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日本の生産変動

3つの事実とその背景

2007年3月27日
調査統計局
木村武・塩谷匡介

要旨

過去約20年の間、米国をはじめとする先進諸国において、生産の変動(ボラティリティ)が低下傾向にある。こうしたマクロ経済の安定化現象は、「Great Moderation(大いなる安定)」としばしば呼ばれる。本稿では、日本の鉱工業生産の変動に焦点を当て、日本のGreat Moderationに関する3つの事実を指摘する。第1に、1970年代以前と1980年代以降を比較すると、標準偏差でみた日本の生産変動は、財や業種によってばらつきはみられるが、30%から60%ほど低下している。第2に、生産変動の低下は、需要(出荷)変動の低下によってもたらされた部分もあるが、生産変動の低下幅は需要変動の低下幅よりも大きい。これには、原材料価格の変化などコストショックの大きさが低下したことや、企業の生産在庫管理技術が向上したことが影響している。第3に、生産変動の低下は、ビジネスサイクルにおいてのみ確認され、月々の短期的な生産については、むしろ変動幅が拡大している。このことは、企業が需要変動に対して小刻みに生産調整を行うことが可能となった結果、生産の短期的な変動は拡大したが、出荷と生産のズレから発生する意図せざる在庫の変動を小幅に抑制することで、景気循環の振幅——つまり、ビジネスサイクル上の生産の変動幅——の抑制につながっていることを示している。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するものです。
ただし、レポートで示された意見や解釈に当たる部分は、執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

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