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業務継続体制の整備状況に関するアンケート(2008年11月)調査結果

2009年2月5日
日本銀行金融機構局

はじめに

 本稿は、2008年10月から11月にかけて実施した「業務継続体制の整備状況に関するアンケート調査」(第4回)の結果を取りまとめたものである。
 同アンケート調査は、決済システムにおける取引金額シェアの高い日本銀行取引先を対象に、2002年以来隔年で実施しているもので、対象金融機関(今回は84先)の業務継続体制整備の現状を把握するとともに、その集計結果を公表することにより、金融業界における業務継続体制整備に向けた議論に貢献することを狙いとしている。

 今回の調査では、2008年5月に公表した「業務継続体制の実効性確保に向けた確認項目と具体的な取組事例」に掲げた整備項目に沿って、金融機関が実際の整備状況を自己評価する形で実施した。
 また、最近、緊要性の高さが認識されつつある新型インフルエンザ対策についても、新たな章を設けて、調査項目を充実させた。

 日本銀行としては、金融業界に関係する方々が、今回の調査結果も参考にしつつ、業務継続に関する一層の体制整備を進めていくことを期待したい。日本銀行金融機構局では、業務継続体制の実効性向上に向けて、金融機関との間で考査やオフサイト・モニタリング等を通じてさらに議論を深めていく考えである。

調査結果の概要

 全体として、業務継続体制整備は、引き続き着実に進展しており、最近では実効性確保を意識する先が増えているとの結果になった。

 具体的には、まず、業務継続を自社の経営上の課題として捉え、経営陣のリーダーシップの下で、統括部署の設置と社内横断的な定期会合により体制整備を進めている。また、専担者を設置している先も少なくない。

 被災シナリオは、地震等の自然災害や大規模システム障害に伴い、執務場所ないしコンピューター・センターが使用不能となる想定が引き続き中心であるが、新型インフルエンザ等の感染症流行に対する認識も高まってきている。

 業務継続計画の策定にあたっては、被災時に優先復旧する「重要業務」を特定したうえで、ほとんどの先が最優先の「重要業務」については被災「当日中」の復旧を目指している。なお、「重要業務」の具体的内容は、取り扱う業務の違い等を映じて、大手銀行では幅広い業務を対象とする一方、地域金融機関では現金供給と資金決済を中心に据えるなど、業態毎に違いがみられる。

 業務継続に必要な経営資源(人、モノ、場所)については、執務場所(バックアップ・オフィス等)や各種備品の確保は進んでいるが、緊急要員やシステム資源の確保を課題とする先が多い。なお、オフサイト・バックアップ・システムの実際の運用方法については、システムの仕組みや早期業務再開と取引データの正確性確保に係る優先度の違いを映じて、区々となっている。

 意思決定・連絡体制やマニュアルについては、概ね整備が進んでいる。

 訓練は、年1回以上定期的に実施されており、社内関係部署が同時に参加する全社的訓練が一般的になりつつある。今後の課題としては、取組みが始まったばかりである新型インフルエンザ想定訓練が筆頭に挙がっているほか、社内横断的な全行訓練の充実やストリートワイド訓練(注)の実施など、業務継続計画の整合性を広い視点から検証する項目への関心が比較的高い点が特徴である。

  • 業務上の依存関係にある複数の会社間で、各自の業務継続計画の整合性検証を主目的に行う共同訓練

 新型インフルエンザ対策については、「金融事業者」が「社会機能の維持に関わる者」として想定されていることを踏まえて、喫緊の課題と認識したうえで、対策組織の設置や衛生医療用品の備蓄などの取り組みを進めている。もっとも、感染ピーク期の具体的な業務継続の考え方については、金融機関によってばらつきがみられるほか、必要要員数については固まっていない先が多い。

 体制整備を進める際の問題点としては、予算・マンパワー制約のほか、自社の業務継続計画と他社・他業態の業務継続計画との整合性の検証が難しい点を挙げる先が多い。

本件に関する照会先

日本銀行 金融機構局

大竹 真、山崎敦之、大山陽久

電話:03-3664-4333

日本銀行から

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