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「実質輸出入の動向」の解説

2016年4月
日本銀行調査統計局

作成部署、作成周期、公表時期等

作成部署:調査統計局経済調査課

作成周期:月次

公表時期:貿易統計速報(月分)公表日(参考データは同3営業日後)

公表方法:インターネット・ホームページ

刊行物等:「金融経済統計月報」

データ始期:1975年1月(参考データは2000年1月)

1. 内容

(1)目的・機能

財務省「貿易統計」で調査されている、財の輸出(入)金額を、日本銀行作成の企業物価指数(原則として輸出入物価指数)で割ることにより実質化したもの。

名目の輸出(入)金額は、数量の変化と、単位量あたりの価格が動くことの両方の影響を受けて変動する。名目値を物価指数で割り、物価変動の影響を除去することで作成される実質輸出(入)は、実質ベースの輸出(入)の動きを表す。

(2)公表データ

以下の季節調整済値を月次で公表

  • 実質輸出(2010年=100)
  • 実質輸入(2010年=100)

参考データ

  • 実質貿易収支(対実質GDP比率)
  • 地域別実質輸出(2010年=100)
  • 財別実質輸出(2010年=100)

地域別実質輸出は米国、EU、中国、NIEs、ASEAN4(注1)、その他地域について、財別実質輸出は中間財、自動車関連、情報関連(注2)、資本財・部品(注3)についての値を公表。

(注1)ASEAN4は、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン。
(注2)情報関連は、電算機類、通信機、IC等電子部品、映像機器、音響機器、科学光学機器。
(注3)資本財・部品は情報関連、原動機、自動車部品を除く。

(3)作成方法

実質輸出

輸出総額を、財務省「貿易統計」の分類を参考に8グループに分割し、それぞれのグループに対応するデフレーターで実質化したものを合計した後、季節調整を施し、2010暦年平均を100として指数化する。輸出デフレーターとしては、原則として日本銀行調査統計局作成の輸出物価指数を使用しているが、対応する指数が存在しないものについては、例外として消費税を除く国内企業物価指数で代用している。

グループの分類とデフレーターの対応関係は以下のとおり。

分類 デフレーターとして対応させている物価指数
食料品 消費税を除く国内企業物価指数・類別「食料品・飲料・たばこ・飼料」
織物用糸・繊維製品 輸出物価指数・類別「繊維品」・円ベース
化学製品 輸出物価指数・類別「化学製品」・円ベース
金属及び同製品(注1) 輸出物価指数・類別「金属・同製品」・円ベース
はん用・生産用・業務用機器(注2) 輸出物価指数・類別「はん用・生産用・業務用機器」・円ベース
電気機器 輸出物価指数・類別「電気・電子機器」・円ベース
輸送用機器 輸出物価指数・類別「輸送用機器」・円ベース
その他(注3) 輸出物価指数・類別「その他産品・製品」・円ベース
(注1) 「金属及び同製品」は、「鉄鋼」、「非鉄金属」、「金属製品」を足し上げたもの。
(注2) 「はん用・生産用・業務用機器」は、「一般機械」、「科学光学機器」を足し上げたもの。
(注3) 「その他」は輸出総額から食料品〜輸送用機器の輸出合計額を差し引いたもの。

実質輸入

輸入総額を、財務省「貿易統計」の分類を参考に8グループに分割し、それぞれのグループに対応するデフレーターで実質化したものを合計した後、季節調整を施し、2010暦年平均を100として指数化する。輸入デフレーターとしては、日本銀行調査統計局作成の輸入物価指数を使用している。

グループの分類とデフレーターの対応関係は以下のとおり。

分類 デフレーターとして対応させている物価指数
食料品(注1) 輸入物価指数・類別「食料品・飼料」・円ベース
繊維製品(注2) 輸入物価指数・類別「繊維品」・円ベース
鉱物性燃料 輸入物価指数・類別「石油・石炭・天然ガス」・円ベース
化学製品 輸入物価指数・類別「化学製品」・円ベース
はん用・生産用・業務用機器(注3) 輸入物価指数・類別「はん用・生産用・業務用機器」・円ベース
電気機器 輸入物価指数・類別「電気・電子機器」・円ベース
輸送用機器 輸入物価指数・類別「輸送用機器」・円ベース
その他(注4) 輸入物価指数・類別「金属・同製品」・円ベース
輸入物価指数・類別「木材・同製品」・円ベース
輸入物価指数・類別「その他産品・製品」・円ベース
(上記3つの指数を輸入物価指数のウエイトを用いて、加重平均したもの)
(注1) 2000年基準までは、「食料品」は、輸入物価指数(参考指数)・類別「生鮮食品を含む食料品・飼料」・円ベースを用いて実質化している。
(注2) 「繊維製品」は、「織物用糸・繊維製品」、「衣類・同付属品」、「織物用繊維及びくず」を足し上げたもの。
(注3) 「はん用・生産用・業務用機器」は、「一般機械」、「科学光学機器」を足し上げたもの。
(注4) 「その他」は輸入総額から食料品〜輸送用機器の輸入合計額を差し引いたもの。

