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株式保有を前提とした銀行の企業取引の総合採算性について

2007年11月21日
金融機構局
大谷 聡*、須田 侑子、豊蔵 力、平形 尚久、宮明 靖夫

  • 現企画局

要旨

わが国の銀行は、メインバンク制と呼ばれる慣行のもとで取引先企業と株式を持合う形で多額の株式を保有してきた。こうした銀行による株式保有は、バブル崩壊後、長期的に株価が低迷する中で、巨額の含み損をもたらし、銀行の財務基盤を悪化させた。このため、銀行は、2000年代入り後、株式保有の上限規制や保有株式売却スキームの導入もあり、大手行を中心に保有株式を削減させた。しかしながら、最近では企業買収の増加による企業サイドからの株式持合い要請等もあって、保有株式を再び増加させる動きがみられ始めている。銀行は、株式保有によって、出資先企業との金融取引によるリターンを確保している一方で、株式の価格変動リスクへの備えとして自己資本を使用し、資本コストも負担している。この点、外部格付のある上場企業のデータを用いて、株式保有を前提とした企業取引の総合採算性を検証すると、長期的な視点でみて、株式保有コストに十分見合ったリターンが確保されていない可能性が示唆された。このため、銀行セクター全体でみると、保有株式の採算性を改善させるには、リターンの増強を図る、あるいは不採算先の株式を売却するといった対応が必要と考えられる。銀行は、顧客ニーズを踏まえた形で金融サービスの差別化を図り、必ずしも株式の保有を前提としなくても企業との取引採算が確保できるビジネスモデルを構築していくことが求められている。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するものです。
ただし、レポートで示された意見や解釈に当たる部分は、執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

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