このページの本文へ移動

企業のグローバル収益力の向上とそれが国内経済に及ぼす影響

2015年2月23日
調査統計局 一瀬善孝、近藤崇史、中浜萌

要旨

近年、日本企業の海外事業における利益率が上昇している。上場企業のデータを用いた実証分析の結果によれば、企業の海外進出は、連結ベースの収益や企業価値にプラスの影響を与えており、しかもそのインパクトは近年強まっている。この背景には、これまでの海外事業経験の蓄積などが現地需要の取り込みや生産コストの抑制といったかたちで実を結んでいる面を指摘できる。また、海外事業と国内事業の間には補完的な関係があり、企業は、国内事業を維持しつつ海外事業を拡大させ、その棲み分けを図ることなどを通じて、より高い収益性を獲得していることも示唆される。こうした企業のグローバル収益力の向上は、国内投資や株主還元などを通じて国内経済にも好影響を及ぼしているとみられるが、今後、持続的な経済成長に繋げるうえでは、そうした動きがさらに広がっていくことが重要である。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

内容に関するご質問等に関しましては、日本銀行調査統計局経済調査課経済分析グループ(代表03-3279-1111)までお知らせ下さい。