実質貿易収支(対実質GDP比率)

実質貿易収支(対実質GDP比率)は、上記実質輸出(入)を作成する際に計算される、2010年価格で表される実質輸出と実質輸入(2010暦年平均=100に指数化される前の値)の差額を取り、各月の属する四半期の季節調整済実質GDP(実質GDPが未公表の月については、直近四半期の実質GDP)で除する。

(4)指数の基準時

指数の基準時は2010年。

(5)実質輸出(入)の季節調整

季節調整には、X-12-ARIMAを使用。毎年4月頃、前暦年の貿易統計確定値公表(年間補正)にあわせて季節調整替えを実施し、その後、次回季節調整替えまでの間(原則1年間)は、予定季節要素を用いて季節調整値を算出している。実質輸出(入)についての現在の季節調整方法の概要は以下のとおり。

  • ARIMAモデルのスペック : 輸出(1 1 2)(0 1 1)、輸入(0 1 1)(0 1 1)
  • 季節調整期間 : 1975年1月から2016年2月
  • ARIMAモデルによる先行き予測期間 : 48か月(なお、後戻り予測は行っていない)
  • regARIMAによる事前調整パートでは、曜日・閏年・祝日等調整を実施しているほか、outlierコマンドで異常値を調整している(レベルシフト、RAMP処理は行っていない)。なお、祝日等調整には通関日数をベースとしたユーザー定義変数を用いている。

(6)公表時期

実質輸出・実質輸入 : 原則として貿易統計速報(月分)公表日の14:00

参考データ : 原則として同3営業日後の14:00

ただし、日本銀行の業務の都合により遅くなる場合がある。

2. 利用上の留意事項

5年に1度の企業物価指数の基準改定に伴う実質輸出(入)の基準改定は、実質輸出(入)の季節調整替え時に実施することとする(2010年基準への移行は2013年3月に実施。季節調整については1-(5)を参照)。

ただし、企業物価指数の基準改定から、実質輸出(入)の季節調整替えまでの間は、旧基準のデフレーターを、新基準ベースのデフレーターの前月比を用いて延長したものを使用する。

実質輸出入と類似の指標として、財務省「貿易統計」の数量指数がある。数量指数は、基準年を100として輸出入額を指数化した金額指数を、価格指数で割ったものである。実質輸出入のデフレーターと、価格指数の性質が異なるため、両者は異なる動向を示す場合がある。

実質輸出(入)のデフレーターとして用いる企業物価指数は、特定の調査対象商品の価格を継続的に調査し、原則として、品質の変化や、調査対象商品の変更に伴う価格の変動を調整したものである。このため、実質輸出(入)は、数量そのものではなく、品質調整後の価格変動の影響を除いた価値を表したものと考えることができる。一方、価格指数は、基準年に一定額以上の取引があるなどの条件を満たした商品グループ(貿易統計の9桁コードに相当)を選び、各商品グループの輸出(入)総額を数量で割った平均単価を、指数化して加重平均したものである。すなわち、数量指数は、単位が異なるために直接は足し上げることができない各財の輸出入数量を、指数化して加重平均することによって、総合的な数量の変化を表していると考えることができる。詳しくは、日本銀行調査統計局(2007年8月)「近年のわが国の輸出入動向と企業行動」BOX1を参照。

実質輸出入公表時に、企業物価指数の確報や遡及訂正に伴うデフレーターの変更を反映するため、過去の実績が変わる場合がある。

実質輸出入、およびその結果として計算される実質貿易収支の水準は、あくまで基準年の物価指数を基に算出されたものであり、その評価には注意が必要である(基準年を変更すれば、水準は変わりうる)。とりわけ、実質貿易収支については、負の値をとったとしても、それは、あくまで基準年の価格による輸出入の相対関係を基にした評価である。

3. 関連統計

財務省「貿易統計」

内閣府「国民経済計算」

財務省・日本銀行「国際収支統計」

日本銀行「企業物価指数」

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