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金融混乱下のスワップ市場と国債市場の価格発見機能

スワップスプレッドの動きから何を読み取るか?

2009年7月3日
金融市場局
鈴木高志 竹本直人 加藤晴子 木村武

要旨

2007年夏のサブプライム住宅ローン問題を契機とした金融混乱の影響が拡がる過程で、内外の金融市場は、金融経済状況に対する市場参加者の見方を価格に映し出す「鏡」としての機能(価格発見機能)の低下に直面した。例えば、銀行間取引金利をベースにしたスワップ金利と国債金利の乖離として定義されるスワップスプレッドが低下傾向を辿り、08年秋のリーマンブラザーズ破綻後はマイナスにまで落ち込んでいることは、その一例である。同スプレッドのマイナス化をそのまま解釈すれば、市場参加者は、金融混乱下にあって、国よりも金融機関の信用度が勝ると認識していることになるが、それは非現実的なシグナルと考えられる。こうした現象は、市場参加者の資金流動性制約がタイト化したり、彼らのリスクアペタイトが低下した結果、裁定取引や投機的取引が減少し、市場の価格発見機能が低下したことが影響しているとみられる。同機能の低下は、市場における適正なプライシングを妨げ、リスクや資源の効率的配分を弱めることで、金融混乱の影響を増幅するよう作用した可能性も考えられよう。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。
ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

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