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新興国への資本フローを巡る動向


2019年7月19日
金融市場局 藤田太郎、源間康史、小川佳也
国際局 高田浩基、菅和聖、山崎さやか

要旨

世界金融危機以降、グローバルに緩和的な金融環境が継続するもとで、投資家は、利回り確保のために新興国への投資を拡大させてきた。こうした新興国への資本フローは、先進国の金利動向や市場のリスクセンチメントといった「グローバル要因」と、新興国側の経常収支や債務状況、国内経済・物価動向といった「個別国のファンダメンタルズ要因」の、双方の影響を受ける。グローバル要因に関する最近の動向をみると、先進国金利の低下は、全体として新興国からの資本流出圧力を緩和する方向に作用している。一方、個別国のファンダメンタルズ要因については、新興国の中には、インフレ高進や高水準のドル建て債務を抱えている国も存在し、ばらつきがみられる。こうした脆弱性を有する一部の国の存在によって、新興国からの資本流出圧力が再び強まるリスクについては、留意する必要がある。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。
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