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バブル崩壊後の日本の金融政策 ——不確実性下の望ましい政策運営を巡って——

2006年 2月
木村武*1
藤原一平*2
原尚子*3
平形尚久*4
渡邊真一郎*5

日本銀行から

日本銀行ワーキングペーパーシリーズは、日本銀行員および外部研究者の研究成果をとりまとめたもので、内外の研究機関、研究者等の有識者から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、論文の中で示された内容や意見は、日本銀行の公式見解を示すものではありません。
なお、ワーキングペーパーシリーズに対するご意見・ご質問や、掲載ファイルに関するお問い合わせは、執筆者までお寄せ下さい。
商用目的で転載・複製を行う場合は、予め日本銀行情報サービス局までご相談ください。転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。

以下には(要旨)を掲載しています。全文は、こちら(wp06j04.pdf) から入手できます。

 本稿は、日本銀行調査統計局・東京大学金融教育研究センター共催による「1990年代以降の日本の経済変動」に関する研究会(2005年11月)の第2セッション報告論文である。論文作成に当たっては、早川英男、川本卓司、武藤一郎、門間一夫、鵜飼博史、渡辺努、村田啓子、肥後雅博の各氏のほか、同研究会の出席者、ならびに、第4回現代経済政策研究会議「現代日本の望ましい金融政策運営」の出席者から有益なコメントを頂いた。ただし、本稿に示されている意見は日本銀行の公式見解を示すものではない。また、ありうべき誤りは、全て筆者たち個人に属する。

  1. *1調査統計局景気動向担当 E-mail: takeshi.kimura@boj.or.jp
  2. *2調査統計局マクロモデル担当 E-mail: ippei.fujiwara@boj.or.jp
  3. *3調査統計局マクロモデル担当 E-mail: naoko.hara@boj.or.jp
  4. *4調査統計局マクロモデル担当 E-mail: naohisa.hirakata@boj.or.jp
  5. *5調査統計局景気動向担当 E-mail: shinichirou.watanabe@boj.or.jp

要約

本稿は、経済構造が不確実な下での望ましい金融政策について、1990年代前半のバブル崩壊期における日本銀行の政策運営を例に分析したものである。日本経済の大型マクロモデルであるJEM(Japanese Economic Model)を用いた確率シミュレーションによると、政策効果(政策乗数)の不確実性を考慮した場合には、当時の日銀の政策運営はほぼ最適なものであったとの結果が得られた。一方、インフレ過程の不確実性を重視した場合には、実際の政策よりも積極的な対応が望ましかったとの結果が得られた。このように、どのような不確実性を重視するかによって結論は大きく異なるが、結果的に、1990年代後半以降デフレ克服が重要な課題になった点を踏まえれば、90年代前半においてインフレ過程の不確実性をより重視し、積極的な金融緩和を行うべきであったとの議論は可能であろう。実際、そうした観点からカウンター・ファクチュアル・シミュレーションを行ってみると、90年代前半により緩和的な政策対応を行っていれば、インフレ率や実質成長率をある程度下支えすることはできたという結果が得られた。ただし、シミュレーションは同時に、その効果は限定的であり、金融政策だけで、90年代の長期停滞という全体像を変えることはできなかったであろうことも示唆するものであった。

キーワード:
バブル崩壊、金融政策、不確実性、JEM(Japanese Economic Model