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CPI品目別データを用いた企業の価格改定行動の特性分析

2006年6月
園田桂子*1

全文は英語のみの公表です。

要旨

資産バブルの崩壊後、特に90年代後半以降の物価下落局面において、わが国企業の中には積極的な価格調整によって需要喚起に取り組む先がみられるようになったとの指摘がある。しかし、同期間における消費者物価指数(CPI)前年比の推移をマクロ的にみると、引き続き粘着的な推移をしている。こうしたミクロとマクロの情報を、どのように整合的に理解することができるのであろうか。

本稿ではこのような問題意識に基づいて、CPIの品目別データにGeneralized Dynamic Factor Modelを適用して、代表的な価格改定パターンの特性を検証した。

この結果、日本においては、説明力の強い、各品目に共通する価格の変動成分が抽出された。価格を改定するタイミングの一致度合いが極めて高いことは、米国やユーロエリアと比較しても特徴的な点である。また、共通する変動成分をみると、ショックに対して価格改定という反応をするまでに長い期間を要することや、ショックが生じてから決まった期間を経て改定されるというよりもむしろ決まった時期に改定される性質が強いことも判明した。さらに、1980年から2005年までの25年間を前期と後期に分割して価格粘着性を比較したところ、財を構成する品目については低下している一方、サービスを構成する品目では逆に高まっているため、全体では価格粘着性に変化はみられなかった。このことからは、ミクロ・レベルでみられる企業の積極的な価格調整が一部財に限定されていることが示唆されている。

Keywords:
Price stickiness; Inflation persistence; Price revision behavior; Generalized
Dynamic Factor Model; Consumer price index; State-dependent pricing; Time
dependent pricing
JEL Classification:
C33, C43, D40, E31

本稿の作成にあたり、松林洋一教授(神戸大学)、青木浩介先生(London School of Economics)のほか、鵜飼博史氏、鎌田康一郎氏、肥後雅博氏をはじめとする日本銀行スタッフから数多くの有益な助言とコメントを得た。記して感謝の意を表したい。ただし、有り得べき誤りは全て筆者に帰するものである。

  1. *1調査統計局兼企画局 E-mail address: katsurako.sonoda@boj.or.jp

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