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新興国を巡る資金フローと景気動向

2010年7月23日
国際局
大河理沙・高田良博 *1・田村栄一 *2
青木里恵・東 将人・稲村保成

  1. *1現金融機構局
  2. *2現金融市場局

要旨

欧州の財政問題はグローバル投資家のリスクアペタイトの低下を招き、新興国市場にも影響が及んでいるが、リーマンショック後とは異なり、その調整規模は限定的である。この背景としては、(1)新興国経済は高い経済成長と健全な財政状況を維持しており、分散投資先としての魅力が投資家の間で高まっていること、(2)グローバル投資家全体として資金流動性リスクに直面するような事態には至っていないことなどが挙げられる。新興国への資金流入基調の持続は、長期金利の低下を促し景気拡大を後押しすることで、新興国におけるインフレ圧力を高める側面を持つ一方、通貨高による輸入物価の下落から、インフレ圧力の顕在化を抑制する方向に作用する面もある。このため、新興国の一部で実際に観察されているように、景気拡大が続いてもインフレ率がさほど上昇しないという現象が生じることがある。そうした状況のもとで緩和的な金融環境が続くと、資産市場の過熱感が高まり、その後の大幅な景気振幅という調整圧力を溜め込むリスクがある。新興国の政策当局は、こうしたリスクを回避するために、利上げ方向に舵を切り始めており、政策効果も含め今後の景気展開が注目される。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

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