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東アジアの域内外経済との結び付きに関するデータ分析

東アジア域内相互および先進国との関係変化を示す貿易、直接投資に関するデータ整理を中心に

2000年 7月28日
磯貝孝※1
柴沼俊一※2

日本銀行から

 本稿における意見等は、全て執筆者の個人的な見解によるものであり、日本銀行および国際局の公式見解ではない。

  • ※1日本銀行国際局国際調査課(E-mail:takashi.isogai@boj.or.jp)
  • ※2日本銀行国際局国際調査課(E-mail:shunichi.shibanuma@boj.or.jp)

 以下には、冒頭部分(はじめに)を掲載しています。全文は、こちら (ron0007a.pdf 148KB) から入手できます。

はじめに

 東アジア1の経済に対する見方は、97年の通貨危機の発生を契機に大きく変わった。東アジア経済は高成長に復せないとする見方がある一方で、輸出主導の高度経済成長を維持してきた過程での比較的短期間の調整局面を迎えたに過ぎないという見方もある。東アジアの問題を考えていく上では、まずは、東アジアが世界経済の中で先進諸国とどのような経済関係にあるのか、東アジア域内における相互依存関係はどうなっているのか、という点に関して正確に理解しておくことが重要であろう。東アジアでは経済統計データが必ずしも十分整備されている状況にはなく、貿易や直接投資などにおける域外とのつながりを分析する上では、主に先進国側のデータに依存することが少なくない。また、東アジア域内における相互依存についても、データの問題からなかなか分析が難しい。本稿では、こうした分析上の制約がある中で、東アジア域内における相互関係や、日本、米国、欧州など域外の先進国との関係について、主に東アジアの視点からデータの整理・分析を行う。本稿の主な目的は、これらのデータの整理を通じて、おぼろげながら見えてくる東アジア経済の本質に近づくことである。

  1. 本稿では、NIEs(韓国、台湾、シンガポール、香港)、ASEAN加盟国のうちタイ、マレーシア、インドネシア、フィリピンの4か国(以下ASEAN4)および中国の9か国を東アジアとしている。

以上