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最近の在庫変動について

今次局面における特徴点と今後の景気展開に対するインプリケーション

2009年5月1日
調査統計局
須合智広 一瀬善孝 神山一成

要旨

在庫を巡る企業行動がもたらすGDPの変動は、平均的にみれば小さいが、個々の景気循環の中では、大きなものとなる。今回の局面では、製造業段階での製品在庫に加え、海外現地在庫や国内の流通・仕掛品在庫が大きく積み上がり、現在その調整が進められている。このような内外の在庫調整には、グローバルな金融危機を背景に、最終需要が急速に落ち込み、資金調達環境も厳しくなったことが影響している。同様の展開は世界的に生じているが、とりわけわが国では製造業、中でも需要変動の激しい耐久消費財や資本財などのウエイトが高いだけに、在庫変動の影響を強く受けたと考えられる。このあと、内外の最終需要が再び予想外の弱さとならない限り、在庫変動は、2009年度の実質GDP成長率を大きく押し下げたあと、2010年度は押し上げに寄与すると考えられる。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するものです。
ただし、レポートで示された意見は、執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

内容に関するご質問および送付先の変更等に関しましては、日本銀行調査統計局 神山一成(E-mail :kazushige.kamiyama@boj.or.jp)までお寄せ下さい。