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地域経済報告―さくらレポート―(別冊シリーズ)* 感染症のもとでの地域の消費関連企業の取り組みと課題

  • 本報告は、上記のテーマに関する支店等地域経済担当部署からの報告を集約したものである。

2021年9月28日
日本銀行

【要旨】

新型コロナウイルス感染症の拡大は、地域の経済活動にきわめて大きな影響を与えている。宿泊、飲食など対面型サービス消費を中心に大きな下押し圧力が加わる中、関連する企業の業況は、大きく悪化した状態が続いている。こうした厳しい環境のもとで、地域の消費関連企業は、各種の支援策を活用しながら事業の継続を図るとともに、様々な取り組みを進めている。これらは、(1)ウィズコロナに特化した取り組み、(2)需要の回復に備える取り組み、(3)感染症のもとでの変化に着目した取り組み、の3つに整理できる。

「ウィズコロナに特化した取り組み」には、例えば、安心して顧客が来店できるようにするための感染症対策の強化などがある。こうした取り組みは、その性質上、感染症の影響が和らぐにつれて必要性が薄らいでいく筋合いにあるが、感染症のもとで厳しい環境を乗り切って事業を継続していくためには、きわめて重要なものである。

「需要の回復に備える取り組み」は、宿泊、飲食、運輸などの業種において、感染症の影響が和らげば相応に需要は回復することを前提として進められている。先々の需要回復に備え、設備の更新・充実や雇用の維持を図るほか、顧客のニーズに合わせたサービスの見直しを進める事例などもある。

「感染症のもとでの変化に着目した取り組み」は、典型的にはデジタル化のように、感染症をきっかけとして加速・拡大した変化が今後も続くと想定するものである。デジタル化については、感染症をきっかけとして、商圏の縮小や人手不足といった地域の企業が従来から抱えている課題の解決につながりうることも意識されて拡がりをみせている。このほか、家族構成・ライフスタイルの変化も意識したテイクアウトの拡充など、感染症拡大前からの潮流とも重なり合う取り組みがみられている。

また、これらの取り組みを行ううえで、業種内や地域内、あるいはこれらをまたいだ企業間などでの「連携」を進めていく例もみられる。

こうした取り組みを進めていくうえでの課題としては、人材やノウハウの確保が難しいことや、この間の債務増加が将来の返済負担となっていくこと、消費者側のデジタル化がなお過渡期にあることなどが挙げられている。

今回の感染症をきっかけに、企業間や地域内、地域間の連携を深めながら、感染症のもとでの厳しい経営環境に対応すると同時に、先行きも展望した取り組みがさらに進んでいくか、今後注目される。

日本銀行から

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照会先

調査統計局地域経済調査課

足立
Tel:03-3277-1357