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政策金利ゼロ制約下における金融政策効果の抽出

2006年7月
鎌田康一郎*1
須合智広*2

要旨

 本稿では、政策金利ゼロ制約下における金融政策の効果を分析する新たな手法を提示し、金融政策が資産バブル崩壊後のわが国経済の回復にどの程度寄与したのかを定量的に分析する。本稿の手法は3つの柱から構成されている。第1に、政策金利ゼロ制約の影響を直接受けていない「中間変数」を用いて、様々な施策を包含した総体としての金融政策を表す「政策代理変数」を定義する。第2に、政策代理変数と為替相場に符号制約を課した構造VAR を用いて、金融政策スタンスの変化を識別する。第3に、マルコフ連鎖モンテカルロ法を用いて、金融政策の波及経路に生じた構造変化点を推定する。実証分析によると、1990 年代以降、物価や生産に対する金融政策の効果が低下したのは、政策金利のゼロ制約や不良債権によって銀行の金融仲介機能が有効に働かなかったことに原因の一端がある。ただ、本稿の分析は、銀行の不良債権と表裏の関係にあるバランスシートの毀損が生じた企業や家計が低金利下でも投資や消費を増やさなかったことや経済活動が次の経済活動を誘発する民間経済に内在するメカニズムが働かなかったことが、さらに重要な原因であることを示している。

本稿の作成過程で、西村清彦氏(日本銀行審議委員)ならびに日本銀行のスタッフから有益なコメントを頂戴した。この場を借りて、深く感謝の意を表したい。もちろん、あり得べき誤りは筆者に属する。なお、本論文の内容や意見は、筆者個人に属するものであり、日本銀行および企画局の公式見解を示すものではない。

  1. *1日本銀行企画局 E-mail: kouichirou.kamada@boj.or.jp
  2. *2日本銀行企画局 E-mail: tomohiro.sugou@boj.or.jp

日本銀行から

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