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世界的な金融危機の波及とグローバルな銀行活動

既存研究からのインプリケーション

2009年11月11日
金融市場局 古賀麻衣子

要旨

世界的な金融危機が深刻化していった過程を振り返ると、その特徴の一つは、銀行活動の国際的な拡がりを背景として、米国発の金融ショックが増幅しながら世界中に波及したことにあった。そこで本稿では、銀行活動がショックの増幅メカニズムや波及経路をいかに担ったかについて、危機の経験と既存研究の知見とを踏まえた上で、整理する。金融ショックの増幅メカニズムについて、その背景を考察すると、銀行の活動領域が地理的にも業容においても拡大するにつれて、銀行が持つ資金仲介機能や資産変換機能に内在するリスクが拡大していたほか、本来銀行が担うべき情報生産機能が低下していたと再整理することができる。一方、金融ショックの波及経路を考察すると、まず、直接的なショックの波及経路としては、各銀行が、世界的な視野で最適な資金調達・運用を模索する過程で、本国の直面する金融経済環境の変化を海外拠点や取引相手国などに波及させていることが確認できる。また、間接的なショック波及経路としては、危機の発生時に、震源国に対する債権国が対外債権を全般的に圧縮することを通じて、第三国にも危機が伝播する経路が重要となってきている。そのほか、グローバル化の進展とともに情報の非対称性が拡大している下では、群集行動によるショックの波及も一段と生じやすくなっているとみられる。こうした中、今後、金融危機のリスクを未然に察知する上でも、国際的な銀行活動の拡がりとそれがもたらす経済構造の変化について、一層理解を深めていく必要がある。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。
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