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物価変動のコスト

概念整理と計測

2008年2月
宮尾龍蔵*1
中村康治*2
代田豊一郎*3

要旨

 本稿では、インフレとデフレを含む物価変動のコストについて、既存研究のサーベイに基づき概念整理を行い、日本の長期低迷期以降における物価変動のコストについての評価を試みる。物価変動の不確実性、貨幣保有の機会費用、ゼロ金利制約、名目賃金の下方硬直性、供給ショックなどの観点から、可能な限り定量的な評価や推論を行った。この結果、バブル経済崩壊後に生じたデフレについては、コストとメリット両面が存在するとともに、コストの大きさについてもかなりの幅を持ってみる必要があることが分かった。日本の物価変動のコストは、単一の視点から議論するのではなく、多様な観点から総合的に評価することが重要であり、今後も定量的な議論を深めていく必要がある。

キーワード:
物価変動のコスト、ゼロ金利制約、名目賃金の下方硬直性

本稿は、東京大学金融教育研究センター・日本銀行調査統計局による第二回共催コンファレンス「90年代の長期低迷は我々に何をもたらしたか——浮かび上がった日本経済の課題・新たに生じた課題——」(2007年11月)の報告論文である。論文の作成過程、および本稿の草稿に対して、植田和男教授(東京大学)、塩路悦朗教授(一橋大学)、山本勲准教授(慶應義塾大学)、黒田祥子准教授(一橋大学)から貴重なコメントを頂いた。門間一夫、前田栄治、白塚重典、関根敏隆、木村武、肥後雅博、一上響、川本卓司、黒住卓司、榎本英高をはじめとする日本銀行の諸氏からも有益な意見を頂いた。また、池尾和人教授(慶應義塾大学)、齊藤誠教授(一橋大学)、白川方明教授(京都大学)はじめ、カンファレンス参加者からも貴重なコメントを頂戴した。ただし、ありうべき誤りは筆者らの責に帰する。本稿に示されている見解は筆者ら個人のものであり、筆者らの所属する機関のそれを表すものではない。なお、本稿におけるいくつかの分析については、原尚子(日本銀行調査統計局)、篠崎公昭(日本銀行調査統計局)両氏の多大な協力を得た。

  1. *1神戸大学経済経営研究所 E-mail: miyao@rieb.kobe-u.ac.jp
  2. *2日本銀行企画局 E-mail: kouji.nakamura@boj.or.jp
  3. *3日本銀行調査統計局 E-mail: toyoichirou.shirota@boj.or.jp

日本銀行から

日本銀行ワーキングペーパーシリーズは、日本銀行員および外部研究者の研究成果をとりまとめたもので、内外の研究機関、研究者等の有識者から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、論文の中で示された内容や意見は、日本銀行の公式見解を示すものではありません。
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