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金融政策の説明に使われている物価指数

2006年 2月20日
企画局
鵜飼博史
園田桂子

要旨

物価の動向を表わす物価指数には、対象とする取引主体や取引段階の違いを反映して様々な種類が存在する。例えば、最終需要の6割を占める家計の消費支出については、消費者物価指数や民間最終消費支出デフレータがある。最終需要全体については、GDPデフレータが存在する。さらに、原材料として購入される中間需要まで含めた経済取引全体については、これらの物価指数に加えて、国内企業物価指数や企業向けサービス価格指数なども合わせてみることになる。また、同じ物価指数でも、対象品目を全て含める総合物価指数と、一時的・攪乱的な影響を除くこと等によって物価の基調をみるコア物価指数がある。

物価指数の利用にあたってはそれぞれの特性に留意する必要がある。例えば、GDPデフレータは、国内で生産された付加価値に対応する需要を捕捉する観点から輸入を控除している。このため、輸入原材料価格が上昇した場合、GDPデフレータは直接的には低下する。また、公表時期が遅いほか、データの改訂幅が大きいという制約がある。

各種の物価指数は、対象とする取引等の違いを反映して、しばしば異なる動きをする。各国中央銀行は金融政策の運営に当たり、様々な物価指数をモニターし、分析しているが、金融政策スタンスを説明する上では、重視する物価指数を明らかにしている。総じてみると、家計の消費支出を対象としていること、人々に身近であること、速報性があること、改訂幅が小さいことなどを背景に、消費者物価指数が用いられることが多い。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するものです。
ただし、レポートで示された意見や解釈に当たる部分は、執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

内容に関するご質問は、企画局 加藤までお寄せ下さい。