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景気循環における技術進歩ショックと非技術進歩ショックの役割

2006年7月
渡辺真吾*1

 全文は英語のみの公表です。

要旨

技術進歩ショックの役割を重視するリアル・ビジネス・サイクル理論の尤もらしさを評価するうえで、同ショックに関する実証研究が注目を集めている。この分野においては、労働生産性成長率と労働時間から成るシステムを用い、技術進歩ショックを、労働生産性に恒久的な影響を与えるという長期制約によって識別する手法が普及している。これは、計測誤差を伴いがちなソロー残差を用いないという利点がある一方、資本税ショックといった、資本・労働比率に恒久的な影響を与える非技術進歩ショックを技術進歩ショックとして誤認する可能性がある。本稿では、そうした非技術進歩ショックの存在は名目投資・産出比率における非定常性の有無により判断できることを明らかにするとともに、同ショックを、実質投資・産出比率に恒久的な影響を与えるという追加的な制約により識別する。まず、データをみると、そうした非技術進歩ショックは米国ではなく日本において重要な役割を果たしていることが分かる。そこで、日本のシステムに同ショックを追加してみると、技術進歩ショックに対する労働時間の反応は有意でなくなる。しかも、技術進歩ショックは、日本の失われた10年を説明するうえでの支配的な役割まで失ってしまう。また、本稿では、部門間の労働移動と時短に起因した、日本の労働時間における低周波の変動について、適切な処理法も検討する。

本稿の作成にあたり、Richard A. Braun氏、岡田敏裕氏、木村武氏、塩路悦朗氏、白塚重典氏、肥後雅博氏、藤原一平氏、日本銀行におけるセミナー参加者から有益なコメントを得た。記して感謝したい。ただし、本稿の記述に関して、あり得べき誤りは全て筆者に帰する。論文に記述された見解は、著者独自のものであり日本銀行のものではない。

  1. *1調査統計局(現国際局) E-mail : shingo.watanabe@boj.or.jp

日本銀行から

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