このページの本文へ移動

上場企業のキャッシュフローと今後の経営方針

リーマンショック後の経営環境の変化と企業の対応

2009年12月4日
調査統計局
藤原正雄 三好祐子 山中利晃 永幡崇 一上響

要旨

上場企業のキャッシュフローをみると、2008年度は、リーマンショック後に収益の急激な減少に直面して、設備投資を削減したものの、なお収益減をカバーするに至らず、有利子負債の大幅増を余儀なくされたことが確認できる。こうした中、企業が新たに作成した経営計画をみると、目先の不透明感の高まりに伴い、経営計画の期間を短縮化したほか、キャッシュ・アウトフローを極力削減する「守りの経営方針」へと大きく舵を切ったことがわかる。2009年度に入ってからは、収益悪化に歯止めがかかりつつあると同時に、設備資金等の絞り込みが進んでいる。また、各種政策措置が奏効する形で、CP・社債市場の機能度が回復する中、企業が予備的に積み上げた手元資金を圧縮する動きがみられる。こうしてみると、景気が持ち直しを続け、企業金融を取り巻く環境に改善の動きが広がっても、銀行借入やCP発行を通じた資金調達は、当面弱めの動きを続ける可能性が高い。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。
ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

内容に関するご質問および送付先の変更等に関しましては、日本銀行調査統計局 一上響(E-mail: hibiki.ichiue@boj.or.jp)までお知らせ下さい。