してきている。

以上

九州地区金融経済概況

1999年 4月19日
日本銀行福岡支店

九州経済をみると、全般には厳しい状態が続いているが、このところ下げ止まり感が広がっている。

すなわち、企業収益や雇用・所得環境の悪化等から設備投資・個人消費などの民間需要が低調なほか、輸出も減少を続けているものの、経済対策の効果等から公共投資関連需要や住宅受注の増加、企業倒産の減少、生産の下げ止まり等明るい材料が増えており、こうした中で、企業の景況感は厳しさが和らいでいる。

最終需要の動向をみると、公共投資は、補正予算の執行本格化から増加を続けており、セメント、合板、棒鋼等の官公庁向け出荷が増加している。

住宅投資は、政府の住宅減税策や金利底値観を背景にハウスメーカーの受注、マンション販売等が増加している。また、新設着工も持家を中心に持ち直しつつある。

個人消費は、パソコン、一部小型乗用車等には改善の動きもみられるが、雇用・所得環境の悪化等を背景に百貨店、量販店売上げは依然低調となっているなど、全体としては回復感に乏しい展開となっている。

企業の設備投資は、企業業績の悪化や根強い設備過剰感等を背景に大幅な減少を続けている。

輸出は、自動車がモデルチェンジ効果から米国向けを中心に持ち直しているものの、電気機械、鉄鋼がアジア、米国向けを中心に減少しており、前年を下回って推移している。

こうした中、企業の生産動向をみると、内外需要の減少を背景に、鉄鋼、化学、情報関連機器等が低操業を継続しているほか、一般機械はここにきて一段と生産水準を引き下げているが、在庫調整が進捗している中で、公共工事の発注増加や新製品対応から、建設資材やIC、電子部品で生産水準を引き上げていること等を反映して、全体として生産は下げ止まってきている。

雇用面をみると、有効求人倍率が低水準で推移しているほか、完全失業率や雇用者所得も一段と悪化しており、厳しい状況が続いている。

企業倒産をみると、倒産件数は中小企業金融安定化特別保証の効果により、前年を大幅に下回って推移している。

金融面の動きをみると、銀行預金は、個人預金が幾分増加しているものの、法人預金が企業の手元資金取り崩し等により低迷していることから、全体では小幅の伸びに止まっている。一方、銀行貸出は、特別保証制度を利用した地場中小企業向け貸出の実行が落ち着いてきていることや、設備資金等前向きの資金需要が引き続き低迷していることから、全体としては低調に推移している。

以上