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個人消費は底割れしない?

所得の減少に比べて消費が底固く推移してきた7つの理由

2003年 2月26日
峯嶋愛子

日本銀行から

経済点描は、景気動向や中期的な経済テーマ、あるいは経済指標・統計に関する理解を深めるための材料提供を目的として、日本銀行調査統計局が編集・発行しています。ただし、レポートで示された意見や解釈に当たる部分は、執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

以下には、(要旨)を掲載しています。全文は、こちら (rkt03j01.pdf 38KB) から入手できます。

要旨

 ボーナス削減やベアの凍結、リストラ、正社員のパート置き換えなど、雇用の構造調整が続いており、家計所得の悪化傾向になかなか歯止めが掛からない。こうしたなかで、個人消費は、GDPなどのマクロ統計や、自動車販売・百貨店売上げといった経済指標のいずれでみても、基調的には弱めながら、所得の下落に比べれば底固く推移してきたともいえる。実際、所得に占める消費の割合(消費性向)は、趨勢的に上昇してきている。

 本稿では、所得の減少の割には個人消費が底固く推移してきた理由について、以下の7つの要因を仮説として取りあげる。また、これらの要因を踏まえて、個人消費の先行きについて若干の考察を示す。

  1. 高齢化の進展、
  2. 若年層の消費意欲、
  3. 年金給付・退職金の増加、
  4. 住宅購入からの振り替わり、
  5. 消費の慣性効果、
  6. 消費者心理の改善、
  7. 需要の掘り起こし