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ESG投資を巡るわが国の機関投資家の動向について

2020年7月16日
日本銀行金融市場局
荒尾拓人*1
清水亮介*2
小川佳也*3

要旨

近年、世界的に、ESG投資を巡る取り組みが、企業側・投資家側双方において加速している。その背景には、気候変動リスクに対する関心の高まりや法制度面からの後押しなどの環境の変化が指摘されている。

わが国の機関投資家も、ESG投資への取り組みを着実に進めている。ただし、わが国では、ESG投資の歴史が浅いこともあり、現状、欧米と比べ、ESG投資を行う目的意識や取り組みスタンスは区々である姿が窺われる。

わが国の機関投資家が直面する実務上の課題として、多くの市場関係者から共通して以下の4点が指摘されている。具体的には、(1)ESG投資に利用可能な情報が限られている、(2)ESG要素と金銭的リターンの関係性に確信が持てない、(3)先行きのリスクなどを検討するにあたり、考慮すべき要素(政治・政策、科学技術、気候変動の影響度など)にかかる不確実性が大きい、(4)最新の科学技術などの専門知識を活用できる体制を整備する必要がある、といった点である。

ESG投資の世界的な潮流を踏まえれば、わが国の国際的な競争力の観点からも、わが国の機関投資家および企業の双方が、ESG要素などの非財務情報に関する理解を一層深めていくことが重要である。また、こうした取り組みを通じ、わが国の機関投資家等によるESG投資関連の取引や投資商品などが増えていけば、わが国の金融市場の機能度向上や活性化にも資するものと考えられる。

本稿の執筆に当たっては、日本銀行スタッフを含め、ESG投資の専門家などから有益な助言やコメントを頂いた。ただし、残された誤りは全て筆者らに帰する。なお、本稿の内容と意見は筆者ら個人に属するものであり、日本銀行の公式見解を示すものではない。

  1. *1日本銀行金融市場局 E-mail : takuto.arao@boj.or.jp
  2. *2日本銀行金融市場局 E-mail : ryousuke.Sshimizu@boj.or.jp
  3. *3日本銀行金融市場局 E-mail : yoshiya.ogawa@boj.or.jp

日本銀行から

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