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欧州財政問題の域内外経済への影響

2010年8月4日
国際局
大澤直人・嶋谷毅・西田寛彬
中谷亮太・渡辺真吾

要旨

ユーロエリア経済は、輸出の増加に牽引されて持ち直している。先行きも景気回復に向けた動きを続けるとみられるが、民間部門のバランスシート調整が続くもとで、財政再建の影響が域内外の経済にどのような影響を及ぼすかについて関心が高まっている。財政再建は、将来の財政負担に関する不確実性を払拭させ、特に経済の生産性や効率性を高める構造改革が同時に実施されれば、コンフィデンスの改善を通じた民間支出の増加を誘発する可能性がある。一方、緊縮財政が予想以上に景気を下振れさせるリスクを指摘する向きもある。すなわち、今次局面では、ソブリンリスクを背景に周辺国の長期金利が高止まるもとで、緊縮財政が景気の下押し圧力を強め、金融と実体経済の間の負の相乗作用を増幅する可能性が考えられる。また、ユーロ安は対域外での経常収支を改善させ、景気回復を下支えするとみられるが、ユーロ域内は貿易・金融両面で強く結びついており、財政再建による需要減少が相互に乗数効果を伴って伝播することも考えられる。今後、ユーロエリア各国が財政問題の解決に取り組むもとで、これらのプラス・マイナス双方の効果がどのように作用していくかは、ユーロエリア経済だけでなく世界経済を展望するうえでも注目される。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

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