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ホーム > 調査・研究 > ワーキングペーパー・日銀レビュー・日銀リサーチラボ > 日本銀行ワーキングペーパーシリーズ 2005年 > ゼロ金利コミットメントと量的緩和のイールドカーブに対する効果:マクロ-ファイナンス・アプローチによる実証(要旨)
2005年 4月
植田和男*2
小田信之*3
日本銀行ワーキングペーパーシリーズは、日本銀行員および外部研究者の研究成果をとりまとめたもので、内外の研究機関、研究者等の有識者から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、論文の中で示された内容や意見は、日本銀行の公式見解を示すものではありません。
なお、ワーキングペーパーシリーズに対するご意見・ご質問や、掲載ファイルに関するお問い合わせは、執筆者までお寄せ下さい。
商用目的で転載・複製を行う場合は、予め日本銀行情報サービス局までご相談ください。転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。
以下には日本語の要旨を掲載しています。
なお、全文は英語のみの公表です。ファイルは、こちら(wp05e06.pdf 248KB) から入手できます。
本論文では、1999年以降のゼロ金利環境下における日本の金融政策について実証を行う。具体的には、ゼロ金利コミットメントおよび量的緩和が日本の中長期金利に及ぼした効果に焦点を当てる。分析に当っては、マクロ−ファイナンス・モデルを採用する。これは、マクロ構造モデルの推定と、市場のイールドカーブに基づく可変パラメータの推定(カリブレーション)を組み合わせた分析方法である。これにより、中長期金利を期待金利成分とリスクプレミアム成分に分解できるほか、同時に、ゼロ金利政策の継続に関する日本銀行の意向を市場がどう認識しているかについて情報を抽出することも可能である。本分析により、1999年以降に日本銀行が実際に採用した政策が仮に採られなかった場合に実現していたと考えられる仮想的な政策の効果も明らかにする。
分析結果を踏まえると、1999年以降の日本の金融政策は、主としてゼロ金利コミットメントを通じて、中長期金利を抑制する機能を果たして来たという暫定的な結論を得る。また、2003年末までのデータによると、量的緩和下での日銀当預残高ターゲットの引上げは、日本銀行の緩和的な政策スタンスを示すシグナルであると受け止められた可能性があること ——もっとも、それが中長期金利に与えた効果はさほど大きいものではなかったが—— も示唆される。一方、日本銀行による潤沢な流動性供給や長期国債買い切りオペによるポートフォリオ・リバランス効果については、統計的に有意な効果は検出されなかった。