調査・研究

ホーム > 調査・研究 > ワーキングペーパー・日銀レビュー・日銀リサーチラボ > 日銀レビュー・シリーズ 2007年 > 中国資金決済システムの動向 ~遠隔地間の小口決済にかかる最近の施策を中心に~

中国資金決済システムの動向 

〜遠隔地間の小口決済にかかる最近の施策を中心に〜

2007年4月17日
国際局
東 善明

要旨

中国の資金決済システムをみると、金融機関同士の大口決済は、CNAPS(シナプス)と呼ばれるRTGSベースの中央銀行システムの稼動により、安全性の向上が進んでいる。このため資金決済システムの整備の重点は、企業や個人の経済活動に直結する小口決済に移ってきている。中国では、長い間、全国の金融機関を直接かつ相互に結びつける小口決済システムは存在しておらず、全土に店舗網を有する国有商業銀行が省・市を跨る小口決済の担い手であった。ところが90年代後半以降、中国経済に市場メカニズムが徐々に浸透していく中で、農村からの出稼ぎや国内旅行などの増加により省・市を跨る小口決済が活発化する一方、国有商業銀行は経営効率化のために地方拠点を閉鎖するといった動きがみられた。これは、全国的な小口決済の体制整備・効率性の向上の必要性を一段と強めることとなった。また最近では、社会格差の是正の一環として小口決済の整備を求める風潮もある。このため中国人民銀行(中央銀行)などは、CNAPSに小口決済の仕組みを追加したり、特定の業態の金融機関向け、あるいは出稼ぎ農民のためのネットワークを相継いで稼動させたりしてきている。これは、公的機関が積極的に小口決済の改善に取り組み始めた動きとして興味深い。今後は、こうした決済インフラの機能を十分に発揮していくための各金融機関の体制整備が注目されよう。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するものです。
ただし、レポートで示された意見や解釈に当たる部分は、執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

内容に関するご質問は、日本銀行国際局 東 善明までお寄せ下さい。