米国の構造失業率を巡る最近の論点
2010年12月27日
国際局 大澤直人、増島雄樹
要旨
米国経済は緩やかな回復を続けているが、失業率は高止まりしている。この高止まりに関しては、景気循環要因だけでは説明困難であり、構造要因が影響を及ぼしている――すなわち、構造失業率が上昇している――ことも寄与しているとみられる。構造失業率の上昇要因としては、(1)産業間労働需要のばらつきの拡大、(2)住宅価格の下落による地域間労働移動の阻害、(3)失業保険給付の拡大、(4)失業期間の長期化に伴う履歴効果、などを挙げることができる。ただし、構造失業率の上昇幅の推計を巡っては、識者の間で大きな開きがあり、それだけに、労働資源の稼働率に関する評価は大きな不確実性を伴うことになる。この先、米国景気が回復を続け、失業率も緩やかながら低下し始めていった場合に、構造失業率の水準をどう評価するかによって、望ましい金融緩和の度合いも変わってくるが、構造失業率の水準をリアルタイムに適正に評価していくことが困難である以上、政策判断も難しさを増すとみられる。
日本銀行から
日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。
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