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金融危機下における非上場企業の企業間信用:企業間信用は銀行借入を代替するか?

2006年 2月
福田慎一*1
粕谷宗久*2
赤司健太郎*3

日本銀行から

日本銀行ワーキングペーパーシリーズは、日本銀行員および外部研究者の研究成果をとりまとめたもので、内外の研究機関、研究者等の有識者から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、論文の中で示された内容や意見は、日本銀行の公式見解を示すものではありません。
なお、ワーキングペーパーシリーズに対するご意見・ご質問や、掲載ファイルに関するお問い合わせは、執筆者までお寄せ下さい。
商用目的で転載・複製を行う場合は、予め日本銀行情報サービス局までご相談ください。転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。

以下には(要旨)を掲載しています。全文は、こちら(wp06j03.pdf) から入手できます。

 本稿の作成にあたっては、日本銀行調査統計局のスタッフの方々から有益なコメントをいただいた。なお、本稿で述べられた意見、見解は、筆者個人のものであり、日本銀行あるいは調査統計局のものではない。

  1. *1東京大学 (E-mail: sfukuda@e.u-tokyo.ac.jp)
  2. *2調査統計局 (E-mail: munehisa.kasuya@boj.or.jp)
  3. *3東京大学

要旨

 本稿では、デフレ下の日本経済における中堅企業に対する企業間信用の決定要因を、非上場企業の財務データやその取引先銀行の情報を使って考察した。企業間信用は、銀行から円滑な借入ができない際の代替的な資金調達としての側面がある。しかしながら、金融危機の下で銀行借入が大幅に収縮するような状況では、取引先企業はむしろ延滞や貸し倒れを恐れて企業間信用を収縮させる可能性もある。取引先企業自体が資金不足に陥れば、企業間信用はさらに収縮するとも考えられる。各非上場企業の企業間信用の決定要因を推計した場合、借入金と企業間信用との間には有意な負の関係があり、銀行借入が少ない企業ほど企業間信用を多く受けているという代替関係があることが確認された。しかし、不良債権比率や株価といったメイン・バンクの健全性の悪化は、借り入れ企業と主要仕入れ先企業のいずれのメイン・バンクであっても、企業間信用に対して有意な負の影響を及ぼした。この結果は、取引銀行の健全性の悪化が、銀行貸出だけでなく企業間信用も収縮させ、デフレ下の日本経済における中堅・中小企業の活動を大きく制約した可能性を示唆するものである。