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オペレーショナルリスク管理を巡る環境変化と今後の課題

日本銀行考査等における着眼点と確認された課題事例

2011年8月1日
日本銀行金融機構局

要旨

金融機関では、業務処理におけるシステム化の一層の推進、システム開発・運用の外部委託や他の金融機関との共同化、営業店後方事務の集中化などを進めてきている。こうした取り組みに伴い、金融機関におけるオペレーショナルリスク(以下「オペリスク」)の所在は変化しており、リスク管理上の各種の工夫が必要になっている。

また、自然災害やシステム障害など、金融機関業務に大きな影響を及ぼすリスク顕在化事象が発生しており、金融機関に対するオペリスク管理強化の社会的要請も高まっている。

こうした中、金融機関では、近年、業務・システムに内在するリスクや環境の変化を踏まえて、自律的なリスク管理サイクル(PDCAサイクル)を機能させる考え方が浸透してきている。また、そうした考え方を実践するため、内部統制システムの整備や、CSA(コントロールセルフアセスメント)等のリスク分析手法の導入も進んできている。

もっとも、考査やオフサイトモニタリングでのオペリスク管理の調査結果をみると、業務処理に内在するリスクの変化に管理体制が追いついていないためにオペリスクが顕在化し、金融機関の損失につながったり、円滑な資金決済に支障が生じかねない例がみられている。また、特に、システムリスク管理においては、専門的な事項が多いこともあって、システム開発プロジェクトの管理やシステム障害の未然防止体制の整備などに、経営としての関与が十分でない例がみられている。

金融機関においては、経営陣のリーダーシップのもと、組織横断的なオペリスク管理体制を強化し、業務内容の変化も踏まえる形で、潜在リスクの把握とリスク顕在化防止策を適切に講じることが重要である。また、リスクが顕在化した場合の影響を抑制する仕組みを整備することも求められる。

日本銀行から

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照会先

金融機構局

荒井 隆、樋渡 淳二
E-mail : post.fsbe68@boj.or.jp