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我が国家計の資産選択行動について

持家選好・年功序列賃金制度と株式保有

2000年 6月29日
古藤久也*1

日本銀行から

日本銀行金融市場局ワーキングペーパーシリーズは、金融市場局スタッフ等による調査・研究成果をとりまとめたもので、金融市場参加者、学界、研究機関などの関連する方々から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、 論文の内容や意見は、執筆者個人に属し、日本銀行あるいは金融市場局の公式見解を示すものではありません。
なお、ワーキングペーパーシリーズに対するご意見・ご質問や、掲載ファイルに対するお問合せは、論文の執筆者までお寄せ下さい。

以下には、(要旨)を掲載しています。全文は、こちら (kwp00j09.pdf 143KB) から入手できます。

  1. *1日本銀行 金融市場局 金融市場課 E-mail: hisaya.kotou@boj.or.jp

(要旨)

 一般に、我が国家計の資産選択行動は「安全指向」であり、株式投資等のリスク資産投資に対しては消極的であると言われている。実際、主要5ヶ国の家計部門の金融資産構成を比較すると、我が国家計は、預金等の「安全資産」のウェイトが圧倒的に高く、株式保有比率が低い。
 こうした「リスク回避的」行動に対して、「日本人はそもそも安全指向が強い」といった『国民性』を指摘する見方がある。そこで、家計の資産構成を日米比較すると、実物資産を含むベースではリスク資産保有比率の格差は小さく、さらに、リスク資産のリスク・リターンの関係をみると、我が国家計は米国と比べてリスクに晒されているとみることも可能であり、一般的に言われているほど安全指向が強いかどうかは自明とは言えない。
 本稿では、我が国家計の「預金選好の高さ・株式選好の低さ」を考える上で、全く別の切り口として、(1)「持家に対する強い選好」とこれに伴う予備的動機に基づく流動性預金保有、(2)「年功序列賃金制度」によってもたらされる賃金と生産性ギャップを背景とした若年層における「勤務する会社への見えざる投資(出資)」の存在、が株式保有比率の押し下げに寄与している可能性を指摘する。これらの要因は、今後徐々に薄れていくとみられることから、この面でのリスク資産投資に対する制約は緩和していく可能性がある。

キーワード:
平均分散アプローチ、相対的リスク回避度、持家選好、年功序列賃金制度